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英語 宮崎尊先生の学習アドバイス

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英語

宮崎尊先生

宮崎尊先生

『英単語の集中講義』などの参考書の執筆のほか、雑誌『TIME』や数々のベストセラー作品の翻訳も手掛け、英語界でその名を馳せる有名実力講師。英語を日本語に置き換えるのでなく、英語そのものをとらえる独自の読解法で受験生を難関大合格へと導く。英語を知り尽くした男が最高レベルの授業を約束する。

高3生 のキミへの学習アドバイス

共通テストの対策において、「表面読み」をしないことです。「内容」を考えるのです。英語を読んでいるとどうしても、内容ではなく字の表面を目が滑っていくということが起きがちです。その結果、内容が頭に入らないから二度読みをする、読むスピードも落ちる、解答につながらない、ということになります。

“Increased demand causes prices to rise.”
という文を「increaseは増加で、その過去分詞形がdemand(需要)という語を修飾している。causeはここでは動詞だから『引き起こす』と訳すんだな......」なんて考えているのは、表面を撫で回しているに過ぎません。

動詞のcause(原因となる)が因果関係を示しているわけですから
[Increased demand] causes→[prices to rise].
[原因]が(もたらす)→[結果]
のようにcausesの左側が「原因」、右側が「結果」です。これが「内容」です。「需要が増えると物価が上がる」と、常識的なことを述べています。

設問で問われるのは常に「内容」です。今までやってきた文法や構文や訳語などは、そこに至る手段に過ぎません。ですから、問題文を読むときにはそうした手段は全部忘れて(身についたものは無意識に働きますから、心配無用)内容に集中することです。

「完璧」ではなく「最善」を実行する

多くの人は志望校の個別試験で、共通テストよりもレベルの高い英語に出会うことになります。未知の単語やフレーズにも出会うでしょうが、「内容はどういうことか」「何が言いたいのか」を必死に考えることで、それはかなり克服できるものです。内容に集中する学習をより真剣に実践してください。

仕事には締め切りと予算があります。だから綿密に計画を作って(遅れも計算に入れて)、限られた予算の中で、完璧でなくても最善のものを提供します。これは、自律的に仕事をするすべての社会人がやっていることです。無我夢中で作業することもありますが、根性論なんかではなく、計画に従った合理的な努力です。みなさんも同じようにやってください。まずは計画表。そして、目標は満点合格ではなく、合格基準点のクリア。仕事は現実的に!

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

“This is all we know.”という文は、どういうことを言っていますか?英語ができる人とそうでもない人を見分ける、いい問題だと思います。

実際に生徒に聞いてみると、だいたい8割ぐらいの人が「これは私たちみんなが知っている」と答えます。その人たちは、ちょっと、イマイチなわけです。

2割ぐらいの人が正しく「私たちが知っているのはこれだけだ」と答えます。

“This is all.”(これがすべてだ=他にはない=これだけだ)と“We know it.”(私たちはそれを知っている)の2つの文を関係代名詞でつないだら“This is all that we know.” となる。この that は多くの場合省略されるから“ This is all we know.”となる。

このように説明すると、ほとんどの人が「知ってる」「習った」と言うけれど、習って知っていることが実際の英語で生かせていないのですね。

“This is all I can say.”(言えるのはそれだけ)とか、“All you need is love.” —the Beatles(愛さえあればそれでいい)なども「構造」は同じです。

文法・構文の授業を通じてこうした「構造」の意識を強めることは、特に難関大受験者には必要です。

英語に心が向いたら習慣を変えるチャンス

そういう意味で、「共通テスト同日体験受験」などの模試は役に立ちます。まだ高得点を求める必要はありませんが、この先修得すべき能力が見えてくるところがいいのです。多くの人が「語彙力の不足」を感じると思いますが、文が「構造的に」正確に読めているかどうかも、考えてください。知っている単語をつなぎ合わせて......では、すぐ行き止まりになります。

高校の教科は、一気にやれば100時間でマスターできるのです。ただし、心がそちらに向いていれば、ですが。もしも英語に心が向いたら、文法・構文でも、単語力増強でも、日常会話表現の記憶でもいい、とりあえず1日90分×10日間続けてごらんなさい。10日間続けられる人は、今後何をやってもきっとうまくいきます。

できない人は、心が向く時を待つしかないのですが、その時はいつか、否応なしにやってきます。結局やらなければいけないのなら早い方がいいですね。