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数学 吉原修一郎先生の学習アドバイス

MATH

数学

吉原修一郎先生

吉原修一郎先生

たくさんの生徒を第一志望合格へと導いてきた実績と、温かい人柄で圧倒的な支持を得ている数学講師。基礎から最難関まで、そして学年を問わず、目の前にいる生徒を思い、最高の授業を提供する。「数学って楽しい!」と絶賛される授業は常に生徒主体の対話形式で行われ、数学の思考法が自然と身に付くような工夫が随所に散りばめられている。

高3生 のキミへの学習アドバイス

いよいよ受験学年となり、志望校が決まりつつあるのではないでしょうか。高まる気持ち、焦る気持ちはひとまず置いておいて今一度、キミの数学の勉強法を振り返ってみませんか?

「言われたとおりに宿題もしているのに……」
「定期テストは何とかなるのに模試はさっぱりだ……」

など、数学に悩みを抱えている生徒は全国にたくさんいます。まずはっきりと言っておきますが、数学は間違った学習法ではいっさい成績は伸びません! 間違った学習法で貴重な時間を無駄にしないようにしましょう。

受験当日までの残された時間で最大限の学習効果を得るためには、今までキミの中で育ててきた数学を生かすことです。

例えば、自分で考えた答案が模範解答と違うからという理由でその答案を簡単に捨ててはいけません。途中までしか書けていなくても、少しのヒントや知識があればそれがハブとなって解き切ることができるかもしれません。校舎の先生にそのヒントだけもらうのもよい学習法です。キミの答案が模範解答よりも冗長であったとしても構いません。キミ自身から生み出された発想を大切にすること。逆に言えば自分の答案を他人の意見によってころころ変えない、自分で作った答案に責任を持て、ということでもあります。どうしてもうまくいかない場合、そのとき初めて模範解答のアイデアが改めてキミ自身の発想力の養分になるんです。今までキミの中で育ってきた数学を、これからも大切にしてあげてください。

まずは教科書の章末問題レベルの定着を

受験学年の夏休みはまとまった時間が取れる最後の機会です。その機会を最大限に生かすには夏休みに入る前に「基本的な数学力」を定着させておく必要があります。志望大学の難易度に応じてその「基本的な数学力」は異なりますが、教科書の章末問題が解けるレベルを目指しましょう。具体的には教科書の各単元ごとに章末問題→練習問題→例題の順で進めて「できないときは戻る」方針にします。章末問題があっさりとできてしまうのであれば、その単元をマスターしている証拠です。大切なことは「苦手意識がある単元を効率的になくしていくこと」です。一方で、東大・京大レベルを志望している学生は章末問題がスラスラ解け、さらに公式や定理の証明までできるようにしておくと、夏以降に効いてきます。例えば、いつもお世話になっている三角関数の加法定理、ちゃんと証明できますか?(過去に東大で出題されました)

数学は正しく学べば必ずキミに振り向いてくれます。焦らず一つずつ丁寧に数学と向き合ってください。そうすればキミの中にキミ自身の数学が育っていくことが実感できるはずです。それは誰も侵すことのできないキミの聖域となって人生を豊かにしてくれます。大げさに聞こえると思いますが、数学にはそんな力があると僕は思います。

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

勉強の型を身につけるために、中学数学で学んだ「三平方の定理」を例に説明します。皆さんご存知のとおり、直角三角形の三辺の長さの関係式を表す定理です。まずは使ってみましょう。いろいろな直角三角形に当てはめてたくさん計算してみる。その結果を定規で確認してみるのも楽しいです。そして十分使った後で、「どうしてこんな定理が成り立つのだろう?」という疑問を解消していきましょう。それが「証明」です。教科書を一行ずつ丁寧に読んでいきます。最後まで読めたとしてもまだそれで終わりではないですよ。今度は教科書を閉じて紙と鉛筆を持って自分でその定理を証明し直してみましょう。書くことって大切なんです。「この次は何を示すんだっけ?」この試行錯誤がキミの頭を成長させます。「証明もできたし完璧!」ならさらなる課題、「直角三角形じゃなくって鋭角三角形や鈍角三角形だとどうなる?」「この定理の逆は成り立つの?」など幅を広げていきます。

新しい公式や定理を学んだときは、使ってみる→証明してみる→変化させてみる。このステップで理解が深まり、キミの数学力が高まっていきます。

自分の頭を使ってとことん考える

算数や中学数学との一番の違いは学ぶ内容の多さです。さらには内容の抽象化、論理的厳密性なども加わります。何やら難しそうですが大丈夫です。それはキミたちが身体的にも精神的にも成長過程にあるからです。「自分の頭を使ってとことん考える」という意識を日々持ち続けてください。

部活動を含め、学校生活も思う存分楽しんでください。学生の本分は勉強だとは思いますが、勉強以外でも構いません。大切なことは、日々だらだらと過ごすのではなく熱中する何かに全精力を注ぎ込むことです。「熱中するものがない」のであれば僕と一緒に「数学」なんてどうでしょう。学年1位を目指すのも楽しいですよ。