英語民間試験「積極活用」の大学、方針転換に苦慮
2020年度に始まる大学入学共通テストでの英語の民間試験の活用見送りを受け、全国の公私立大が13日までに対応方針を公表した。個別試験の英語を廃止し、民間試験で代用する予定だった「積極派」を中心に対応に苦慮する大学が続出。個別試験の復活を断念し、共通テストだけで英語の力を測るといった緊急対応を迫られた。
民間試験は英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)を評価する狙いがあったが、受験機会など公平性への懸念から文部科学省は11月、大学への成績提供システムの導入見送りを決めた。
各大学はシステムを通じて民間試験の成績を受け取ることができなくなったが、受験生に成績を提出させる方法によって民間試験を独自に活用する道は残されていた。
文科省は各大学に12月13日までに民間試験を独自に活用するか方針を示すよう求めた。国立大は大半が11月末に方針を示し、約8割が一般入試で活用しないと発表した。
12月13日までに対応を公表した公私立大も「成績データを独自に集計し、評価する人員や経費の確保が難しい」と活用を見送る例が目立った。大学入試センターが実施する共通テストの「読む・聞く」のみの試験や、大学ごとの個別試験で英語力を測ることになる。
河合塾によると、文科省の見送り決定後も民間試験を活用する大学は、これまでも成績を受験生から取り寄せ、独自に活用してきた大学が多い。公立では数校、私立では全体の3割程度だ。
逆に対応に窮したのが、成績提供システムの運用開始を前提に個別試験を廃止する予定だった大学だ。首都大学東京はシステムの導入見送りを受け、20年度入試での英語は共通テストのみとすることを決めた。
19年度と同様に個別試験を課す選択肢もあったが、「実施まで1年半を切った今、入試方法の大きな変更は受験生に不利益となる」と判断した。
早稲田大の政治経済学部は20年度の一般入試で外国語の個別試験をなくし、共通テストと民間試験、日英両言語の長文を読解する独自の問題を課すとしていた。民間試験の活用を取りやめたため、実用的な英語力を少しでも測ろうと、英文を書く記述式問題を独自に追加することにした。
立教大も当初は一般入試で英語の独自試験を原則廃止、民間試験で代用する方針だった。文科省の見送り表明後に独自試験の復活も検討したが、英語4技能を問うために民間試験の成績は独自に活用すると決定。民間試験の受験が難しい場合は、共通テストの成績だけでも認めることにした。
文科省は今後1年間をかけて検討し、24年度に新しい英語入試の実施を目指すとしている。