記述式・英語民間試験導入断念へ 共通テスト

大学入試の在り方を議論する文部科学省の有識者会議は22日、令和7年1月以降の大学入学共通テストにおける記述式問題と英語民間検定試験の導入について、公平性などの担保が難しいとして「実現は困難といわざるを得ない」と結論付ける提言案を示した。表現などに修正を加えた上で正式な提言としてまとめる。

文科省は提言を踏まえ、今夏にも導入断念を正式に発表する見通し。入試改革の2本柱は、共通テストで実施されないことになる。

提言案では、記述式問題について、質の高い採点者を確保する難しさに加え、試験実施後に短期間で約50万人分に上る答案を正確かつ公平に採点する難しさなどが解決困難な課題として示された。

英語民間検定試験は「読む・聞く・話す・書く」の4技能評価を目的に活用を検討した。試験によって会場数や検定料、実施回数などが異なり、受験生の居住地や経済状況で生じる不公平などを「克服することは容易ではない」とした。

提言案ではいずれも共通テストではなく、各大学が行う個別試験での充実を目指すとした。国に対しては記述式で作問と採点の負担軽減策や、英語の4技能育成につながるガイドライン策定の検討を促した。

文科省は今年1月の共通テストで導入する計画だったが、教育関係者らから否定的な意見が相次いだため延期。新学習指導要領で学んだ高校生が受験する令和7年以降の導入を改めて検討していた。

■入試改革の2本柱断念…理念先行で受験生翻弄

導入が見送られる見通しとなった記述式問題と英語民間検定試験は、マークシート方式による暗記偏重を脱却し、情報化社会に求められる思考力や表現力といった能力の向上を目指すため、入試改革の2本柱として位置づけられてきた。だが、高い理念とは裏腹に、大学側との調整不足など十分な議論が後回しにされてきた側面は否めない。受験生を翻弄した教育行政の失策は、今後の入試改革に向けた教訓となる。

■大学の理解なく

「あのまま実施していたらもっと大きな混乱が生じたかもしれない」。22日に示された有識者会議の提言案を踏まえ、萩生田光一文部科学相は一昨年の導入延期の判断を振り返った。

文科省は当初、今年1月の共通テストからの導入を構想していた。しかし、英語民間検定試験で会場の都市部偏在や高額な検定料など地域や経済の格差を払拭できないことが問題化。記述式の採点でも公平性や正確性の確保など課題が浮上したため、文科省は実施まで1年余りに迫った段階で導入延期に追い込まれた。

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