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サイエンスセミナー 永瀬賞最優秀賞 内田 健一先生

サイエンスセミナー 永瀬賞最優秀賞 内田 健一先生
サイエンスセミナー 永瀬賞最優秀賞 内田 健一先生
 
第4回フロンティアサロン「永瀬賞」の授賞式が帝国ホテルで行われた。「永瀬賞」は最先端の分野で更なる飛躍が期待される若手研究者に贈られる賞だ。
「皆さんに足りないもの、それはチャレンジ精神です」。 壇上挨拶で大学教授は続ける。「高校生は疑問があればいつでも大学を訪ねてください。受け身にならず何事にも挑戦してください」。内田先生の受賞はたゆまぬ挑戦の結晶といえる。最先端の研究とともに、 チャレンジすることの大切さを、この講義から学びとってほしい。
太陽と地球の関係がヒント!?
大学4年生が発見した未知の世界とは?
パソコンに塗るだけで発電!?
「スピン」が生む革新的テクノロジー
熱から電流を作る現象を熱電効果と呼びます。その代表的な例であるゼーベック効果を利用すれば、熱電変換素子を作ることができます。身近なものでは、点火を温度で判断するガスコンロのたち消え安全装置などが あります。

私の研究成果はこのゼーベック効果のスピン版である、スピンゼーベック効果を見つけたことにあります。スピンゼーベック効果は絶縁体の磁石に温度差をつけるとスピン流が発生する現象です。 この現象の最も革新的なところは、複雑な構造や仕掛けが不要であるという点です。一般的に電気を通しやすい物質は熱も通しやすく、性能指数の改善が困難です。スピンゼーベック効果を利用することで、絶縁体を 用いた熱電変換も可能になるため、絶縁体層に熱を通しにくい材料を、金属層に電気を通しやすい材料を選ぶことで性能指数を稼ぐことができるのです。もう一つの重要な特徴は、スピンゼーベック素子の出力は素子 の面積に比例するというものです。つまり大きな面積の素子を作るだけで高出力を得られるのです。

スピンゼーベック素子は非常に薄く構造もシンプルなため、例えばコーティングなどによる大面積素子の作 成が簡単で、電子デバイスやパソコンなどの筐体に塗るだけで発電が可能になる可能性があります。今は大学や企業と協力しながらスピン流による熱電変換効率向上の未来に向けて、さまざまな取り組みを行っているところです。
趣味は「研究」と言えますか?
幸せな研究者になるための3+1カ条
ここで私の経験から重要だと思う、研究者になるための3カ条をご紹介します。

一つ目。良い意味で心配性になり、ポジティブな劣等感を持ちましょう。実験や研究の9割以上は失敗です。私は非常に 心配性で家の鍵は必ずガチャガチャ2回以上確認します。実験でも何度も徹底的に確認するので凡ミスがほとんどなく、これが実験で良い成果を出す秘訣だと思っています。常にモチベーションを維持できるのは、 劣等感や不安感があるからです。大学に入学した頃、私はまわりが非常に優秀に見え、「人よりも多く努力しなければ」と常に心掛けました。この劣等感がポジティブに働き、自然と努力するようになったことで 今の自分があるのだと思います。

二つ目。迷ったら直感を信じましょう。私はたまたま慶應義塾大学に見学に行った時に先生の話を聞いて、直感的にここに入らなければならないと思いました。「就活に 有利かも」、「早く帰れるかも」といった打算的な考えでなく、何をしたいかで研究室を選んでください。楽しく、やりがいがある研究の裏には膨大な失敗があります。本当にやりたいと思えなければ耐えられな いかもしれません。

三つ目。自分の専門で一番になってください。細分化したフィールドに関しては、指導教官よりも詳しくなるべきであり、そうなるよう努力すべきです。時々、上司や同僚と「研究っ て趣味みたいなものだね」という話をします。皆さんの当面の目標は大学入試だと思いますが、本当に楽しいのは大学での能動的な勉強です。ぜひ、大学入学が目標ではないということを覚えておいてください。
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