大学入試センター試験解答速報2008
地理B
全体概観

一部にやや高度な内容もみられるが、全体的に易化 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数・マーク数は昨年と同じだが、設問数が1問増加した。形式面では組合せ式6択の問題数が19問から11問に減少した。
内容的には、一部の正誤判定問題で、やや高度な内容や、ふだんの学習では扱われない語句などが含まれていたが、統計問題では、地理的な知識が不要なものや、解答が容易に導けるものが多く、昨年に比べると取り組みやすかったと思われる。一部に考えにくい問題もあったので満点近い点数を目指した生徒には厳しいものの、全体には差の付きにくい問題であったといえよう。平均点もやや上昇するのではないだろうか。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

自然環境

6

6

16

第2問

世界の資源と産業

6

6

16

第3問

世界および日本の都市

6

6

16

第4問

南アジアの地誌

6

6

17

第5問

現代世界の様々な社会的課題

6

6

17

第6問

地域調査(広島市)

6

6

18

2007

第1問

世界の自然環境と自然災害

6

6

16

第2問

世界の工業

6

6

16

第3問

世界における都市の発展や都市問題

6

6

16

第4問

アフリカの地誌

6

6

17

第5問

現代世界の課題

6

6

17

第6問

地域調査(青森県八戸市)

5

6

18

2006

第1問

地理の基礎的事項

5

5

10

第2問

地域調査(函館市)

6

6

18

第3問

世界の自然環境

6

6

18

第4問

資源と産業

6

6

18

第5問

ラテンアメリカの地誌

6

6

18

第6問

現代世界の諸課題

6

6

18

2005

第1問

世界の自然環境

7

7

20

第2問

世界の産業と都市化

7

7

20

第3問

中国を中心としたアジア地域

7

7

20

第4問

現代世界の特徴と課題

7

7

20

第5問

地図と地理情報

7

7

20


過去18年間の平均点
2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
58.41点 65.13点 70.22点 62.11点 54.99点 66.34点 63.55点 58.22点 62.27点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
77.23点 67.34点 62.75点 72.35点 77.05点 69.47点 62.74点 60.50点 65.86点

設問別分析
【第1問】世界の自然環境
世界地図を用いた地形環境および気候環境に関する出題であるが、頻出パターンの基本的な内容。
問2は選択肢の内容がやや高度で、気象に関するやや細かい理解が求められている。   
大問全体としては標準レベル。

【第2問】世界の資源と産業
世界の資源と産業に関する出題である。
「ロシア」に関する出題がエネルギーと工業都市について2問含まれていた点が注目される。
問1はボーキサイトおよびアルミニウム工業に関する正しい理解が必要。
日本は電力料金が高いためアルミ生産はほぼゼロであることを思い起こしたい。  
全体としては容易に正解にたどり着ける設問が多い。

【第3問】世界および日本の都市
昨年に引き続き、第3問は都市に関する出題であった。
頻出テーマであり、難易度もそれほど高くはないといえるだろう。
問3のグラフ判定問題は、全ての国を決定するのは難しいが、イギリスだけならすぐにわかるだろう。
問6は「ビオトープ」「パークアンドライド」などの時事用語が目立つが、正答は選びやすい。

【第4問】南アジアの地誌
南アジア地誌が本試で大問のテーマになるのは2003年以来である。
2005年の追試でもこの地域が取り上げられており、当然対策をしておくべき地域であった。
問1〜3は標準的な内容である。問4はインドの現代経済史のやや細かい知識、
問6では民族ごとの言語名の知識が求めらており、やや難しいといえるだろう。

【第5問】現代世界の課題
人口・都市・民族・女性などの問題に関する総合的な出題である。
基本的な知識と理解があれば、手が止まるような設問は見当たらない。
問2は現在の人口ピラミッドから将来の老年人口比率を推定させるという出題意図を正確に読み取りたい。
大問全体の難易度としては、やや易といえるだろう。

【第6問】地域調査
例年通り日本のある地域を題材にした地域調査に関する大問である。本年は広島市であった。
難問の目立った昨年と違い、常識的に判断できる設問が目立った。
問4の地形図読図に関する問題も容易で判断に迷うものではない。
差の付きにくい大問であったといえるだろう。

新高3生へのアドバイス
センター試験地理Bでは、ごく基礎的な知識をベースとした情報処理・思考・判断の能力を試す出題の割合が高くなります。したがって、付け焼刃的な地名・用語の詰め込み学習では対応できません。 「なぜそうなるか」を理解した上での、系統地理分野の知識の体系化が必要です。一方、受験生の基礎知識不足への懸念から、最近では知識重視タイプの出題も目立っています。 他地域との比較に重きをおきながら、地誌学習の準備も早めに始めましょう。地図や図表などの資料を使った出題の割合が高いのはセンター地理の典型的な特徴です。自分が知らない地名が出てきた際には、必ず地図帳を開き、その位置を確認する作業を徹底するようにしましょう。 また、統計については、順位・数値の暗記ではなく、統計の背後にある地理的事象を読み取る意識で、最新の統計をこまめにチェックするようにしましょう。 資料問題や組合せ式の6択問題など、独特な出題形式への慣れも必要です。時間配分もゆとりはありません。5年分程度の過去問演習はもちろん、東進のセンタープレ入試を定期的に受験しておくことをすすめます。
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