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英語 宮崎尊先生の学習アドバイス

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英語

宮崎尊先生

宮崎尊先生

『英単語の集中講義』などの参考書の執筆のほか、雑誌『TIME』や数々のベストセラー作品の翻訳も手掛け、英語界でその名を馳せる有名実力講師。英語を日本語に置き換えるのでなく、英語そのものをとらえる独自の読解法で受験生を難関大合格へと導く。英語を知り尽くした男が最高レベルの授業を約束する。

高3生 のキミへの学習アドバイス

時間管理が勝負です。夏休みの初めから終わりまでの、すべてのカレンダーを自分で作るところから始めましょう。スマートフォンやタブレットのカレンダーではなく、気に入ったノートを新しく買って、日と曜日をすべて書き、一日を午前/午後/夕食後の三つに分け、その日の作業を書き込みます。同じ作業を一日ぶっ続けでやるよりも、午前、午後、夜の作業は変えたほうがいいです。私も仕事の段取りは自作カレンダーにペンで書き込んでいます。自作することで、自分の仕事という実感が湧いてきます。

とりあえず作業を始めて「今日はどこまでいくかなあ」などというのでは話になりません。例えばある問題集が256ページあるとしたら、そしてそれを2週間で終わらせようとしたら、一日18ページを機械のようにこなしていくのです。気持ちよく進むことばかりではありません。難渋することもあるでしょう。そういう場合、多少飛ばしても構わないから先へ進むのです。とりあえず進んでいくうちにわかってくることもあります。後から戻ってやっても構いません。

3分の2に到達するための作戦を考える

いろいろな参考書や問題集の最初の方だけやって途中でやめてしまう学生を、私は大勢見てきましたが、そういう人は悪い意味で perfectionist(完璧主義者)で、ちゃんとできないと嫌になっちゃうんです。その結果仕事が進まない。Perfectionismand procrastinationhave such a fine line.(完璧主義と先延ばしとは紙一重の差)です。完璧でなくても、3分の2の出来でもいいから、締め切りには間に合わせるのです。どんなにいい出来でも締め切りに間に合わなければその価値はゼロです。仕事というのはそういうものです。

皆さんの締め切りは試験日です。そしてほとんどの大学は3分の2の得点を取れば落ちません。

夏は過去問演習に取り組む人が多いと思いますが、この3分の2ということは忘れないでください。満点までどれだけ遠いかではなく、あと何をやったら3分の2に達するかを考えてください。

入試問題の出題者は受験生が満点を取ることを予想していないどころか、満点は取らせないぞ、というような問題をかなり用意しています。

模擬試験はそれぞれの大学の過去問のレベルと形式を再現しますから、こういった難問も作らざるを得ませんが、多くの人はそうしたもので正解できなくても気にすることはありません。まともな基本問題と難問の区別は簡単です。解答・解説授業を見て、間違えた箇所が、なるほどそうか、悔しいな、と思えるものは基本問題で、また出るから次にはできる。解答・解説を聞いてもよくわからないものはきっと難問です。重要なのは、基本問題は繰り返し出題されることです。

こうして得意科目が3分の2に届く感触を得たら、不得意科目に重点を移していくのです。3分の2を満点に持っていくよりも3分の1を3分の2へ持っていくほうが簡単です。限界効用逓減の法則です。

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

夏は、勉強以外のことにも力を入れられる貴重な時期だと思いますが、9月に学校に戻った時、英語に関して自信がついているといいですね。どうせならこの先ずっと役に立つことを二つ。一つは単語の数を増やしておくこと。もう一つは英語の構文を身につけること。

福沢諭吉の『福翁自伝』には、初めは塾で文法と構文を教わるが、次の段階ではそれぞれ辞書を使って自分の読みたいものを読んでいく、ここではもう「質問を試みるような卑劣な者もない」と、なんだかすごいことが書いてありますが、要は、構文を身につければ、その気になれば一本立ちできるということ。単語は辞書があればいいわけですが、それでも基本的な語彙がないと英文を読んでいるのか、辞書と格闘しているのかわからなくなっちゃう。

単語も構文も自分で決めた講座や、参考書などを使って、それを最後までやること。これができた人は英語の地力がつくことを保証します。

英語学習は肉体トレーニング

大切なことを一つ。英語は学問ではなく、むしろ肉体トレーニングに近いものですから、頭より手と声が重要です。構文などの説明が仮によくわからなくても、その文を書いて覚えちゃう。そのために、新しい仕事を始めるときには新しい気に入ったノートと、新しい気に入ったペンを用意するのです。ノートのページが埋まっていく、ペンのインクが減っていくことを楽しんでください。夏の午前中、決まった時間にこんな作業を楽しめる人は、この先何をやっても上手くいく人でしょうね。そして、午後は好きなことをやる。