大学入学共通テストの数学II・B・Cでは、数学I・Aの学習を土台とした発展的な出題が多いため、数学I・Aが未完成な状態では高得点は望めません。まずは、できるだけ早く数学I・Aを完璧なものにしましょう。その上で、数学II・B・Cの基礎・基本を固めていくことが、効率的な学習となり、総合的な数学の力を自分のものにしていくことにつながります。
数学II・B・Cのそれぞれの分野において、基礎・基本を身につける上で重要なポイントは以下の通りです。
◆方程式・式と証明
3次式の展開・因数分解、二項定理、整式の除法について、しっかりと理解しておく必要があります。特に整式の除法は、剰余の定理、因数定理の導出の基となるものなので、原理からしっかりと理解を深めておきましょう。
◆三角関数
加法定理から派生する倍角公式などは丸暗記でなく、導出過程も含めて理解し、さらに実際に使いこなせるレベルにまで達する必要があります。求めるものによって、適切な式変形が素早く出来るように、まず加法定理を完全に理解し、使えるようにしましょう。
◆指数・対数関数
指数法則、およびそこから導かれる対数計算、底の変換の計算などがいかに正確に素早くできるかがポイントです。指数や対数の底の大きさによる大小の場合分けや、対数の真数条件などの基本事項を理解した上で、計算のスピードを上げる練習をしましょう。
◆図形と方程式
座標平面上における2直線の平行条件・垂直条件や、点と直線の距離、円の方程式は必ず理解しておきましょう。また、領域における最大・最小問題は、文字のとり得る値や不等号の向きに注意して正しく図を描くことが重要になります。図から大小が容易に判断できない場合には、計算で比較を行うなど臨機応変な解法が取れるようにしておきましょう。
◆微分法・積分法
関数とその導関数の対応について、グラフによる視覚的な理解をしておくことが重要です。また、面積を求める際の積分計算も確実にできるようにしておく必要があります。面積を求める領域の把握が第一歩となるので、日ごろから面倒がらずに図を描く習慣を身につけましょう。
◆数列
等差数列、等比数列の決定とその和、漸化式、群数列など出題テーマが多岐にわたる分野ですが、いずれにおいても項の対応(規則性)を考えることが重要です。日ごろから具体的に項を書き並べて考える習慣を身につけましょう。また、漸化式を複数の視点で解くことについても、しっかりと練習を行っておきましょう。
◆統計的な推測
確率変数の期待値、分散、標準偏差の計算方法、および確率変数の変換の考え方をまず理解しましょう。また、正規分布に従う確率変数を標準正規分布に従う確率変数に変換する方法や、母平均・母比率の推定、さらに仮説検定の考え方についても一つずつ身につけていきましょう。
◆ベクトル
内積計算、2直線の交点の位置ベクトル、ベクトルの垂直・平行条件、共線条件、共面条件などを押さえておく必要があります。一つ一つ整理して、確実に理解しましょう。
◆平面上の曲線
まずは、放物線・楕円・双曲線といった2次曲線の基本性質を導出から整理し、理解しましょう。また、曲線の媒介変数表示、極座標と極方程式の考え方についても合わせて身につけましょう。
◆複素数平面
複素数の3つの表現による扱い方(複素数zのままでの扱い、x+yi(x,yは実数)と置き換えての扱い、極形式での扱い)を場面に応じて使い分けられるようになることが重要です。また、ド・モアブルの定理、および複素数の方程式で表された図形の見方についてもしっかりと身につけましょう。
これらの分野を効率よく学習するには、いきなり入試レベルの問題に取り組むのではなく、教科書の例題、練習問題、節末問題、章末問題レベルへと、少しずつステップアップしていくのが一番の近道です。「計算を最後までやり抜く」ことや「図やグラフを描いて考える」ことを積み重ね、早期に基礎を確固たるものにするために、問題演習を繰り返しましょう。
解法の暗記に頼るのではなく、公式や解法の原理を理解してから先に進むような勉強を繰り返すことで、受験だけでなく、将来社会に出てからも役立つ本当の力をつけることができます。
数学II・B・Cは、数学I・A以上に抽象的な問題が多く、また計算量も多いため、時間が足りないと感じることが多いと思います。大学入学共通テスト対策としては、限られた時間で正確に解けるように演習を繰り返すことが欠かせません。
東進では「全国統一高校生テスト」を含めて年6回実施される「共通テスト本番レベル模試」があります。模試を連続して受験することで大学入学共通テストの傾向や自分の現在の力を知り、さらに不得意分野・弱点を明確にして大学入学共通テスト対策を進めていきましょう。