共通テスト 1日目解答

地理歴史

9:30-11:40

公民

9:30-11:40

国語

13:00-14:20

英語

15:10-18:10

共通テスト 2日目解答

理科①

9:30-10:30

数学①

11:20-12:30

数学②

13:50-14:50

理科②

15:40-17:50

地理歴史 日本史A

設問別分析

第1問 近現代日本の娯楽からみた人々の生活(会話文)
第1問は昨年同様に、会話文形式で出題された。「娯楽」に着眼し各時代を生きた民衆の歴史をテーマに、近現代史の文化や社会経済史を中心にした内容だった。
ストレートに語句や内容を問う問題よりも、資料の読解型の問題や複数の知識を積み重ねて正答を導き出す問題が目立った。こうした問題を普段から演習し慣れることが重要と言えよう。

問2 史料の読解を通じて、1880年代までの北海道での農民生活について問う問題であった。Yの内容は、史料を正しく読み取れていれば正誤の判定は容易であったが、Xは史料中の「屯田兵」が、明治政府により推進された制度の一環であることを正しく認識しておく必要があった。

問3 適切な「文」をあてはめる空欄補充問題であった。共通テスト特有の傾向であり、人物の事績や歴史的な出来事を正しく理解しておくことが重要だった。
空欄アでは、まず坪内逍遙が明治期の文壇において、「写実主義」を唱えたことを把握しておかなければ、正解にはたどり着けなかった。空欄イも同様であり、二葉亭四迷が創始した言文一致体の内容そのものの理解が求められていた。

問5 昭和期の年代整序問題であった。すべて日記文の内容であったが、Iでは「サイパン全滅」(サイパン島陥落)、IIでは「二千六百年奉祝日」・「近衛首相」、IIIでは「わが軍沖縄の戦果」(沖縄戦)がそれぞれ大きなヒントとなっていた。間接的というべき内容を、いかに通常学習で習得した知識につなぎ合わせて考えることができたかが、正解を導くためのカギだった。

問6 「戦後の社会状況の変化が娯楽に与えた影響」に関する、4択の正文選択の正文選択問題だった。「戦後の社会状況」を正しく把握するとともに、「テレビ」の娯楽性について強く意識することが重要だった。選択肢3の「映画の有声化」、いわゆる日本で「トーキー映画」の制作や上映が始まったのは、昭和戦前期の1930年代末であるが、このことを理解していた受験生は少なかったかもしれない。


第2問 明治期に始まったもの
第2問では、正誤を組み合わせる問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、空欄補充問題がそれぞれ1問ずつ出題された。日本史探究部に所属する高校生の研究発表がテーマとなっており、来年度からの「歴史総合、日本史探究」という入試形態を意識したものだったと考えられる。2つのグラフを読み取る問題が出題されたが、シンプルな形式の問題を素早く処理し、ある程度時間をかけて取り組めれば、発表原稿からヒントを得るなどして正答を導くことは可能だったと思われる。また、2024年度に新紙幣が発行されることから、多くの受験生が紙幣や銀行に関する問題への十分な対策をしてきたと思われる。問3の史料は比較的短く、焦らず丁寧に読み解くことで正答を選択できただろう。

問1 空欄に入る語句の組合せを選択する問題。幕末における開港地を正しく把握しておく必要があった。洋服については、一部の教科書でも確認できる情報であるため、知識でも正答を導き出せるが、発表原稿の「洋服の着始めは……歩兵の制服にやあらん」という部分を見逃さなければ、自信をもって正答を選択できたと思われる。

問2 グラフを利用したX・Yの2文正誤問題。グラフの読み取りと知識が求められたが、Xは発表原稿の「幕府仏蘭西式歩兵」をヒントにできれば「西洋式軍備の需要」は正しいと判断できたと思われる。Yは1866年の改税約書を想起するべきだった。ただし、「輸入総額」は上昇していることが確認できるため、「関税率が引き上げ」られれば輸入は減少する、関税障壁に関する基本的な知識があれば、誤文と判断できただろう。

問3 史料の読解問題。2024年度は新紙幣が発行されることから、多くの受験生がこのような紙幣や銀行に関する問題には十分な対策をしてきたと思われる。史料文も比較的短く、焦らなければ史料を丁寧に読み解くことで正答を選択するのは容易だっただろう。

問4 明治文化に関する問題。文化史を苦手にしている受験生は少なくないと思われるが、問われていることは基本事項であり、2021年度の共通テスト日本史Bで「政教社」、2022年度の共通テスト日本史Bで「民法」に関する問題も出題されていたため、正誤の判断はしやすかっただろう。


第3問 近現代の教育の歴史
第3問は、近現代の教育史をテーマに、文化史を中心に政治・外交史までその出題分野が多岐に及んだ。教育史は頻出テーマであることから、受験生もしっかり対策を立てて臨めたのではないだろうか。政府により推進された教育制度を、時代ごとに俯瞰的な視野から考察することが求められていた。教育史に関する「レポート」のほか、学制など頻出の史料がみられ、出題形式としてはシンプルな印象を受けただろう。頻出テーマを基に知識を整理出来ていたかがポイントだったと言える。

問2「表」から教育制度の変遷について問われた問題だった。「表」に提示された数字と選択肢文を分析する作業とともに、選択肢2では、義務教育が4年から6年に延長されたのは、明治末期にあたる1907年であったこと、選択肢4では、1918年に大学令が公布され、帝国大学以外に私立大学が大学として公認されたこと、といった基本的な知識を把握できていたかが試されていた。

問3 明治期の教育から戦後教育史まで、広い範囲が問われていた。各時期に政府により推進された教育行政について、深く理解しておく必要があった。選択肢2では、伊沢修二により導入された「唱歌教育」の「唱歌」とは何であるのか、まで理解できていなければ正誤の判断は難しかったと思われる。

問6 明治時代以降の学問に関する年代整序問題だった。近現代史の文化は、日本史Aでは頻出テーマといえるだろう。2024年は新紙幣が発行され、その肖像の変更が話題となっているが、現一万円札の肖像「福沢諭吉」や、新千円札の肖像に決まっている「北里柴三郎」が出題されていた。I~IIIは、それぞれ比較的時期が離れていたことから、正答を選択できた確率が高かったことが予想される。

問7 「近現代の教育と社会」に関する誤文選択の4択問題だった。選択肢1と3はやや抽象的な内容であったが、前者がお雇い外国人らの活動について、後者は自由教育運動について、考察できていれば正文と判断しやすかった。選択肢2では「職業婦人」が、大正デモクラシー期の社会状況であることを想起できれば、誤文であると明確に判断できた。


第4問 二度の世界大戦後の日本と国際社会の関係
第4問では、史料の組み合わせ問題、4つの文から正文を1つ選ぶ問題、2つの文の正誤を判断する問題、正誤を組み合わせる問題、4つの文から誤文を1つ選ぶ問題、年代整序問題、空欄補充問題、がそれぞれ1問ずつ出題された。
特筆点として、3つの史料の組み合わせを選ぶ問題が出題されたことがあげられるが、全体的にシンプルな形式の問題が目立った。

問1 史料の内容とワシントン会議の内容を一致させる組合せを選択させる問題。ワシントン会議で締結された条約、廃棄された条約が把握できていれば、史料から条約を特定することによって、正答を選択することは比較的容易だったと思われる。

問2 不戦条約を調印した内閣(田中義一内閣)について述べた4文正誤問題。それぞれの文が示す内閣は異なっていたため(選択肢1→加藤高明内閣、選択肢2→第2次山本権兵衛内閣、選択肢3→寺内正毅内閣、選択肢4→田中義一内閣)、基本的な知識があれば、解答を導くのは容易だった。

問3 史料の読み取りが求められた問題。知識をほとんど必要とせず、読解に注力(「満鉄以外の鉄道保護」「国際法ないし国際条約抵触を避け」など)すれば正答を導くことができた。

問4 日中戦争中における日本の外交の知識が問われた。センター試験日本史Bで何度も出題されてきた内容であったため、基本知識で正誤の判別ができたはずである。

問5 占領期における日本の社会や文化についての知識が問われた。2023年度・共通テスト日本史Aで「リンゴの歌(唄)」、2016年度・センター試験日本史Bでも「美空ひばり」について出題されていたため、過去問演習を徹底してきた受験生には有利だったと思われる。

問6 戦後における日本とアメリカとの間で結んだ条約・協定を対象とした年代整序問題。Iは1971年の沖縄返還協定、IIは1954年のMSA協定、IIIは1960年の新安保条約(日米相互協力及び安全保障条約)だったが、IIIを1951年の日米安全保障条約と勘違いしてしまうと、正答を導くのが困難になったと思われる。

問7 サンフランシスコ平和条約と1970年代の日中関係に関する問題。アは「参加したが調印しなかった」、イは「1972年」、というメモの情報を見逃さなければ、基本知識で十分対応できる問題であった。


第5問 近現代の日本経済
第5問は、大正時代から昭和時代後期の高度経済成長期までの近現代経済史をテーマとして、横断的に出題されていた。第3問の教育史と同様に、近現代の経済史はテーマとして出題されることが頻出である。共通テストのみならず、センター試験の時代までさかのぼって過去問演習に取り組んだ受験生は、戸惑うことなく落ち着いて解答できたと思われる。とくに「有価証券」、「インフレーション」、「デフレーション」、「為替レート」、「産業構造の高度化」など専門的な経済用語についても幅広く理解しておくべきだった。経済史の基本的事項をしっかり把握していることが肝要だったと思われる。

問1 「1910年代から20年代における工業化」に関する、正文選択の4文正誤問題だった。選択肢文も2行に及ぶ長文であり、正誤分析のポイントも複数に及んだことから、「やや難」の印象を受けただろう。正解である選択肢1を選択するためには、「国内よりも賃金が低い中国での現地生産」から、大戦景気時の在華紡の存在を類推すべきだった。

問2 史料の読解から、適切な語句と文章を選び組み合わせる問題だった。下線部bが「震災手形割引損失補償令」を指している、と理解できた受験生は少なかったのではないかと思われる。その内容を理解できていなくとも、X・Yの語句の周辺に記されている史料の内容を、丁寧に読み解いていくことで正解を選択することは可能だった。

問5 戦後日本の経済成長の特徴を問う、2文の正誤選択の組み合わせ問題だった。Xは「第二次世界大戦の戦勝国」を理解する必要があったが、敗戦国であった「西ドイツ」を含めても、経済成長率は日本が凌駕していることは自明だった。Yは、史料が書かれた時期である「昭和31年」(1956年)と、1971年に10か国蔵相会議を経て円切上げが遂行されたことに整合性がない、と判断すべきだった。

問7 近現代の日本経済に関する誤文選択の4文正誤問題だった。鈴木商店が金融恐慌のさなかに破綻した事実を分かっていれば選択は容易だった。選択肢1は大戦景気の経済状況、選択肢3はドッジ=ラインにともなう経済政策、選択肢4では高度経済成長期の農村における過疎化問題、をそれぞれ想起する必要があった。