大学受験|地理
一問一答
地理一問一答【完全版】3rd edition
この『地理 一問一答【完全版】3rd edition』は、長年受験生に愛用されてきた旧版をもとに、さらに新しい出題傾向を加味して問題を取捨し、すべてのデータを更新したものです。
私は地理講師として、「地理は暗記科目ではない」をモットーとしています。講義でも、参考書の執筆でも、模試の作成でも、「地理なんて覚えてしまえば終わり」という考え方と戦ってきました。
地理学は、自然科学(理系)と人文科学・社会科学(文系)にまたがる学問です。地理的現象には必ず理由があります。例えば「① 〇〇砂漠、② △△砂漠、……」とコトガラを丸暗記するより、「大気の循環を考えると、このあたりは高圧帯だから……」とリクツを知った方が覚えやすい。「雨が少ないところ」にはそうなる共通の理由があるのです。
地理の成績を上げる方法は、
(1)リクツを理解する
(2)リクツと結び付けて具体的なコトガラを覚える
これだけです。ためしに石炭の産地を例にとってみましょう。
【リクツ】
古期造山帯にある低くてなだらかな山脈の周辺に、石炭資源が豊富に埋蔵される
【コトガラ】
古期造山帯にある山脈:アパラチア山脈・ウラル山脈・グレートディヴァイディング山脈・ドラケンスバーグ山脈などの周辺に大炭田が分布
古生代の地表を覆っていた大森林が、地殻変動で古期造山帯の地層に閉じ込められ、3億年経って化石になったものが石炭です。長い間に山地が侵食されると、この石炭層が地表に近くなって掘り出しやすくなりますね。このリクツを知ったうえで、具体的な山脈名やその位置といったコトガラを覚えれば、地図上で炭田の分布を選ばせるような入試問題にすんなり解答できるのです。
もちろん、場合によってはコトガラ→リクツの順に学ぶこともあります。具体的なコトガラを手がかりに、リクツをもち出して問題を解いていく。特にセンター試験では、その傾向が強くみられました。共通テストになってもこれは変わらないでしょう。一方、難関私大では詳細でたくさんのコトガラが求められます。
(共通テスト型) いくつかのコトガラを手助けにしてリクツを理解する
(難関私大型) リクツを応用して数多くのコトガラを覚えていく
(国公立大二次試験型) 共通テスト型と難関私大型の中間(両方とも必要)
それでは、リクツをどう理解し、リクツと結び付けた具体的なコトガラをどこまで覚えればいいのか。それを皆さんに伝授するのがこの本の役目です。この『一問一答』は、大学受験で地理を選択するすべての受験生に向けて書きました。共通テスト必出の正誤問題から、難関私大でみかける重箱の隅っこをほじくったような地名問題まで、入試地理のすべてを網羅し、かつ、一人ひとりの必要に応じた使い方が可能な一冊です。各問題の答えとして単語を並べるだけでなく、スペースの許す限り「リクツ」の説明や考え方のヒントを加えています。今回、旧版を徹底的に見直してブラッシュアップしましたが、担当の中島亜佐子さん、東進ブックスの皆様に多大なるご尽力を頂きました。深く感謝をいたします。
こんな文字ギッシリの問題集を手にとったあなた、その勇気とチャレンジ精神で、すでにほかの受験生を何歩もリードしています。受験の必勝法は、まず得意科目をつくって攻撃力を磨き、次に弱点科目の補強という守備力を育てること。どちらにとっても、この『一問一答』は役に立ちます。空き時間を使うなど、自分なりのスタイルで継続的に学習する習慣をつけましょう。面倒な暗記や一見退屈な作業にも、全力で取り組むこと。一流アスリートは練習も本気でやるから、本番で実力が発揮できるのです。
始めよう! そうすれば、その仕事は成し遂げられる!
2024年9月
山岡信幸