気象予報士、天気予報士

膨大な観測データから天候を予測し、わかりやすく公開する仕事

自然に関する仕事

INTERVIEW

現役の気象予報士に聞きました

NHK「ニュースウオッチ9」 気象キャスター

井田 寛子さん

PROFILE

いだ ひろこ
筑波大学 第一学群自然学類化学専攻卒業

気象予報士の井田さんは、野山を駆け回り、生き物を愛する少女でした。そうした身近な自然や、命を守りたいという気持ちの中で出会ったのが気象予報士の資格。
夜のテレビニュースでおなじみの井田さんに、気象予報士の仕事についてうかがいました。

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お仕事の内容は?

 月曜から金曜の夜9時から放送されている『ニュースウオッチ9』の気象コーナーを担当しています。出番はわずか4分半ほどですが、そのために丸1日かけて準備します。
 出勤後、まず雲画像・日本全国の観測データ・お天気カメラなどを見て現況を把握し、気象庁から1日2回送られてくる72時間後までの地上天気図や高層天気図を解析します。そこから予報原稿の構想を組み立てます。そのうえで他の気象予報士と内容をすり合わせ、番組スタッフとの打ち合わせを行って原稿の内容を固めています。
 原稿作成時に最も注意しなければいけないのは、正確であることです。受け取り方によって違う解釈をされるような、あいまいな表現を極力排除してお伝えするために、原稿には非常に気を遣います。もちろん、その間も天候は刻々と変化しています。常に最新の情報に原稿を書き替えながら本番へと臨みます。また、台風などの暴風雨の際に、予想される災害の程度と防災に関するアドバイスをお伝えするのも重要な仕事です。放送で使う映像を選んだり、解説の際のイラスト案を手書きで発注したりもします。
 こうした日々の仕事の他に、季節の映像をカメラに収めるために取材へ出かけることもありますし、“出前授業”と称して、各地の小学校へ出向いてお話をすることもあります。普段の放送では伝えられない天気予報の裏話や気象の面白さなどを伝え、1人でも多くの子どもたちに気象に興味を持ってもらえるように心がけています。

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このお仕事の醍醐味は?

 素直に考えれば、視聴者の方からの反響があったときには、やはり嬉しくなりますね。勉強になった、参考になったという反応を聞いたときには頬がゆるみます。
 災害報道に携わったときには、この仕事の重大さを強く感じます。大雨や暴風など、時々刻々と変化する状況に対し、災害班のスタッフや他の予報士と連携しながら最新情報をお伝えしてゆく。人の命がかかっていますから、非常に難しく試練ともいえる時間ですが、被害が最小限に抑えられたとわかったときには、心の底からホッとすると共に、この仕事を選んでよかったと感じます。

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気象予報士を目指す人にアドバイス

 気象予報士には、理系必須で文系NGといったものはありません。受験資格も学歴や年齢とは無関係です。だからこそ、気象をもっと身近に感じ、観察することが大切です。
 旅行でも食べ物でもファッションでも、「これって天気と関係あるかな?」と考えると、必ず接点が見つかります。秋の青い空にはこの色が似合うとか、暑い夏だったからブドウがおいしく実るとか。身近なところから天気の変化や季節の移ろいに関心を持ちましょう。また、テレビや新聞の天気図を見て、予報と比べると、徐々に天気図を読めるようになっていきます。その積み重ねが試験でも実践でも役立ちますよ。

ある日の井田さん

  

午前

ロケ・取材対応・出前授業など

13:30

気象庁からのデータ解析を開始

14:30

番組担当者とコーナーの構成や使用画面について打ち合わせ

15:30

各番組の気象予報士と当日の天 気予報のポイントのすり合わせ

16:30

キャスターと打ち合わせ。コー ナーで使うイラストを発注

17:00

気象庁の最新データを受け、原 稿を書く。ヘアメイク、着替え など。先輩が原稿をチェック

19:00

VTR試写、原稿やコメントの 修正。完成したイラストの確認

21:40

気象コーナーに出演。番組終 了後に録画を観ながら反省会

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