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古文 栗原隆先生の学習アドバイス

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古文

栗原隆先生

栗原隆先生

20年を超える指導経験から、東大・難関大志望者に絶大な信頼を得る真の実力講師。「構造分析による本文解釈」と「出題者の心理・行動分析による設問解法」を軸に、独自の図表や心和ませる古典エピソードを交え展開される講義は必聴。あらゆる入試問題にも素早く、確実に正解へ導く本質の指導を追究する。

高3生 のキミへの学習アドバイス

どんな大学の入試問題でも「傾向」があります。①時間配分 ②問題文の字数 ③設問の数 ④設問の分野 ⑤解答欄の字数等々。これを知っていて問題に向かうのか、本番で初めて見るのとでは全く違ってきます。どんなに自信のある人でも、必ず10年分の過去問研究をしてください。

記述の問いは、「~を現代語訳せよ」と「?を説明せよ」の主に2パターンです。「~を現代語訳せよ」は、原則として、当該箇所を分析して、部分を検証し、正しい現代語として再統合することですが、これも大学によって微調整が必要です。

(1)東大型 すべて12.7(あるいは13.4)センチ一行で記述しなければならない

(2)京大型 14センチ3~5行の解答欄がある

(3)(1)と(2)の折衷型

東大型の場合、まれに直訳すると解答欄を逸脱するようなものがあります。このような場合は直訳を要約しなければなりません。京大型の場合は、逆に直訳すると解答欄の3分の1にも満たなくなります。多くは「言葉を補って」と要求されていますが、そう設問文になくとも、主体・客体・指示内容や現代語として読んだ場合、客観的に意味をなす内容となっているかを考えて、言葉を補って現代語訳します。

生きていくために重要な力を身につける

「~を説明せよ」の設問の答えは、すべて問題文の中にあると思ってください。まず、設問が要求する文末表現を決めます(例:「~から。」等)。次に、要求された最も重要な要素を問題文の中から探し出して、適切な表現に微調整して、その上に重ねていきます。説明問題とは、想像力をみる問題ではありません。これらは、これからの人生を生きていくためにも大変に重要な力なので、大きな声で申し上げますよ!『分析力』『論理の力』『語彙力』『表現力』、以上の力です。

今更ですが、私は受験勉強とは「知性・感性・美意識を磨くのに実に良くできた教材」であると気づきました。高校時代の私は、教員の「我慢と気合だあ~」という号令に対して、「こりゃ知力でなくて暗記力勝負じゃん!」と心の中で思っていました。本当に恥ずかしい限りです。受験勉強は暗記力合戦ではありませんよ!! 受験勉強とは「知性・感性・美意識を磨くのに実に良くできた教材」です!

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

古文ほど出題者と受験生の考え方が乖離してしまっている教科はないと、私は思っています。古文とは、「文献学の基礎」を学ぶ教科なのです。

日本の書き言葉は、長らく雅文体(擬古文体)や漢文訓読体という表現方式で記述されてきました。その根底にあるのが、平安中期の文法です。

この文語文法は、何と千年以上も使われてきました。ですから、文法としてはどの時代の口語文法よりも洗練され、システマティックなものとなっています。

古文を嫌いになってしまうのは、この教え方次第ではないかと私は考えています。一番ダメなのは、「とにかく暗記しろ!」です。

文法の本名は「統語論」、つまりどんなシステムで語がくっついて、どう文になるかという構造と機能の説明です。また、言葉は音からできています。日本語の特徴の一つに、開音節といって「子音+母音」で一つの音節を構成している点が挙げられます。日本語の「活用」とは、その母音がどんなふうに交代するかで決まってくるだけなんですよ。

知性・教養への飽くなき追求を

また、理解してほしい基本語彙が300語前後あります。現代でも、一つの語に複数の意味があるでしょう。状況に応じて変化する。古語も同じです。一語に一つの意味しか知らなければ、解釈の役には立たないです。

意味の変化はどうして生まれるのかを考えれば、とても興味深いです。その過程を考察するのが本当の「単語の勉強」です。

皆さんに忘れてほしくないのが「知性・教養への飽くなき追求」です。ただ、受験のための勉強なんて虚しいじゃないですか。受験勉強のために、心も頭も疲れてしまうなんて、青春の罪ですよ! 「どうして?」「なんで?」「どのように?」等々、おもしろがる心を忘れないでください。知性は感性を磨き、感性は美意識を育てます。