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古文 栗原隆先生の学習アドバイス

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古文

栗原隆先生

栗原隆先生

20年を超える指導経験から、東大・難関大志望者に絶大な信頼を得る真の実力講師。「構造分析による本文解釈」と「出題者の心理・行動分析による設問解法」を軸に、独自の図表や心和ませる古典エピソードを交え展開される講義は必聴。あらゆる入試問題にも素早く、確実に正解へ導く本質の指導を追究する。

高3生 のキミへの学習アドバイス

大学入試では「問題」の構成を大きく捉える視点が大切です。具体的には次の順番で分析してください。
1 現代語の情報(リード文、注、設問文など)を収集し、ここまでで得られる情報を整理する。
2 設問はいくつあるか?また、何(解釈・心情・理由説明など)が問われているか?
3 問題文(【文章I】、【文章Ⅱ】など)はいくつあるか?また、それらの関係性(接点となる要素)は何か?
4 問題文の構成(段落・場面など)を考えたうえで読む。
5 答えは問題文のどこに配置されているか?

二次試験や私立大学で「古文」が出題される方は、共通テスト後こそが実力発揮の機会だと考えてください。「古文」とは「文献の解釈」です。与えられた文献を分析して、その内容を解明するという科学的な作業に挑んでいるのだと思ってください。その過程で培われた能力は、今後皆さんの人生の中で確固たる武器になるはずです。

そのためにも、次の3点に気をつけてください。
1 日本語の統語論(文法)を理解しているか?
2 基本的な語彙の知識は身についているか?
3 「古文」を構造で読んでいるか?

受験勉強とは人格を形成する知的行為

大学への受験勉強は、他の資格試験などとは違って、「手っ取り早く、効率的に、必要最小限の時間と努力」でするものではありません。「文学、外国語学、数学、理科、社会」は「教養」そのものと言っていいものです。そして、「教養」を培うための努力を生涯行うのが人間だと、私は思っています。

受験勉強がつらくなったら、こう思ってください。「今の自分の苦しみ・悩みは、将来のあるべき自分を作るための産みの苦しみなのだ」と。今皆さんがなさっている受験勉強とは、皆さんの「人格」の知性的な部分を構築するための作業なのです。

「人格」とは、「理性的存在者として自律的に行為する主体」のことです。知性的側面、感性的側面を含めて、その人の持つ性格、個性、行動様式すべてを指します。そして、これはけっして先天的なものではありません。その人が自分で作り上げるものです。よく、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」と言いますが、この「未来の自分」こそが、その人が求める「人格」です。

あなたは、どんな「人格」になりたいですか?けっして、「無知で、軽薄で、感性の鈍い」大人にはなりたくないはずです。

今の苦労は、明日のあなたのために必要なものなのです。お説教くさいと感じるかもしれませんが、遠い未来にもう一度このことを思い出してくださると、とても嬉しいです。

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

古文の学習のために必要な知識・技能は「文法」と「語彙」です。現代語を話す時、人は「文法」をまったく意識してはいません。しかし、言語類型の違う言語を学ぶときは、最初に文法を理解しないでその言語を読解することは、不可能とは言えませんが、とても大きな遠回りとなるでしょう。

「古文」において、その文法的機能を担う助動詞・助詞は、現代語のそれとは一致していません。同じ日本語であっても、その文法的構造と機能の理解が必要となるのです。ただし、文法の理解は苦行ではありません。古文は「現代日本語」の祖語なのですから、より深い現代語の理解のためにもなるのです。

多義語を意識し語彙力を培う

語彙の表す「意味」は、通時的(歴史的)にも変化するし、共時的(同じ時代)にも状況によって異なる意味を表す場合があります。至極当然のことですが、「一単語=一意味」ではほとんど解釈の役に立ちません。ほとんどの語彙は「多義語」です。ここが受験生の嫌うところかもしれませんが、転義(意味の変化)の道筋を辿るのも興味深いですよ。もし単語集を使うのならば、よく使われる「意味」がもれなく説明してあるものを選ぶのがいいでしょう。

一般に大学受験に必要な英単語数は6000〜7000語と言われているのに対して、古文単語は300語程度です。一日10語勉強していけば、1カ月で終わるでしょう。興味を持って、楽しみながら覚えてほしいものです。