• 東進タイムズ 2021年10月01号

物理 三宅唯先生の学習アドバイス

物理
三宅唯先生

「理論は知っているだけではだめ、それを行使できるかが重要」であるとし、原理・定義・法則の定性的把握と定量的行使を軸に、自然現象をグラフィカルに解析。それは公式を振り回すだけの物理を超え、因果関係を的確に捉える直感を君に与えてくれるだろう。公式の運用のみならず、それ自身の導出と解釈に重点を置いた講義で、森羅万象の謎を華麗に紐解いていく。

高3生

自分の得意な教科で勝負するのは、大学入試で有効です。苦手教科の克服だけでなく、得意教科の仕上げにも注力してください。

もし、物理を二次、私大に利用するなら、現段階で共通テストに焦点を当てる必要はありません。解答形式に慣れるためだけの訓練ならば直前の学習でも間に合います。腰を据えてきちんと物理に取り組みましょう。

法則の運用や計算に関する経験不足であれば単元・ジャンルを絞った演習によって短時間で解決します。法則自体や物理量の定義に関する理解不足であるならば、過去に受講したインプット講座における該当単元の復習を行うべきです。該当単元の確認テストに合格したことは「講義内容をしっかりと理解した」ということとは全く異なります。慎重に見直しましょう。

記述問題は「方針」と「立式」を簡潔に

物理では記述に細かな部分点を与えられるような設問を出題している大学が極めて少なく、ほとんどの問題で解答にのみ配点がなされます。また、国立・私立問わず制限時間が厳しい大学が多いため、解答用紙に記述欄が大きく与えられるような大学においても、方針と立式の簡潔な記述に努めるのが無難です。

入試本番では難しい問題にチャレンジするのではなく、確実に得点できる設問を選んで最優先に解きましょう。入試本番には制限時間があるからです。しかし、日々の演習においては制限時間を設けず、自分が解けるか解けないかのギリギリの問題にチャレンジしましょう。少しでも解ける範囲を広げるためにです。どうか、科学を学ぼうと決めたときの思いを忘れず、最後まで頑張ってください。

高1生・高2生

物理の学習アドバイスですが、できる限り数学を先取りし、数学Ⅲに比重を置いた学習を十分に行えるよう努めてください。難関大学現役合格の要は物理に関する精緻な理解ではなく、速やかでかつ正確な計算力です。物理の基礎理解は万人にとって難しいものであるため、ほとんどの大学において考察指針を設問誘導として与えています。加えて、自分で方針を組み立てる力は物理のインプット講座で養うことができます。これを受講する前にしっかりと計算力を身につけておいてください。

物理の始まりは力学です。力学への理解が疎かなまま、先に進むことがないように留意してください。

覚悟を持って物理に挑もう

物理の学習時間をタイムスケジュールにはめすぎると危険です。はじめのうちは一問に一時間以上かかることも珍しくなく、加えて考察を打ち切ることは浅い理解に留めることに直結します。じっくりと取り組める時間と場所を確保しましょう。

基礎理解は一朝一夕では到底成り得ません。短い期間で付け焼き刃の対策をして合格水準に達する大学はほとんどありません。物理を受験教科に利用するという選択をした以上、覚悟を持って挑んでほしい。難しいからこそ手に入れる価値があるのです。物理学習で得た科学の視点は、必ずや皆さんの未来を拓く原動力となるでしょう。一緒に頑張りましょう。


以下、WEB限定記事!

物理が不得手な学生は「①深い考察や繁雑な計算を最後までやり遂げるにあたり抵抗がある」「②これまでの人生における現象観察および経験が不足している」という傾向があります。

〈物理の学習への取り組み〉

①については性格や気質の問題ですから、これ自体を変えることは極めて難しいと考えます。無理をせず簡潔な問題からで構わないので、考察が得意な人の3倍以上やるつもりで大量の演習を積んでください。問題別に利用する法則の選び方から計算の仕方まで身体になじむまで演習し、見たことがない現象をなくしていけば、やがてある程度の得点は取れるようになりますから安心してください。学習の効率は悪いように感じるかもしれませんが、科学においては「考えること」だけでなく「知っていること」だって立派な学力です。いずれ考えることができるようになった時のために、今は経験的財産を備えているのだと思ってください。

しかしもし、深く考えることに強いストレスを感じないのであれば、現象を味わい尽くすように一問一問に考察の時間をかけてみてください。物理の場合、その方が学習効率はかえって高いと思います。問題が解けたら目的達成ではありません。安易な答え合わせをすることなく、それが適切な解答であることを別解や検証によって自ら保証できるかを自問自答してください。問題に問われていないことも考えてください。グラフを問われていなくてもこれを描き、組み合わさった物理量同士の関係について考察してください。また、理論講義などで学んだ物理法則の導出過程を全部自分で書けるように訓練するのもよいと思います。物理の全範囲を通してこれらができれば入試物理で困ることはなくなります。しかし、全範囲についてこれらを行うことにはかなりの時間がかかるので、とりあえず力学だけ、と絞ってやるのもよいでしょう。

②については、見たことのない現象についても「確かにそういう現象がありそうだ」という類推と柔軟な想像力につながる資質です。これが弱くても基礎的な定義と法則を正確に理解し、高校範囲にとらわれず高度な計算技術を身に着けさえすれば物理はできるようになります。高校範囲の物理では最小限の計算技術で大まかな物理の全体像を掴むことを目的としているようなので、学習範囲を無理に高校範囲に限ってしまうと、原理から結論をつなぐ梯子(計算)が脆弱となるため基礎の理解が曖昧になるのです。梯子なしに学習を進めるためには、高い注意力と現象経験による跳躍が必要となります。器用に跳躍することが苦手であり理系数学が得意な学生は、時間が許すのならば高校範囲にとらわれず数理的に物理を学習するとよいでしょう。

跳躍に外的要因を求めるのならば自分にとって「わかりやすい」と思える講師の講義を受講するのも方法の一つです。しかしその場合、飛び方を教わっても自分の力で飛べるようにするための訓練を怠ってはなりません。わかるのとできるのではかなりの差があることはおわかりでしょう。物理の講義は予習より復習です。その時間を惜しめば何もなしえません。

三宅先生から言葉の贈り物
<過度な科学技術は魔法と区別がつかない(アーサーCクラーク)>

職人たちが受け継いできたものづくりの技術と、科学者たちが築き上げた科学理論との融合である科学技術は、過去の人にとって信じられないことを実現してきました。科学の記述である数式を学ぶことはまるで魔法を学ぶことのようであります。ようこそ。魔法学校へ。