大学受験|日本史

共通テスト対策


東進 共通テスト実戦問題集 日本史B

◆本書の概要と構成
 ご存じのように,それまでの大学入試センター試験(以下,センター試験)に代わり,2021 年1月,大学入学共通テスト(以下,共通テスト)が初めて実施された。本書に収められている問題はすべてオリジナルで,全4回の問題のうち,第1・2回は共通テスト「日本史B」の形式に準拠している。第3・4回は試行調査(2017,18 年実施)でみられた大問を参考に作成した。
 センター試験「日本史B」と比べ,試行調査ではやや複雑な形式の設問が多くみられたのに対し,2021 年1月の共通テストは,センター試験に近い設問が多かったといってよいだろう。おそらく,ほとんどの受験生が共通テストより試行調査のほうが取り組みにくく,難易度が高かったと感じたはずだ。
 そこで本書では,まず第1・2回で共通テストの形式に慣れてもらい,さらに第3・4回に取り組むことで,多様な形式の設問に対応できる力を養ってもらう構成にしている。

◆演習の重要性
 共通テストは,センター試験に比べ,まだまだ歴史の浅いテストである。センター試験が少しずつ変化を遂げていったように,今後の共通テストでもさまざまな形式の設問が登場すると考えるべきである。初めて見る設問を瞬時に理解し,正答を導くためには,いろいろな設問形式にふれておく必要がある。たとえば,本書の第4回に収録されている第3問・問3は,選択肢の多さから,設問の理解だけで多くの時間を必要とするはずだ。このようなとき,的確な対応ができるかどうかは演習量にかかっている。
 共通テストで高得点をめざす読者の皆さんは,共通テストの過去問や試行調査に,真剣に取り組んだのではないかと思う。もっと多くの演習が必要であることを認識しながら,過去問の少ない共通テストにどう対応すればいいのか……。そうした懸念を持った皆さんが本書を手にしているのではないだろうか。
 本書は,共通テスト「日本史B」の設問に対し,どのようなプロセスで正答を導くべきなのかを意識して作成した。
 また,受験生が持つ副教材(史料集・資料集)などに掲載されていないものを用いることも意識した。共通テストでは,受験生にとって,初見と考えられる史資料を用いた設問が数多く出題されている。そこで,本書でもほとんどの受験生が確認したことがないであろう史資料を数多く用いた。初見の史資料を判断・考察する能力を向上させよう。

◆作成にあたって
 模試をはじめとする問題作成において私が常に重視しているのは,独りよがりな問題にならないよう,チームの意見を重視することだ。大手予備校の教壇に立って30 年近くが経過する私の感性は,もう若い人のそれとは随分違ってきているのかもしれない。そこで,講師歴の浅い20 代半ばの先生,講師歴10 年,20 年といった先生,学校の教壇で指導している先生など,多くの講師・先生の意見を反映するように心がけている。
 本書は,私のオリジナル問題で占められているが,チームで作業にあたってくれているさまざまな先生の意見も反映されている。いわば,「知の結集」ともいえる問題群となっている。
 また,私事になるが,受験生として日本史の学習に取り組み,模試の偏差値に一喜一憂する長女の相談に乗りつつ,本書の執筆にあたった。1点でも高い得点をめざしたい……,そんな受験生の気持ちを私自身が身近に感じている。
 皆さんの得点向上に本書が少しでも役に立てば,これ以上喜ばしいことはない。 末筆で恐縮だが,本書にご協力いただいた,佐藤一郎先生,大廣学先生,高橋芳武先生,若林克騎先生,中島周之先生に,この場を借りて御礼申し上げる。

2021年11月 井之上勇

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