• 東進タイムズ 2020年11月01号

数学 河合正人先生の学習アドバイス

数学
河合正人先生

延べ20万人以上の生徒を指導し、数多くの締切講座を記録する予備校界を代表する数学講師。第一志望合格者は多数。大学別入試問題研究や入試情報にも数多く精通するなど高いプロ意識をもつ。「数学問題の解法の鍵は他者理論」と作問者の意図を理解した「流れを大切にする」授業を展開する。

高3生

国公立大学を志望する受験生のうち、共通テスト受験後に出願大学を変更するケースは少なくありません。それでもこの時期に志望対策をする意義は、各生徒が現状の実力と入試で問われるレベルを見比べて、どれ程の差があるかを具体的に認識することにあります。ちなみに大学により異なることは承知のうえですが、受験生が現状で数学得点の50%程度とれていたら二重丸です。普通は3分の1程度も難しいでしょう。入試本番レベルを目の当たりにして大きなショックを受けるはずで、良い意味での刺激になります。また、実際の入試問題は複数のテーマが組み合わさり、描きにくい図形やグラフ、煩雑な計算なども含まれます。一つのテーマ、スッキリした図形やグラフ、答えらしい値とはかけ離れている入試問題もたくさんあります。どこを丁寧に伝えてどこを省くのか、過去問演習でないと体験できないことがたくさんあるのです。

一方、私大対策は学校推薦型選抜(旧指定校推薦)、総合型選抜(旧AO入試)、共通テスト利用入試、一般入試などの「型」が違うとその対策は異なります。一般入試での私立大学の数学の入試問題は国公立大学と異なり、すべてが記述問題というわけではありません。試験時間が国公立大学に比べて短く、答えだけを書く客観問題や文章型の客観問題、最後に記述問題が設定されているケースなどを多く見かけます。こうしたケースでは一問一答の客観問題を記述問題と同じ対策という訳にはいきませんね。問題数や配点、試験時間も大学・学部によって全く違い、これらは過去問演習でしか鍛えることができないものです。

共通テスト後の想定を

共通テストについては、東進の「共通テスト本番レベル模試」や「過去問演習講座 大学入学共通テスト対策」などを活用し、1回でも多く演習しておくことが大切です。共通テスト受験後のポイントとして、テキストまたは問題集(いずれも自分で一度解いてマスターしたものがベスト)を直ぐに見直すようにしましょう。「問題」「解答」がセットで視野におさまるものが理想です。これらのウォーミングアップが終わり、二次力が戻ってきたら過去問など本番レベルの演習に再度取り組みましょう。

受験システムが変更し、そこに新型コロナウイルスが加わり、従来経験したことのない受験が来年行われます。二次試験さえも行わない大学もあります。不運なのか、ひょっとしたら幸運なのか判りません。ただ、一つ間違いないことは「ヒトの能力値はとても安定している」ということです。励まず合格するマグレはあっても、励んで受からぬ者はいないのです。

高1生・高2生

理系入試のメイン項目は①数学Ⅲ (微分法、積分法)、②数学B (数列、ベクトル)、③数学A(確率、整数)です。なかでも①数学Ⅲ (微分法、積分法)の出題割合はかなり高いと言えます。しかしながら、理系にもかかわらず高3まで数学Ⅰ・A/ Ⅱ・Bがまとまらず、数学Ⅲをたいしてやらないまま受験に向かう生徒がいます。数学Ⅰ・A /Ⅱ・Bの力だけでは数学Ⅲの問題は解けないのです。各単元をしっかりと理解していくことは大切です。しかし、そのスピードが遅すぎて一番大切な項目が中途半端になってはいけませんね。理系学部受験を考えているなら高2の3月末までに数学Ⅲの内容を修了することを目指しましょう。

文系入試のメイン項目は①数学Ⅱ (微分、積分)、②数学B (数列、ベクトル)、③数学A (確率、整数)です。理系同様、各単元を理解していきましょう。②と③の各項目は互いに独立しているので、早期に取り掛かることも可能です。

オリジナルのノートを作ろう

受験に向けた学習をこれからスタートする人は、活用勝手の良いノート作りをしてみてください。レポート用紙やルーズリーフなどが良いのですが、まず数学の問題を一題ずつコピーして一番上に貼りつけます。その下に自分で考えた答案と、修正を加えた答案を書くのです。ポイントは「問題」「答案」「修正した答案」が一目で視野に入ることが大切です。これを溜めていき、定期的に分野項目ごとにファイリングします。手作りの参考書のような存在となるでしょう。

まさに君たちの受験は100年に一度の過渡期なのかもしれません。社会の要求が変わり、受験数学にも社会や日常との連携を期待されています。大学ではその応用はもちろん、数学の真のおもしろさも学べます。ぜひ大学では自分の学びたい学問をとことん追求してください。