共通テストの記述式利用、私立は4割 国公立は9割超
2021年1月に初回がある大学入学共通テストで導入される国語の記述式問題をめぐり、合否判定などに利用する一般入試が私立は4割にとどまることが文部科学省の集計でわかった。国公立は9割を超えた。利用しない大学からは「公平性が担保されていない」などの声が上がっている。
共通テストはほとんどがマークシート方式だが、思考力や表現力を試すため、国語と数学でそれぞれ記述式が3問出る。国語は5段階で評価。マークシート方式の成績に加点などをして用いる。
文科省は全国の国公私立大758校の一般入試を、学部学科や入試方法別に調査し、10月11日時点の利用予定をとりまとめた。
一般入試は全体で計1万264件あり、49%の5062件が国語記述式を使う。国立の利用率は99%、公立は96%あったが、私立は36%にとどまった。
国公立はほとんどが国語の記述式を活用。私立では共通テストを使うが国語の記述式を使わない一般入試が約1千件あった。
文科省は利用しない理由について「各大学が様々な状況を見極めている可能性があるが、十分に把握できていない」とする。
記述式を巡っては採点の公平性に疑問の声があり、大学が消極的になっている可能性がある。50万人規模の解答を約20日間で採点するため、採点者は1万人程度になるとみられ、採点にブレが出るとの懸念は消えない。正答の条件を踏まえた自己採点が難しく、出願先選びに影響するとの声もある。
明治大は共通テストを利用するが、国語記述式は使わない。「受験生ファーストの観点から、採点の質と公平性が担保されていないのではないかと考え、採用しない判断に至った」としている。
予備校関係者からは「国立大は横並びで『使う』としているのだろう。一部大学では記述式を使うと受験生から敬遠され、受験者数が減るとの懸念もあるのではないか」との指摘も出ている。