電車の運転士

旅客から貨物まで、列車を安全かつ快適に運転する仕事
乗り物に関する仕事
INTERVIEW
現役の電車の運転手に聞きました

小田急電鉄 大野電車区 指導主任兼配車係
高田 諭史さん
PROFILE
たかだ さとし
中央大学 法学部卒業
電車に乗るのが大好きで、ガタンゴトンという揺れ心地に魅せられた少年期を過ごし、電車と運転士の制服にあこがれを抱き続けた高田さん。
その「夢」をかなえた今、実際の運転士の仕事についてうかがいました。
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お仕事の内容は?
小田急線を走る特急ロマンスカーをはじめ、通勤車両すべての電車に乗務しています。宿泊を伴う勤務形態を基本として、3日間の休日を含む11日勤務のサイクルで、始発から終電まで交代しながら決められた車両の運転をしています。
乗務前には、電車区(運転士が所属する職場)で各種指示の確認や注意事項の伝達・アルコール検査・健康チェックなどが行われ異常がなければ決められた時間に乗務する電車へ向かいます。日中は駅のホームでの交代が多いのですが、車庫から出発する場合には車庫点検を行います。運転台や車両床下あるスイッチ類・機器類・台車を含む各車両すべてを点検し、異常があれば改善指示、または報告をします。
乗務中は信号を指差確認呼称(対象を指差し、声に出して確認)し、車掌や運輸指令所と連絡を取りながら安全運転を心掛けています。また、特急ロマンスカーの他、急行・準急・各駅停車といった列車の種別や、編成両数(6両・8両などの編成)の種類が多いため、常に誤りのないように細心の注意を払うことが大切です。
電車の運転士には、お客さまの生命と財産を預かる重い責任が求められます。運転操作のミスはお客さまが怪我をする危険性にもつながり、場合によっては命に関わります。適度な緊張感を維持しつつ、運転に集中することが大切です。
泊りの日は、沿線各所にある乗務員宿泊所で仮眠を取ります。時間も不規則ですので、日頃から十分な健康管理を心がけています。
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このお仕事の醍醐味は?
例えば、電車が無事に新宿へ到着すると非常に大勢のお客さまが電車を降りていきます。特急ロマンスカーであれば、箱根や小田原などの観光地へ向かう方々が笑顔で電車を降ります。そうしたお客さまの姿を見ると、「これだけ大勢の人にご乗車していただき、お客さまの仕事やお楽しみの役に立つことができた」と心の底から嬉しくなります。
また、運転台に座っていると色々な風景が見えます。沿線には季節ごとに色とりどりの花が咲き、子どもたちが手を振ってくれます。そうした季節の移ろいや暮らしの一場面を目にすることができると、気持ちがいいものですね。
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電車の運転手を目指す人にアドバイス
動力車操縦者の免許を取得するためには、指定された養成所へ通い、学科や実技などの専門的な訓練を受けることになります。そこでは、鉄道に関する法律や電車の構造・性能のように、初めて学ぶものがある一方で、速度と距離・時間の計算を多用する「運転理論」や、オームの法則・フレミングの法則といった電気や物理の知識を必要とする「鉄道電気」といった科目もあります。高校生のうちに数学や物理をきちんと学んでおくと、非常に役に立つはずです。
また、一般教養の試験もありますので、新聞をしっかり読み、社会の常識や出来事を把握しておくことも大切です。
ある日の高田さん
12:00
出勤。出勤点呼。乗務開始。
15:30
休憩後、乗務開始。シフトにより、どの車両に乗るかが決まる
18:00
休憩、夕食
19:00
乗務開始。ラッシュ時間帯なので乗客に細心の注意を払う
21:00
休憩後、乗務開始。当日のシフトにより終了駅や時間が変わる
22:30
乗務終了。退出点呼後、乗務員宿泊所で就寝
4:00
起床。身支度し、制服に着替えたら乗務準備。出勤点呼
10:00
乗務終了。退出点呼。退勤
