大学入試センター試験

《世界史B》 設問別分析


 
【第1問】歴史的建造物や遺跡
Aはイギリスの国会議事堂、Bは考古学的な発見と歴史書の記述の信憑性の関係、Cはベラルーシ南西部の都市ブレストの建造物についてのリード文であった。Aでは建造物についての設問のほかに、反乱や独立運動、戦争について、地域・時代ともに幅広く出題された。Bでは冷戦期の出来事について年代整序6択問題が出題された。Cではポーランドを中心とする東欧史について出題された。全体としては、戦後史を含めた幅広い知識が問われた。


【第2問】記録や文字
Aはデンマーク王ハーラルの石碑、Bはモンゴル語で著された『元朝秘史』、Cはムガル帝国の歴代皇帝による回想録についてのリード文であった。Aでは文化史も含めた西洋史を中心に出題された。Bではティムールに関する地図問題を含めた内陸アジア史を中心に出題された。Cではインド史をはじめとして地域・時代ともに幅広く出題された。全体的に、文化史や地図問題などへの対応力が鍵となった。


【第3問】国際関係
Aはカナダを中心とした国際的経済関係、Bは近世ヨーロッパでの王位継承をめぐる争い、Cはイスラーム政権の君主による聖地の保護と巡礼路の安全確保についてのリード文であった。Aでは経済史を中心に、空欄補充とグラフを組み合わせた新しい出題形式が見られた。Bでは王家の支配領域とその時期の組合せを問う新傾向の地図問題のほかに、ヨーロッパ史を中心に幅広く問われた。Cでは宗教史を中心に出題された。グラフ・地図ともに、世界史の基礎的な知識に基づく考察力が問われたと言える。


【第4問】宗教と政治
Aは古代ギリシアの宗教と演劇、Bは中国の天子と祭祀、Cはアンデス地域で栄えた帝国における太陽崇拝についてのリード文であった。Aの年表補充問題では中世に関する知識が問われており、前近代における年表補充問題は近年見られない新しい傾向であった。Bでは中国史を中心に文化史の知識などが幅広く問われた。Cではアメリカ史を中心に出題された。全体的に、文化史を含めた幅広い知識が定着しているかが問われたと言える。