文部科学相 一斉休校要請せず 大学入学共通テスト予定どおり

緊急事態宣言が出された場合の対応について、萩生田文部科学大臣は、小中学校や高校に対して一斉休校を要請せず、今月16日から始まる「大学入学共通テスト」については、感染防止対策に万全を期したうえで予定どおり実施することを正式に表明しました。

緊急事態宣言が出された場合の対応について、萩生田文部科学大臣は臨時の記者会見を行いました。

この中で、小中学校や高校の一斉休校については「現時点では、児童・生徒の発症や重症の割合は低く、学校から地域に感染が広がっている状況ではなく、子どもたちの学びや心身への影響の観点から避けることが適当だ」と述べ、要請しないことを明らかにしました。

そして、大学については、対面授業とオンライン授業を適切に活用するよう求めました。

また、部活動については、集団内での感染拡大の可能性があるとして「特に高校では、感染リスクの高い活動を一時的に制限することも含め検討するなど、感染症への警戒を強化してほしい」と呼びかけました。

一方、今月16日から始まる「大学入学共通テスト」については、感染防止対策に万全を期したうえで予定どおり実施することを正式に表明しました。

また、小中学校や高校の入試についても各教育委員会など、学校の設置者に対し予定どおり実施するよう求めました。

歓迎の一方 感染への不安を訴える声も

文部科学省が小中学校や高校に対して一斉休校を要請しないと正式に発表したことを受け、JR渋谷駅前では保護者や子どもたちから歓迎の声があがる一方で、感染への不安を訴える声も聞かれました。

都内に住む小学生の2人の子どもがいる40代の母親は「去年の一斉休校では、自分が在宅勤務をしながら子どもたちの世話をするのは非常に大変だったので、一斉休校をしないということでよかったと思います」と話し、小学5年生の娘は「感染は心配ですが、学校では給食の間も話をしないなど対策をしているし、ずっと家にいるとお母さんとけんかになるので、学校で勉強できるのはよかったです」と歓迎していました。

一方、小学4年生の息子がいる40代の母親は「子どもがコロナをとても怖がっていて、親としても学校にいる間にちゃんと手洗いやうがいをできているのか見られないので心配です。ですが、私も仕事をしており、家で子どもを1人で留守番させておくのも心配なので、悩ましいところです」と話していました。

また、都内の中学校に通う1年生の女子生徒は「学校は休みたかったので残念ですが、前回の休校では入学したばかりで休みになり、友達もできず大変でした。これからもみんなの意見を聞きながら勉強ができるのでよかったです」と話していたほか、神奈川県の高校に通う2年生の男子生徒は「学業が止まらないのは安心しましたが、特別に影響を受けないことで感染に対する意識の変化は感じにくいと思う。今後、一層、手洗いやうがいなど、基本的な対策を注意していきたい」と話していました。

受験生 ひとまず安心 個別入試には心配の声も

「大学入学共通テスト」は、予定どおり実施されると正式に発表されたことを受け、都内の予備校に通う受験生からは安心する声が聞かれた一方、各大学の個別試験への影響を心配する声も出ています。

共通テストを受ける予定の予備校生の男性は「共通テストを利用しての受験を考えていたので、改めて試験がなくならないと聞いてほっとしています。受験生はマスクを着用し、距離をとって試験を受けるので感染するリスクは低いと思いますが、安心して受験できるよう会場の大学などには引き続き対策を取ってもらいたいです」と話していました。

また、高校3年生の男子生徒も「コロナの影響で模擬試験を会場で受けられず、共通テストが初めて会場で受ける試験になるため、2月以降に本格化する各大学の個別入試に備える意味でも、受験できるのはよかったです」と安心した様子で話していました。

一方、共通テストを受けない受験生からは今後の各大学の個別入試への影響を心配する声が聞かれ、予備校生の男性は「緊急事態宣言が出て仮に予備校などが閉校すると、自宅で同じように勉強することは困難なので、受験生への配慮をお願いしたい」と話していたほか、高校3年生の男子生徒からは「地方の大学に受験に行く際に、移動に制限がかかることがないようにしてほしい」と行った声も出ていました。