大学入試センター試験

《生物》 設問別分析


 
【第1問】生命現象と物質(光合成、生体膜と物質輸送)
Aは光合成に関する歴史的な実験に関する知識問題、Bは生体膜に関する知識問題とデータ考察問題である。全体に易しめである。問1は知識がなくても解けるが、教科書の知識とリンクできるかで大きく得点差がつくだろう。問2〜問4は易しめの知識問題である。問5は食塩水の濃度と赤血球の体積が反比例することを理解していれば難しくはない。

【第2問】生殖と発生(X染色体不活性化、気孔密度の制御と遺伝子)
Aは三毛ネコの雌のX染色体不活性化に関する遺伝の計算問題およびデータ考察問題、Bは被子植物の気孔密度と遺伝子に関する実験考察問題である。全体的に問題自体はそれほど難しくはないが、大半が考察問題であり、文章の読解やデータの処理に時間がかかり、得点差がつくだろう。問1は伴性遺伝の遺伝計算問題の練習をしていれば問題なく解けるだろう。問2は完全に初期の状態のままネコが発生すると思い込む可能性があり、失点した受験生も多いだろう。問3・問4は、実験1・実験2の内容はシンプルであり、易しめである。ただし問4は、対照実験の考え方がないとミスをおかしやすい。

【第3問】生物の環境応答(眼と視覚のしくみ、植物の根の窒素分への応答)
Aは眼や視覚のしくみに関する知識問題とデータ考察問題でBは植物の根の硝酸イオンに対する応答と関連する遺伝子に関する実験考察問題である。Bは難しく、大きく得点差がついたであろう。問1・問2は錐体細胞と桿体細胞の性質を知っていれば容易に解ける。問3は網膜に映る像が倒立映像であることを失念すると解けないだろう。問4は文章の内容、図6と図8の解釈に相当時間がかかり、得点率は相当低いことが予想される。

【第4問】生態と環境(個体群、種間関係)   
Aはジャコウウシに関するデータ考察問題であり、Bはイネ科植物に関する実験考察問題である。Bが難しく、得点差がついたであろう。問1は1988〜1990年が指数関数的な増殖期にあることから容易に判断できる。問2は、選択肢の文章が平易であり、前文の内容とデータを見比べればそれほど難しくはないだろう。問3は実験の内容がわかりにくく、図3〜図6の結果と選択肢を見比べて判断するのに時間がかかる。

【第5問】生物の進化と系統(生物の分類、地質時代と生物の変遷)
Aは、生物の分類に関する知識問題、Bは、地質時代と生物の変遷に関する知識問題である。全体としては易しめであるが、教科書のすみずみまで覚えておかないと失点するだろう。問1は分類階級を覚えていれば容易に解答できる。問2は、3ドメイン説の知識、およびミトコンドリアと葉緑体の祖先が細菌ドメイン由来であることを知っていないと解けず、やや難しめである。問3は、問2が正答しないと間違える構成になっており、得点差がつくだろう。問3の知識問題は選択肢がわかりやすく、易しめである。問4〜問6は易しめではあるが、幅広い知識が要求される。

【第6問】DNAの複製と遺伝情報の転写・発現 (DNAの複製、転写・翻訳の方向性)
生物基礎のDNAの複製、転写・翻訳と生物(4単位)のヌクレオチド鎖の方向性を合わせた総合問題である。全体にやや難しめである。問1は半保存的複製を理解していれば容易な知識問題である。問2は、○a鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは右から左へと読み、○b鎖を鋳型鎖とした場合、mRNAの開始コドンは左から右へと読むことに気づくかどうかで得点差がつくだろう。問3は、文章の意味を正しく捉えることができれば正解できる。

【第7問】生物の種間関係(食物網、種間関係、自然選択)
生物基礎の食物網、生物(4単位)の種間関係および自然選択に関する総合問題である。実験考察問題が主体であるが、見た目ほど難しくはない。問1は前文と実験1をしっかり読めば容易に正解できる。問2は、表1と表2の結果がわかりやすいので、時間さえあれば正解できるだろう。問3は易しめの知識問題である。