設問別分析
《日本史B》




【第1問】史料としての日記
第1問は会話文形式が続いていたが、今年度は大学生の日記を素材に問題文が構成される形式となった。また、12点から16点に配点が変更され、第1問の比重が重くなったことが大きな変更点である。
原始・古代から現代までと出題範囲が広いのは例年通りであるが、[1]昨年は設問の順序が近代→前近代だったが、今年は古い時代から問題文が構成されたこと、[2]昨年はグラフや史料を読みとる問題が出題されたが、今年はグラフ・史料の読み取りや視覚資料がなかったこと、[3]今年は判断に時間のかからない空欄補充問題が2問出題されたこと、から比較的解きやすかったと思われる。ただし、問3と問5のように選択肢が4つの時代にまたがる設問が復活したため、頭の切り替えが必要だった。

問2 Y 『古事記伝』は本居宣長の著作。よく読まないとミスをしがちな選択肢だった。
問6 X 「女子の就学率は男子とほぼ等しかった」の選択肢は、やや古い問題であるが、1994年の第5問の問4「学制制定後の小学校の就学率は、男女同じであった」とほぼ同じだった。
  Y  第6問では人物を取りあげた問題が出題されることが多かったが、2012年度の第6問では市川房枝がテーマとされていた。そのため,この選択肢も,過去問研究を徹底していれば容易に判断できた。


【第2問】原始・古代の漆と香の文化
18点から16点に配点が変更され、第2問の比重がやや軽くなった。
鹿子木荘の史料(2015年度)・「魏志」倭人伝(2014年度)・『宋書』倭国伝(2013年度)というように基本史料の引用が定番となっていたが、今年は教科書に掲載されているような基本史料が出題されなかった。

問2は史料の読解の必要がほとんどなく、知識で解ける設問だった。
問4 aとdは迷うかもしれないが、bは注から、cは奈良時代の対外関係を理解していれば誤文だと判断できるため、消去法でも正答を得られただろう。
問6 大宰府に関する年代整序問題は、2015年度 第1回 センター試験本番レベル模試の第2問で出題しており、選択肢も一部が同じだったため、受験した人は有利であった。


【第3問】中世から近世初期までの政治・社会・文化
18点から16点に配点が変更され、第3問の配点の比重がやや軽くなった。
近世初期までを対象とする問題は2016年度で3年目となり、第3問の出題範囲が中世に限定されないパターンは、定着したといってよいだろう。

問2 設問に用いられた図は、どちらも教科書に掲載されている基本的な絵画資料である。図を見なくても判断できた受験生が多かっただろう。そのことは、教科書に掲載されている図に目を通していなければ、問題によっては大きなダメージが生じることを意味する。副教材である図説資料集は情報も多いため、まずは教科書に掲載されている図を確認しておきたい。
問6 [3]大湊は城下町ではなく港町である。戦国期から近世初期にかけての都市は、学習の盲点となりやすいため、得点差が生じたと思われる。


【第4問】近世の政治・社会・文化
17点から16点に配点が変更され、第4問の比重がやや軽くなった。
第4問での初見史料の出題は、定番となりつつある。

問5 読解タイプの史料問題。きちんと史料を読まずに、「田沼意次=賄賂政治」という先入観で選択すると失点する問題だった。初見史料は注まで丁寧に読む習慣をつけたい。
問6 [1]「シドッチ」は、18世紀前半に屋久島に上陸したので、「19世紀前半」と「蝦夷地」の点で二重の誤りとなる。しかし、教科書の脚注に登場する人物であるため、やや細かい知識を問う設問だった。


【第5問】明治期の地方制度
日本史A(第2問)との共通問題。2013年度の「明治期の特許制度」・2014年度の「明治期の租税制度」に対し、2015年度の「明治期の立法機関」や2016年度の「明治期の地方制度」は取り組みやすいテーマといえるだろう。
第5問では、かつてグラフ・表を用いた設問がみられたが、昨年は史料問題が1問のみだった。今年は史料や視覚資料などを用いた問題が1問も出題されず、全体的に第5問は取り組みやすくなっている。

問2 下線部のある箇所(「戊辰戦争」)をよく見ておかないと、判断を誤ることになる。ただし、選択肢[1]と[2]は時期で判断するものではなく(戊辰戦争の時期の「五箇条の誓文」「五榜の掲示」は正しい)、内容で判断すべき設問だった。
問4 IIとIIIは1年違いであるため、年代整序問題としては難しく感じるかもしれないが、論理的に考えれば解答できる(大日本帝国憲法の最終審議は枢密院で行われた)。


【第6問】日本とオリンピックとのかかわり
日本史A(第4問)との共通問題。
2014年度では「漫画家手塚治虫」、2015年度では「作家林芙美子」が取りあげられ、人物を取りあげた問題が定番となっていたが、今年は時事的要素の強いオリンピックが取りあげられた。23点→24点と配点が変更され、比重がやや重くなった。

問2 図をよく見て判断材料をみつけたい(甲では「川端康成」、乙では「築地小劇場」)。
問6 日中戦争勃発以後の問題で、やや細かい知識を問うているように感じるかもしれないが、dの「アメリカは石油の対日輸出を禁じた」に類似した文章は、2014年度の問5でも出題されている。やや古い問題になるが、bの近衛声明は2002年度の問3でも出題されている。
問7 農地改革の趣旨が理解できていれば、判断は容易である。ただし、a・bの「空欄に入る語句が選択肢の文章のなかに挿入されるパターン」は、新しい出題形式であった。
問8 Yのような革新首長に関する選択肢は、2014年度の問8でも出題されており、過去問をきちんと研究していた受験生は有利だった。




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