現代社会
全体概観

出題形式に変化なく、統計問題も昨年と同数 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

出題形式は大問6題で小問36問であり、過去2年と同様であった。第2問と第5問の小問が8問と多く、その他が5問という形式に変更はない。統計を読み取る形式の設問も昨年同様2問であり、予備知識を必要とせずグラフの読解で解答できる点も変更はなかった。ただし第7問問4は読み取りの条件設定が複雑となっており、若干の慎重さを要求するものとなっている。
出題内容としては住民投票、地域社会と地方自治の制度、難民や外国人労働者、地球環境問題と人口問題、消費者保護と犯罪被害者保護、国際経済のグローバル化など時事的要素が、背景の理論的事項も含めるかたちで出題されているため、理論的事項の学習をしっかりしたうえでの時事事項理解が要求されるものとなっている。また昨年と異なり、青年期ではなく労働と社会参加に関する出題がなされたため、一層「政治経済」によった内容となっている。

年度

大問

出題範囲

問数

マーク数

配点

2010

第1問

住民投票

5

5

14

第2問

外国人の受入れ

8

8

22

第3問

大学での学び

5

5

14

第4問

地球環境問題

5

5

14

第5問

消費者問題

8

8

22

第6問

経済のグローバル化

5

5

14

2009

第1問

裁判所と司法制度改革

5

5

14

第2問

地域社会の変化と地方自治

8

8

22

第3問

現代の経済社会

5

5

14

第4問

環境問題

5

5

14

第5問

グローバル経済と国際社会

8

8

22

第6問

青年期

5

5

14

2008

第1問

人権と日本の政治

9

9

24

第2問

国際経済と貿易

5

5

14

第3問

世界遺産と文化・宗教

4

4

12

第4問

国際連合と国際政治

8

8

22

第5問

青年期の課題

5

5

14

第6問

経済のしくみ、市場と金融

5

5

14

2007

第1問

民主主義と法の支配

8

8

22

第2問

国際経済について

5

5

14

第3問

青年期の意義

6

6

17

第4問

日本の農林業

5

5

14

第5問

戦後の日本経済

6

6

16

第6問

服装と社会

6

6

17


過去の平均点の推移
2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000
60.19点 60.55点 50.31点 57.91点 70.22点 57.27点 59.53点 60.49点 56.66点 44.39点
1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
55.24点 66.28点 56.66点 61.67点 61.85点 61.02点 62.09点 57.86点 63.62点 60.80点

設問別分析
【第1問】住民投票
 住民投票という切り口から地域を軸にした日本の政治・経済に関する対話形式の大問。オーソドックスな出題形式であった。住民投票という事項自体が必出であったため、幅広い出題であっても対応は容易であったと思われる。選択肢も冷静に読めば判断できる文章となっていた。

【第2問】外国人の受入れ
 難民や外国人労働者を切り口にする出題は近年の大学入試で多くみられる形態であったが、幅広い教科学習をしてきた受験生でなければとまどったかもしれない。問3は地理の要素もあるが、日本との関連も深いアジア各国の宗教状況を把握していないと正解できない設問であり、現代社会の出題の幅広さを示すものとなっている。また問8は2008年に出た違憲判決を知らない受験生では、選択肢1などを選ぶ危険性があった。違憲判決はすべて理解しておくことが受験生には求められている。

【第3問】大学での学び
 倫理分野の出題であるが、昨年も含め頻繁に出題されていた「青年期」ではなく、今回は労働や社会参加に関する内容の出題となり、政治経済的要素が強い内容となった。問2の統計問題は知識がなくてもグラフの読解だけで解答可能。問5も文脈を読み取れば解答可能であった。

【第4問】地球環境問題
 現代社会の課題として典型である地球環境問題と人口問題である。問2・3のように一般常識や時事知識によって対応できる設問が存在した。

【第5問】消費者問題
 経済分野を軸とした総合大問となっている。問4〜6は、それぞれ消費者保護・犯罪被害者保護、労働および社会保障、裁判制度に関しての突っ込んだ学習の成果が問われる内容となっており、事項名を暗記しているだけでは歯がたたない設問となっていた。

【第6問】経済のグローバル化
 受験生の多くが苦手とする国際経済分野の大問であり、ここで確実に得点できた受験生は有利だったのではないかと思われる。問3はUNDPについての知識がなかったとしても、他の頻出の国際機関について理解ができていれば正解可能。問4の統計問題は、読み解きの設定が複雑であるが知識がなくとも解答できることには変わりない設問であった。