外交官

国と国、国と人とをつなぎ、多面的なコミュニケーションを図る仕事

グローバルな仕事

INTERVIEW

現役の外交官に聞きました

外務省 国際法局経済条約課

織田 健太郎さん

PROFILE

おりた けんたろう
アメリカ・ジョージタウン大学大学院修士課程修了

日本の魅力をアピールする機会に恵まれたことから、外交官への道を考え始めたそうです。 国連勤務や中東外交を経験した織田さんに、外交官の仕事についてうかがいました。

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お仕事の内容は?

 私が今担当しているのは、国と国との間の経済に関する約束(条約)を結ぶための下準備です。条約というと、日米安全保障条約のようなものをイメージしますが、国どうしの約束はいっぱいあります。世界各国とたくさんの細かい決まりごとを結んでいるからこそ、スムーズに海外とモノを輸出入したり、人々の往来があったり、日本企業が海外へ投資したりbr>することができるのです。
 中でも私は経済面での条約を担当しています。企業の海外進出を軸とした案件を日本の法律や相手国の法律、さらには国際法などとも照らし合わせながら作成しています。そのため、経済産業省をはじめとする他の省庁と連携したり、法律の専門家からアドバイスをもらったりすることで仕事を進めています。交渉の際には相手国へ出向いて、関係者と協議を行います。
 条約締結の大前提は、日本も相手国も自分たちの権利や利益を守ることです。しかし、法律や制度は国によって異なります。やりやすいようにと、どちらか一方を優先すると不平等になるばかりか、守られない約束を作りかねません。だからこそ、上手にバランスを取りながら、お互いが納得できる条約、守り通せる条約を作ることが命題です。
 また、条約はすべて関係省庁と内閣法制局がチェックし、多くの場合国会の承認を経たのち相手国の手続を終わらせたうえで初めて効力が発生します。交渉開始から発効まで数年を要することも珍しくありません。

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このお仕事の醍醐味は?

 条約締結を機に人・モノ・お金の交流がさらに促進されるということです。結果として両国がより親密になり、笑顔で話し合える。この仕事は、そんな将来へのさきがけとなるのです。しかし、そこに至るまでは、利害関係が交錯してかなり厳しい状況になることもあります。そんなときでも個人的な感情を抑え、両国のため、日本のためにと、理性的かつ理論的に交渉を進めなければなりません。
 条約の下準備という仕事は一見地味に見えるかもしれませんが、両国間の交流がそこから始まると考えると、友好という歴史の第一歩を作る仕事であることに間違いありません。

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外交官を目指す人にアドバイス

 私は学生時代に約60カ国を放浪して、自分の目と耳、心で色々な体験をしました。今はその体験が役立っています。皆さんも時間のあるうちに、ジャンルを問わず積極的に色々な経験をして、視野や思考を広げておくとよいでしょう。
 また、外国語も大切です。これは語学力ということだけではなく、論理的な思考を養うためにも大切です。外国語で自分の考えや国の立場を正確に伝えるためには、頭の中をシンプルに整理し直すことが必要です。すると、日本語でも言いたいことが明確になり、端的に話の筋道が立てられるようになります。

ある日の織田さん

  

9:30

出張準備の荷物を抱えて出勤

10:00

在外公館からの電報やメールのチェック。時差の影響で、夜間に連絡が入る場合も多い

11:00

経済産業省の担当者と、近々に締結する投資協定に関する打ち合わせ

12:30

昼食

13:30

条約・協定の締結交渉のため の対処方針を作成

15:00

準備をした条約・協定に関する資料について、外務省内の関係部局と協議

17:00

民間企業の責任者や専門の研究者、国際法に詳しい弁護士などの有識者と勉強会。外務省内で行うこともあれば、先方へ出向くこともある

18:30

外交官パスポートを受け取り、締結交渉で東南アジアへ出張するため空港へ

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