大学受験|世界史
一問一答
世界史地図一問一答【完全版】
ある程度世界史を勉強して模試や過去問の演習でアウトプットをする機会が増えてくると、多くの受験生の悩みの種になるのが「地図問題」への対応です。
洛陽や開封などの都市の位置を問う問題や、大航海時代の移動経路を問う問題、王朝の支配領域を問う問題など多種多様な「地図問題」に多くの受験生は翻弄されます。さらに、「1973年にEC(ヨーロッパ共同体)に加盟した3カ国はどこか、地図上の記号から選べ」というような問題も出題されます。「イギリス、アイルランド、デンマークの3カ国だ!」というのはわかっても、「デンマークってどこだっけ……?」となる受験生は多いのではないでしょうか。
世界史講師である私の立場からすると、世界史を学習するうえで地図の知識が必須なのは自明ですし、受験生も地図が大事であることは理解していると思います。しかし「地図の勉強の仕方がわからない……」という受験生の声は非常に多い。その主な原因が何なのかわかりますか? 教科書や資料集に地図はたくさん載っていますが、どれも細かい情報が記載されすぎていて、結局どれが大事なのかわからない。中世ヨーロッパの都市の地図を思い出してください。都市の数だけでも30個以上あるうえに、商業圏やら何やら……。20年以上、さまざまな大学の入試問題を研究してきた私なら「この都市は入試頻出だから押さえておこう! この都市は細かすぎるから覚えなくてもOK!」といった感じで情報の取捨選択をすることができますが、受験生にそれを求めるのは酷ですよね。
そこで、「地図の勉強もしよう!」というやる気のある受験生の救世主となるような、地図に特化した参考書を作りたい! という思いから制作されたのが本書です。
これから世界史の勉強を本格的に始める受験生も、ある程度勉強が進んでいる受験生も、まずは第0章の「世界の主要な国と地形」をじっくり学んでください。世界史を勉強するうえで、「今、自分が地球上のどの地域の勉強をしているのか」を地図的に把握することは非常に大切です。アルジェリア、イラン、ブルガリア、カンボジアなど、名前を聞いたことはあってもどこにあるのかわからないという国はあり
ませんか? 国名が出てくるたびに確認するクセをつけましょう。
また、世界史を勉強していると「エルベ川以東の地域では……」「バルカン半島方面への進出を図ったロシアは……」「ニジェール川流域に成立したイスラーム国家は……」など、地形に関しての情報がよく出てきます。これらの情報を無視して勉強を進める受験生は多いですが、これもその都度確認するクセをつけて、頭の中で地図情報をイメージできるようにしていきましょう。無機質な文字情報が立体的な情
報へと変化する感覚を体感してほしいなと思います。徐々に世界史の見え方が変わっていくので楽しみにしてください。
第1章以降は、該当範囲の通史の学習と並行して、「基礎編」では主要都市などの基本情報を、「入試問題にチャレンジ!」では実際に出題された入試問題を解いて、地図の問題の問われ方を学んでいきましょう。さらに、私が監修している『世界史一問一答【完全版】4th edition』も併用していくと学習効果は倍増します。
「世界史」は努力を裏切りません。本書が、世界史を勉強するうえでネックになりがちな地図問題を攻略する救世主になるよう祈っています!
2025年3月
加藤和樹