大学受験|漢文

共通テスト対策


東進 共通テスト実戦問題集 国語〔漢文〕

 彼を知り己を知らば百戦殆ふからず,
 彼を知らずして己を知らば一勝一負す,
 彼を知らず己を知らざれば戦ふごとに必ず殆ふし。
               ――『孫子』謀攻篇

 「彼」とは敵,ここでは「共通テスト」を指し,「己」は味方,ここではもちろん「みなさん自身」を指す。敵である「共通テスト」を理解し,みなさんが「自分自身」を理解できれば,何度戦おうとも危なげなく勝てるだろう,という意味である。
 この一節は,相手を知る重要性を説く言葉としてよく引用されるが,この言葉の真髄は「彼を知る」よりも「己を知る」にあると思っている。

 自分の力を見極めること。
 共通テストのような選択式問題の対策では,正解することよりも誤答することのほうが成長につながる。共通テストは原則として五択であり,サイコロを振って選んでも,そもそも二〇%の確率で正解できる。しかも,選択肢のうち三つから四つ(!)は明らかに的外れなので,フィーリングで解いても,勘がよければ八割くらいは取れるわけだ。
 テキトーに選んで当たるくらいなら外れたほうがマシ。
 正解すれば,喜んで終わり。でも誤答すれば,自分が選んだ選択肢はなぜ誤りなのか,正しい選択肢を自分はなぜ誤りだと判断してしまったのか,そもそも解答は正しいのか,この解説は本当に妥当なのか――とさまざまに分析し,次に同じミスを回避するために備えはじめる。誤答した悔しさが原動力になる。
 とにかくミスを繰り返すこと。そしてミスから学習すること。たくさんミスするために,たくさんの問題に当たること。この問題集は,その手助けをしてくれる。

 ①問題を解く
  ↓
 ②なぜこの選択肢が正解なのか,なぜこの選択肢は誤りになるのかを分析し
  ↓
 ③自分が正解できたのはなぜか,自分が誤答したのはなぜかを分析して
  ↓
 ④修正して次の問題を解く
  ↓
 ⑤そしてまた勝因と敗因を分析する。

 自分の力を見極め,足りないところがわかれば,それを補えばいい。
 例えば,句形・句法の知識が足りていないとわかれば,知識を補えばいい。東進ブックスには『寺師の漢文をはじめからていねいに』という,うってつけの参考書もある。また知識はあるのにうまく解けない,ひょっとしたら解き方がよくわかっていないかもとわかれば,解き方を学べばいい。東進で僕が担当した講座「大学入学共通テスト対策 漢文」は,まさにそのような悩める受験生向けの講座になっている。

 これから対策をはじめる人も,仕上げにかかる人も,この問題集が少しでも役に立てば,と願いを込めて作問した。さあ,僕の出す問題を次々クリアして,大きく成長しようではないか。

2021年9月
寺師 貴憲

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