物理I
全体概観

難化。設問数微減、マーク数微増。全体的な形式・分量は昨年とほぼ同様。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問4題形式とその配分は昨年とほぼ同様。第4問で力学分野と熱分野の順序が入れ替わったが、解答する上で支障はない。計算問題がやや増えたが複雑なものは多くなく、分量面で負担が極端に増すことはなかった。複数解答を組み合わせてひとつの正答とする問題が昨年の6問から3問に減っており、この点では取り組みやすかったと思われる。なお、過去の出題例に近いものとして、第1問 問4(2005年度本試第1問)、第3問 問3(2003年度本試第4問)などが見て取れた。

 

大問

出題範囲

設問数

マーク数

配点

2010

第1問

小問集合

6

6

30

第2問

電磁気

4

6

20

第3問

波動

4

5

20

第4問

力学・熱とエネルギー

8

8

30

2009

第1問

小問集合

6

7

30

第2問

電気

5

5

20

第3問

波動

5

5

22

第4問

力学・熱とエネルギー

7

7

28

2008

第1問

小問集合

6

8

30

第2問

電磁気

5

5

20

第3問

波動

5

6

20

第4問

力学・エネルギー

7

7

30

2007

第1問

小問集合

6

7

31

第2問

電磁気

4

4

16

第3問

波動

5

5

21

第4問

力学・エネルギー

8

8

32


過去の平均点の推移
2009 2008 2007 2006
63.55点 64.55点 64.42点 73.42点

設問別分析
【第1問】小問集合
  
小問6問と配点30点は昨年同様であった。力学と波動が各2問、電磁気とエネルギーが各1問で、これも昨年と同じくバランスがとられている。問2では、電流周囲の磁場の性質とコイル内の磁束変化の関係を、空間的なイメージも合わせてしっかり把握できなくてはならない。問5は単純な数値計算だが、思わぬミスも起こりそうだ。ただし、全体的にそれほど負担の大きくない構成と言える。


【第2問】電磁気
    
Aは、変圧器と電力伝送に関する交流の問題。基本公式を用いた数値計算だが、消費電力の問いでミスに注意。Bは電源の起電力と内部抵抗についての問題。1997年の追試験(物理IB)に類題がある。問4では、検流計の針が振れない時は内部抵抗による電圧降下が起きない事がポイント。



【第3問】波動
   
Aは、全反射を利用した光波の屈折がテーマ。入射角の条件付けでは計算ミスが怖い。Bは2波源からの水面波干渉の問題。2003年の本試験(物理IB)に類題がある。波源が同位相か逆位相かの判断は重要。また、曲線の本数と角度の数の決定には少々の考察が必要で、ここは差がつくポイントである。A、Bとも見慣れた題材ながら、意外と得点差がつくと思われる。sin、cosのミスにも気をつけたい。


【第4問】力学・熱とエネルギー
Aはシリンダー封入気体の状態変化を問う問題。2001年の本試験(物理IB)に類題がある。問3の圧力体積グラフを用いた考察は、物理IIまで履修した学生には多少有利である。Bは力学的エネルギー保存則を用いれば問4と問5は容易に解答できる。問6では、斜面上で加速度が一定である事を見抜けなくてはならない。Cは摩擦力を素材にした力学の問題。問7では角度の取り方に気をつけないと、sin、cosを間違える。また、2物体の式を連立させる事が必要で、少々計算に手間取るかもしれない。