完了しました
大学入試センター試験の後継として初めて実施される「大学入学共通テスト」が16日朝、全国で始まった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が11都府県で出る中、本格的な大学入試シーズンの幕開けとなった。マスク姿の受験生たちは、消毒や換気など厳戒態勢が取られた会場で新たな試験に挑んだ。
共通テストは、昨年まで31年続いたセンター試験から衣替えした新テストで、センター試験と同じマークシート式で行われる。思考力や判断力などをより重視する出題内容が特徴だ。
大学入試センターによると、志願者数は昨年のセンター試験と比べて2万2454人減の53万5245人となっている。コロナ禍による昨年の長期休校で学習が遅れた現役生に配慮して複数の日程が設けられ、志願者数は第1日程(16、17日)が53万4527人、第2日程(30、31日)が718人。第2日程は第1日程の追試験にもなり、第2日程を受けられなかった受験生向けの特例追試験(2月13、14日)も行われる。
共通テストを利用する国公私立の大学・短大は昨年より8校増え、過去最多の866校に上る。16日は地理歴史・公民、国語、外国語、17日は理科と数学が行われる。
感染対策として、受験生はマスクの着用が必須で、マスクを外す昼食時は会話は控えてもらう。手指の消毒や換気なども徹底する。これまで1日単位だった追試は、試験中に体調が悪化した場合でも、科目単位で受けられる。
入試センターによると、雪による悪天候のため稚内北星学園大(北海道稚内市)で初日の全教科が中止となった。再試験は30日に行われる。1日の全教科が中止となるのは、1979年に始まった国公立大の共通一次試験、センター試験を通じて初めてという。
知識偏重から思考力へ
共通テストの前身、大学入試センター試験は1990年から始まった。共通一次試験と異なり、私立大も利用可能となった。
90年代以降、少子化や大学の増加で受験競争が緩和された一方、大学生の学力低下が指摘されるようになった。知識偏重の入試は、実社会で求められる能力を問うものになっていない、との批判も根強くあった。
2013年、政府の教育再生実行会議が、センター試験に代わる新テスト創設を提言し、入試改革が動き出す。中央教育審議会は14年、「思考力・判断力・表現力を中心に評価する」新テスト導入を答申した。
文部科学省は17年、国語と数学での記述式問題導入と、英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)を測る英語民間試験の活用などを柱とする大学入学共通テストの実施方針を公表した。だが、採点の公平性などを巡る批判が相次ぎ、19年11~12月、記述式と民間試験の見送りが決まった。