設問別分析
《化学》



【第1問】物質の構造
問1 アルゴンと同じ電子配置を持つイオンを選択する問題。原子番号が18周辺で、陽イオンは原子番号から価数を引き、陰イオンは価数を加える事により解答が決定できる。
問2 金属結晶の面心立方格子の切断面上に存在する原子の配置図を決定する問題。単位格子に原子が記入されていないスタイルは目新しい。面心立方格子について正確に把握していないと対応できないものである。
問3 水上置換で捕集した酸素の物質量を求める計算問題。全圧=酸素の分圧+飽和水蒸気圧で対応できるが、計算が煩雑である。
問4 純溶媒の過冷却のグラフに関する正誤問題。現行課程になり教科書でも扱われるようになったグラフが、センターでも復活した。教科書に載っているグラフは確認しておきたい。
問5 密度および原子数から金属の原子量を求める計算問題。アボガドロ定数個の原子が1molであることから容易に比で算出できる。
問6 浸透圧に関する正誤問題。問4同様、現行課程になり復活した題材である。溶媒分子の溶液への浸透を確認する問題である。溶液の浸透圧に関する図も教科書に載っている重要事項である。

【第2問】物質の変化と平衡
問1 アセチレンからベンゼンを合成する際の反応熱の計算。アセチレン及びベンゼンの燃焼熱から正しい熱化学方程式を作ること(アセチレン:ベンゼン=3:1)がポイントとなる。
問2 物質の変化とエネルギーに関する正誤問題。発熱反応の正・逆反応と活性化エネルギーとの関係を文章で判断するのはやや難しかったと思われる。
問3 炭素数1〜4までの炭化水素の完全燃焼に関する熱量と発生する二酸化炭素の物質量の大小関係。二酸化炭素の発生量がメタン:エタン:エチレン:プロパン=1:2:2:3であることから、燃焼熱を比で割れば大小関係は算出できる。化学反応式を求めて進めると時間のロスになる。
問4 昨年は出題されなかった電離平衡からの出題で、酢酸イオンのモル濃度を求める計算問題。電離定数の正確な理解が必要で、センター試験としては難問に当たる。
問5 温度の異なる気体の分解に関する可逆反応のグラフから、反応物および生成物の物質量比と反応熱の正負を求める8択問題。温度が高いほど分解反応が進むことと、反応物の減少分および生成物の増加分から解答が決定できる。それぞれの物質量比と反応熱の正負を答えさせるため、解答の選択を誤る受験生が多かったと思われる。
問6 酸性条件下での過マンガン酸カリウム水溶液と二クロム酸カリウム水溶液の反応量比を求める計算問題。それぞれの酸化剤としてのイオン反応式が与えられていたので対応しやすいが、問題文の条件のモル濃度を読み落とすと誤答が算出され、それに当たる数値も選択肢にあるので落ち着いて対応することが求められる。

【第3問】無機物質
問1 水素分子に関する正誤問題。酸化亜鉛に塩酸を加えると水が生じることに気づけば対応できる。亜鉛に塩酸を加えると水素が発生することと混同した受験生もいたのではないか。
問2 金属単体と合金に関する正誤問題。鉄に亜鉛をめっきしたものがトタンであるが、亜鉛は鉄よりもイオン化傾向が大きい。
問3 アンモニアソーダ法(ソルベー法)の反応過程図を見て反応条件を選択する問題と、生成する炭酸ナトリウムの質量を求める計算問題からなる。アンモニアソーダ法の反応過程をしっかり把握しているかを確認する問題である。計算問題は化合物Aが炭酸水素ナトリウムであり、炭酸水素ナトリウム2モルから炭酸ナトリウムが1モル生じることを押さえて進めることがポイントである。
問4 周期表の典型元素に関する正誤問題。周期表の原子番号20までの元素とハロゲン元素を把握しておくことと、それぞれの化合物の性質を押さえることの双方が必要である。ここでは、2族のマグネシウムはアルカリ土類金属ではないことに気づけば対応できる。
問5 金属陽イオンの系統分析に関する正誤問題。系統分析図は過去のも出題されているが、単に分離される金属イオンや金属塩を答えるのではなく、操作の詳細を突く過去のものより難度が高い。
問6 難溶塩である硫酸バリウムの収率を求める計算問題。鉄ミョウバン1モルに対し硫酸バリウムが2モル生じることに収率を加えたものである。収率=(実際に得られた質量/理論上得られる質量)×100で算出できる。

【第4問】有機化合物
問1 有機化合物の構造に関する正誤問題。炭素原子間の結合距離やシクロヘキサンの分子構造まで正確に記憶しておく必要がある。
問2 実験操作と新しくつくられる結合の組合せを選ぶ問題。問い方が新しいが、フェノールに混酸を作用させるとニトロ化が起こることに気づけば比較的容易に解答できる。
問3 油脂を構成している不飽和脂肪酸の化学式を求める問題。解き方が複雑な上、選択肢を一つずつ検討する必要があり、マーク式の出題形式に慣れていないと難しい。
問4 幾何異性体の数を答える問題。私大のマークテストで見るような問題であり、センター試験では珍しい出題内容である。幾何異性体が2個以上存在する有機化合物を見慣れていない受験生も多いはずで、難しい。
問5 アセチレンの発生・性質と物質量計算。実験を利用した計算問題。反応式を作って物質量計算を行った上で、アセチレンの性質も理解していないと解けない。

【第5問】高分子化合物の性質・糖
問1 高分子の性質や用途に関する正誤問題。ゴムやイオン交換樹脂が必答問題になることを想定していなかった人は難しく感じたと思われる。
問2 糖に関する正誤問題。二糖の分子式を求めることができれば解答できるが、正しい選択肢の中にはかなり難しい内容も含まれている。

【第6問】合成高分子化合物
問1 NBRを構成しているモノマーの物質量の比を求める問題。決して難度が高いわけではないが、あまり見ないタイプの計算問題なので、解きづらいと感じた受験生が多かったと考えられる。
問2 メタクリル酸メチルとカプロラクタムの構造式を選択する問題。メタクリル酸メチルは構造式暗記していないと選択は難しい。ε-カプロラクタムは、環状構造の記憶と炭素数から選択すれば解答できた。

【第7問】アミノ酸・核酸
問1 グリシン3分子からなる鎖状トリペプチド中の窒素の質量パーセントを求める問題。トリペプチドという用語を正確に理解しているかがポイントになる。
問2 DNA中の対の塩基を探す問題。水素結合を形成する型を知っていれば選択することができるが、塩基の構造式を暗記していないから解けないと考えた受験生も多くいたと考えられる。


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