こんなときはどうする?
少しずつで十分です!
口出し・ダメ出しを応援・信頼に変える
声のかけ方&接し方
「ネットやゲームは控えなさい」「勉強しなさい」「早く寝なさい(起きなさい)」……。大学受験を控えたお子様の努力や大変さを思うほど、つい増えてしまう口出し・ダメ出し・親子げんか。受験期のお子様にかける言葉や接し方には、戸惑うことが多いものです。わが子と意見が合わない・親の考えが伝わらないときは、コミュニケーションを少し見直してみませんか?一言、一手間の工夫でも十分です。親が正解や常識を示そうとがんばらず、まずは肩の力を抜いて、お子様の気持ちに寄り添って。お互いに理解し合えるわが家の納得解を、お子様と一緒に引き出す方向へ軌道修正してみましょう。親も子も、問題を一人で抱え込まずに協力し合うことで、受験が家族の共感や信頼をさらに深めるかもしれません。
CASE 1
モチベーションが下がっているときには本人にもその原因がわからない、うまく言えないことが多いもの。「なぜ大学受験をするのか、それが自分の将来とどうつながっているのか」というビジョンを見失っている可能性も。励ましがプレッシャーにならないように、本人が自ら目標や自信を取り戻せるようなお膳立てを。成績の話や親の気持ちはいったん胸に留めて、「何のために勉強したいのか」「将来の夢やどんな人間になりたいのか」について、本人の話に耳を傾けてみましょう。思いを打ち明けやすいように、相槌を打って話を聞いたり、頷いて話を受容するなど、会話にはゆとりと心遣いを。夢をありありと語ることは、自分からやる気を取り戻し、モチベーションを回復するきっかけになります。
ポイント
CASE 2
価値観が多様化し、AIやデータサイエンスといった新分野で活躍する人財が次々と育つ第4次産業革命時代。従来の文系理系では分けられない学部も増え、これまでにない学びの領域が台頭しつつあります。したがって、わが子の選択を保護者の価値観でダメ出しするのはNG。将来の可能性を狭めることになりかねません。それでも偏差値や学校名に納得できないときは、否定したり非難したりせず、わが子の希望ファーストで夢や目標に寄り添い、共感することから始めましょう。そのうえで、安易な選択をしていそうな時にこそ「こんな大学もあるよ」「やりたいことで選んでる?」と提案しつつ、「この道に進むにはこの大学のこの学部」という専門性や最新情報を親子でリサーチするといいでしょう。保護者も情報更新が不可欠です。
ポイント
CASE 3
部活で得られる仲間や経験はかけがえのない一生の財産。さらに、部活で培った体力や忍耐力は受験勉強にも発揮されます。勉強時間をしっかり確保できれば、部活との両立はむしろプラスと言えます。一方的に部活より勉強というジャッジをせず、ありのままの姿を受け入れて応援しましょう。疲れて帰宅したところに頭ごなしに「勉強は?」と言われても、本人には響かないもの。家でのリラックスが勉強にも部活にも役立つように、生活面のサポートを。例えば、眠くなる時間帯に無理に勉強させようとせず、帰宅したら食事やお風呂、睡眠などで一息入れさせて、疲労回復できる環境を整えるのも手。その分朝早く起きて勉強するなど、生活リズムにあった時間の使い方を。
ポイント
CASE 4
勉強に打ち込んでいる時には、うまくいかないことやちょっとしたつまずきで、イライラが募るもの。塞ぎ込んだり、暴言を吐いたりすることもあるかもしれません。あまりためこませないように、できる限り些細な兆候を見逃さず、見守っていることを伝えましょう。顔色が悪そうなら「夕べは眠れた?」食欲がなさそうなら「何か食べたいものある?」など。無理に介入しようとせず、ガス抜きすることで話しやすい雰囲気作りを。しかし時には思いやりの言葉や態度さえ届かないこともあるものです。こんな時は動揺せず、あえてそっとしておくことも必要です。沈黙は決して悪いことではありません。何か言わなければと気にしすぎなくてもいいのです。大切なのは親子が安らげる空間に共にいるということ。会話が生まれない場面でも、それは本人にとって深く考えたり、模索したりしている有意義な時間であるかもしれません。
ポイント
CASE 5
模試の判定が不本意だったからといって、親も一緒に落ち込まないで。2020年の大学入試改革の意図を思い出してください。「知識・技能」だけではなく、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が評価されるのです。不本意な結果を気にしすぎず、あきらめない力を試すチャンスとポジティブに捉え直してみたらどうでしょう。実際に、成績は努力次第で伸ばせるのですから。まずはしっかりと模試の復習からリスタートを。情報を集め直したり、スケジュールを組み直したり、日々の小さな目標設定から戦略を立て直すチャンスです。例えば、英単語を1日100個覚える、いつまでに参考書の何ページまで終わらせるなど、1日単位もしくは1週間単位の目標を立てたら、それを焦らず見守りましょう。お子さまが目標を達成したら、努力の過程を褒めて伸ばす。そうすることで仕切り直しスタートができます。
ポイント
CASE 6
わが子が日常生活で大切にしているスマホの役割や価値が親とは異なっていたとしても、「勉強できていないのはスマホを持ったからだ」と全否定せず、親の正論を押し付けないようにしたいもの。スマホを使うことをやめさせるのは難しいので、勉強などの決まった時間帯は親がスマホを預かる、ゲームに充てる時間を決める、アラームを設定するなど、取り扱いに関してお互いに納得のいくルールを作るのがおすすめです。また、東進の高速マスターの活用など、スマホも勉強のためのツールとして活用させることで、自分でけじめをつけさせるのも良いでしょう。それでも難しい場合は、勉強の環境にスマホの使えない場所を導入してみては。図書館や予備校など、周りが集中している環境を利用するなどして、本人が自分自身で変わることが一番の解決策です。
ポイント
CASE 7
大学受験体制を整えたい大切な時に、思うような毎日が送れない……。この時期の生活リズムの乱れには、不安やストレスのサインが隠れているかもしれません。サボリや甘えと場当たり的に判断したり、その場限りで時間をせかしたりする前に、保護者も一呼吸を。お子様を変えなければと親が焦っては、不安やストレスの連鎖になりかねません。お子様の境遇に思いを寄せて、人ではなく環境を変えてみましょう。例えば親子の会話の時間を意識することを手始めに、会話から得られたヒントを元に食事や入浴時間を変えたり、リラックスタイムを設けたり。自己管理能力を意思や人間性に求めるよりも、すぐに実行できる作戦を考え、環境を整えることで、親子が別々にイライラしないリズムを取り戻しましょう。
ポイント
お子さまも悩んでいます
「自己管理がなかなかできません。どうすればいいですか。 (高2男子)」
参考にしたいアドバイス
千葉大学 教育学部教授 高橋浩之先生
「自己管理「スキル」を身につけてやる気をうまく引き出そう 」CASE 8
自分のことをありのままに他者に話す行為のことを「自己開示」といい、誰からも好かれる人は、この自己開示をしていることが多いことが分かっています。自己開示には返報性があり、例えば失敗談をされると自分も失敗談を話そうという気持ちになるもので、そこで理解や共感が深められているのかもしれません。そんな自己開示の積み重ねが人と人が仲良くなる過程だと心に留めて、お子様がその機会に慣れ親しむことに協力しては。基本的には、親も普段から考えていることや感じていることをお子様に話すことから。このとき、親の望みや勉強や成績の話に終始するのは避けましょう。愚痴や悪口などネガティブな内容や、一方的な期待や干渉もいただけません。お子様の自己開示体験を共に楽しみましょう。
ポイント
お子さまも悩んでいます
「親しい友達ができません。どうしたらいいですか。 (高3女子)」
参考にしたいアドバイス
比治山大学 准教授 塚脇涼太先生
「自己開示をすることで、相手と情報交換をしよう」CASE 9
学校に行きたくないと言ってくるのは、ギリギリのSOS。親に向けた信頼や訴えをしっかり受け止めましょう。それには、いったん休ませることもとても大切な選択肢の一つです。そして、なぜ行きたくないのか何に苦しんでいるのかを冷静に考えましょう。そのうえで、保護者の反省や今の気持ち等をお子様にしっかりと伝えて、今後どうすればいいか一緒に考えさせて欲しいと話してみるなど、ぶれずにお子様の気持ちに寄り添い、味方であってください。現在は、文科省でも、学校に戻すことだけが全てではなく学ぶ機会が得られるようにすることが大切だという方針を打ち出しています。学校に行くことがつらいお子様が、苦痛や絶望ではなく夢や志を学べる環境をあきらめないために、サポートに徹しましょう。
ポイント
保護者も悩んでいます
「子供が学校に行きたくないと言うのですが、どう対処すればいいのでしょうか。 (保護者)」
参考にしたいアドバイス
不登校新聞 編集長 石井志昴先生
「思い切って学校を休ませるのもあり! 子どもに寄り添い、学ぶ機会を提供してあげましょう 」CASE 10
大学受験を取り巻く社会の変化も著しい今、高校生の進路を見守る保護者は気が気ではありません。それだけに、なるべくわが子との関わりを持っておきたいのですが、勢い余ってそれが過干渉と嫌がられることも。受験に保護者の行動や態度が影響することを考えれば、良き相談者、理解者、支援者としてちょうどいい関わりで接したいものです。それには、保護者自身の心配と、お子様に関する心配をしっかり区別して臨みましょう。保護者の不安をお子様に投影して先回りして否定したり心配したりすることが増えていませんか。今、お子様が興味を持つ大学の情報を調べたり実際に見学したりするなど、お子様の意思を尊重することを忘れずに。自分のことは自分で決めて行動していけるお子様を信頼し、見守り、助言する余裕のメンタルを大切に。
ポイント
CASE 11
将来を考えれば不安になるのは当然なこと。私たちの生活様式は大きく変わりつつあります。先の読めない時代である一方で、視野を広げれば多様な情報や価値観から自由な選択ができる時代であるとも言えます。一人で遠い未来の自分に思いを馳せることが難しい時こそ、周りの仲間や先駆者たちが将来をどのように考え、行動しているのか、親子で情報収集するチャンス。保護者や友人や先生と気軽な話題にしたり、憧れの生き方を実践する人の書籍や資料を読んだり、実際に会いに行ったり話を聞きに行ったりすることで共有イメージを広げてみましょう。東進TIMESで提供している「憧れの職業を追え」「トップリーダーと学ぶワークショップ」等の良質なコンテンツもぜひ参考に。これまでの常識や古い価値観を幅広く見直す行動の先に、やりたいことが待っているかもしれません。
ポイント
お子さまも悩んでいます
「将来についての不安がいっぱいあり、たまにものすごく切ない気分になります…… (高1男子)」
参考にしたいアドバイス
比治山大学 准教授 塚脇涼太先生
「誰にでも不安はある。自分だけで抱え込まないようにしよう 」CASE 12
夢を聞かれて考え込んでしまうことは大人にも子どもにもあるものです。そんな時は、夢を切り分けて語ってみては。将来何を成し遂げたいかという個人的な側面からでも、社会にどう貢献したいかという社会的な側面からでもいいでしょう。それでもとらえどころがない時は、遠近法を取り入れて。早い段階で遠い将来を具体的に定めさせて視野が狭くなると、関心が変わったときに方向転換しにくくなる原因にもなります。まずは「何歳のときにどの会社でどんな仕事をしたいか」ではなく、「地元の発展に貢献したい」や「モノを作りたい」というぐらいの大まかなイメージでも十分です。その分、近い将来の夢はそれに沿った大学や学部を検討するなど具体的にしていくことで、将来への安心と多様な可能性の維持を両立していきましょう。
ポイント
お子さまも悩んでいます
「夢がなくて、モチベーションを維持できません。どのように将来のことを考えたらいいでしょうか。 (高2男子)」
参考にしたいアドバイス
法政大学 教授 児美川孝一郎 先生
「『大事にしたい価値観』と『社会で果たしたい役割』を考えてみよう」