獣医師、獣医

微生物からペット・家畜まで、専門知識を活かして人間と動物の健康を守る

動物に関する仕事

INTERVIEW

現役の獣医師に聞きました

日本動物医療センター 副院長

上野 弘道さん

PROFILE

うえの ひろみち
日本大学 生物資源科学部獣医学科卒業

 東京都渋谷区にある動物病院、日本動物医療センターには、今日も〝我が子〟同様のワンちゃん・ネコちゃんと共に飼い主さんたちが訪れます。心配顔の飼い主さんに「今日はどうされましたか?」と落ち着いたほほ笑みを向ける上野弘道副院長。
 診察の合間に、臨床獣医師の仕事についてうかがいました。

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お仕事の内容は?

 私が勤めている日本動物医療センターは24時間態勢で動物の看護を行い、急患も受け入れている動物病院です。獣医師十数名と動物看護師十数名が勤務しています。
 病気の動物が来院したら、まず問診を行い、飼い主さんに来院の理由を尋ねます。次に診察を行い、血液検査や超音波検査などによって、客観的なデータを集めます。
 動物医療では、患者である動物自身が「ここが痛い」と言葉に出して不調を訴えるわけではありません。特に内科では視診・問診だけで原因がわかるケースは少なく、多くは「除外診断」という方法で原因を探っていきます。例えば「吐いた」場合、原因はのどなのか、胃なのか、それとも他の病気に由来するものなのかを知るために、検査結果などから該当しない病気を除外していくのです。獣医師は、いわば「病因」という犯人を追う、捜査官のような存在といえるでしょう。
 ペットが「伴侶動物」と呼ばれ、家族の一員として扱われるようになって、高度な治療が求められることもあります。一方で、ペット保険などに加入していない限り、治療にかなりのお金がかかってしまうのも事実です。病気とその治療法について理解してもらい、納得を得たうえで、飼い主さんにも治療に参画してもらう必要があるのです。飼い主さんと一緒に最善の治療を行うのが一番大切だと思います。

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このお仕事の醍醐味は?

 飼い主さんが我が子のように大切にするペットを預かるわけですから、治療が成功して、飼い主さんの喜ぶ顔が見られるのが一番の励みになります。獣医師の仕事には生死がかかっているという大きなプレッシャーがありますが、その分、治療に成功したときの嬉しさは格別です。動物病院の獣医師には医療技術だけではなく、コミュニケーション能力も求められます。
 また、私の専門である外科は、研鑽を積めば積むほど技術が向上する、結果の見えやすい分野でもあります。良いオペ(手術)ができたときは技術者としての喜びを感じますね。

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獣医師を目指す人にアドバイス

 アドバイスするとすれば、「幅広い興味を持つこと」「大学入学をゴールにしないこと」という2点です。
 まず、大学はたっぷり6年間ありますから、その時間を活かして幅広い知識や経験を身につけてほしいと思います。私の場合、学生時代に漢方の勉強をしたのがその後の仕事の幅を広げるきっかけになりました。高校生は数学や物理なども学んでおくと、意外に役に立つことがあります。
 次に、獣医師を目指すならば、大学入学はゴールではないことを意識してください。受験を終えて燃え尽きないでほしいと思います。大学で学び、獣医師免許を取得する。そこからが獣医師としての修業の始まりです。獣医師になって経験を積めば積むほど、上を目指して進んでいくことができます。獣医師とは、常にチャレンジを続けていける仕事なのです。

ある日の上野さん

  

8:30

出勤

8:45

ミーティング。夜勤担当から引き継ぎを行い、入院中の動物の状態などについて確認

9:00

外来診察。並行して入院中の動物の診察と治療に従事

12:00

各診療科の専門家が来院し、院内セミナー。昼食をとりながら症例検討会を行うこともある

14:00

午後の診察。手術が入ることも

17:45

診察終了。カルテなどの書類作成

18:00

各診療科の専門家などを招いた院内セミナー

21:00

セミナー終了。引き継ぎをして帰宅

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