大学入試センター試験解答速報2008
物理I
全体概観

設問数は昨年と同じだが、マーク数が2個増加した。第4問の構成が若干変化している。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数4題と出題順序・分野は昨年と同様だが、第4問の構成が昨年のA・B・CからA・Bへ変化している。それに合わせて全体の配点・分量バランスがよくなっている。分野毎の配点は、波動で増加、電磁気で減少した。熱と気体に関する本格的な設問が無かったのは珍しい。マーク数は26個で、昨年の24個から2個増加した。このうち図や語句・短文を選ぶ問題は昨年と同じ9問あり、計算だけでなく物理的な思考力を試そうとするセンター試験の傾向は踏襲されている。マーク総数は微増したのだが、磁気や気体など受験生が苦手にする分野の出題が減り、また煩雑な式変形を求められる設問も少なかった。全体としては昨年並みである。

【出題フレーム】

 

大問

出題範囲

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

小問集合

6

8

30

第2問

電磁気

5

5

20

第3問

波動

5

6

20

第4問

力学・エネルギー

7

7

30

2007

第1問

小問集合

6

7

31

第2問

電磁気

4

4

16

第3問

波動

5

5

21

第4問

力学・エネルギー

8

8

32

2006

第1問

小問集合

6

6

30

第2問

電気

4

4

18

第3問

波動

4

4

16

第4問

力学・エネルギー

9

9

36

2005

第1問

小問集合

5

5

20

第2問

力と運動

5

5

20

第3問

熱とエネルギー

3

3

12

第4問

波動

6

6

24

第5問

電気

6

6

24


過去2年間の平均点
2007 2006
64.42点 73.42点

設問別分析
【第1問】小問集合
小問6つの構成は昨年と同じだが、配点は微減して30点。力学3問、波動が2問、エネルギーが1問であり、電磁気が全く無かったのは珍しい。問6の次元解析には戸惑った受験生が多かったかもしれない。電磁波の知識に関する問3なども気をつけたい。設問数の割には全体的に計算量などの負担は小さいといえよう。

【第2問】電磁気
Aは抵抗の合成に関する問題。接続の仕方と抵抗の性質を上手く見抜く必要があり、意外と大きな差がつく所ではないだろうか。Bの電流と磁気の性質・電磁誘導はそれほど難しくなく、物理IIまで履修した受験生には有利。ただ、向きを判定する際の不注意なミスには気をつけたい。

【第3問】波動   
Aは凸レンズによる結像に関する基本問題。計算は少ないのだが、像の見え方に関する問1や問3は落とし穴と言えるかもしれない。Bは音波のドップラー効果。グラフの選択は定性的な判断から可能である。問5では難しく考えすぎず、波源が発する波と観測者が受ける波の数で考察するとシンプルに解ける。

【第4問】力学・エネルギー
Aは重力・弾性力のもとでの運動を扱う問題。ゴムひもの伸びと弾性力・弾性エネルギーを正確に表せるかがポイントである。計算量はそれほど多くない。Bでは力のつりあい、等加速度運動、仕事とエネルギーなどが広く問われている。問5の力のモーメントではミスが多くなるのではないだろうか。Bも分量の割に計算の負担は多くないと言える。
新高3生へのアドバイス
センター試験の物理�では高等学校における基本的な内容がきちんと理解できているかどうかが問われます。したがって受験を来年に控えた新高3生の皆さんは、まず教科書の内容を習得することを目標にしてください。現行の学習課程は物理現象を式で書き表すだけでなく、実験などの探究活動を通して理解させようとする傾向が強く見られます。ですから高校でのそういった機会を大切に活用し、加えて基本的な問題集を解いていくことで基礎を確かなものにして欲しいと思います。近年のセンター試験では図やグラフを利用させたり、短文の正誤を判断させたりといった問題が多く出る傾向にあります。これらへの対策として、普段から問題の答だけでなくそれに関係した考察をするクセをつけておきましょう。具体的には変数を変えて結果を吟味する、グラフを作ってみる、用語の約束を教科書で確認する、などといったことです。センター試験は題材が教科書に載るような有名な現象であることが多いので、こういった対策は非常に有効です。また、各分野は満遍なく出題されますから、ヤマをはったり苦手分野を残したりすることは避けなくてはいけません。さらには本番形式での模擬試験を通じて経験を積むことです。時間配分のコツをつかみ弱点を洗い出すには最適です。東進で実施する「センタープレ入試」を合格に向けて活用するとよいでしょう。
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