大学入試センター試験解答速報2008
理科総合A
全体概観

バイオエタノールなど環境問題に関する出題もあった。大問構成には変化なし。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年と比べて設問数が1問、マーク数が1個増加しているが、大問構成に変化はなかった。昨年のセンター最終プレ入試でも出題されたバイオエタノールや地球温暖化問題、アルミニウムのリサイクルなど、ここ数年話題となっている題材の出題が特徴的であり、普段から環境問題、リサイクルなどに興味・関心を持っているかどうかで差がつくといえる。また、今年は第5問でピラミッドの建造をエネルギーと仕事で考える、見慣れない設定が出題された。

【出題フレーム】

 

大問

出題範囲

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

アルミニウムの性質

5

5

20

第2問

生物がつくりだす物質

5

5

20

第3問

エネルギーの変換

5

5

20

第4問

中和の実験

5

6

20

第5問

仕事とエネルギー

5

5

20

2007

第1問

いろいろなエネルギー

5

5

20

第2問

物質の利用

5

5

20

第3問

力学的エネルギー

5

5

20

第4問

物質の構成と変化

5

5

20

第5問

エネルギー資源・物質の構造

4

5

20

2006

第1問

自然の探求・生物のつくる物質

6

6

20

第2問

エネルギー変換

5

5

20

第3問

物質の変化

5

5

20

第4問

力学的エネルギー・日常生活と物質

5

5

20

第5問

エネルギー資源

5

5

20


過去2年間の平均点
2007 2006
57.05点 65.80点

設問別分析
【第1問】アルミニウムの性質
アルミニウムを用いた実験に関する出題である。問1はアルミニウムイオンについての知識があればすぐ答えられる。問2は電解質の水溶液を選べばよい。問3は接地面積と食塩水の濃度だけが異なる電池の組合せを選べばよい。問4は20kWhの97%の電力量を得るには化石燃料がどれぐらい必要かを計算すれば答えられる。問5は鉱床がどこにあるかを考えればよい。

【第2問】生物がつくりだす物質
発酵でつくられる物質や環境問題に関する出題である。問1は微生物のはたらきによるものと化学反応によるものを区別できれば答えられる。問2はまず水素原子Hの数からアの係数を求めて、炭素原子Cまたは酸素原子Oの数からイの係数を求める。問3はバイオエタノールに関する知識があれば答えられる。問4は化石燃料の消費削減とエネルギー効率アップの観点から考える。問5は食物連鎖による生物濃縮のしくみを考えるとよい。

【第3問】エネルギーの変換
蛍光灯と白熱電球のエネルギー変換に関する出題である。問1は電流計を直列・並列のどちらで接続するかを思い出せばよい。問2アは(電力)=(電流)×(電圧)から考え、イは常識からも分かる。問3はエネルギー変換の計算問題。問4は仕事の計算問題。問5は与えられた条件から図2に直線を引いて交点を求めればよい。

【第4問】中和の実験
希塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和の実験に関する出題である。問1は水酸化ナトリウムNaOHの性質を知っていれば答えられる。問2は表1から考えればよい。問3は中和のイオン反応式から考えると求められる。問4は希塩酸a、bの実験で発生した熱量の違いと実験後の溶液の質量の違いから求める。問5はア〜ウがどのようにエネルギーを変換させて熱を発生させているかを考える。

【第5問】仕事とエネルギー
ピラミッドの建造をエネルギーと仕事で考える出題である。問1は仕事の計算問題。問2は力学的エネルギー保存則から求める。問3は高いところに並べるほど1個あたりの仕事が大きくなる代わりに個数が減ることから求める。問4は岩石全体の質量を求めてピラミッドの重心まで持ち上げる仕事を計算すればよい。問5は光ファイバーに関する知識問題。
新高3生へのアドバイス
理科総合Aは、「観察や実験などを通して、エネルギーと物体の成り立ちを中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う」ことを目的とした科目です。そのため、普段から教科書を中心とした内容を正しく理解することはもちろん、観察や実験を通して自然現象を理解し、現在の科学技術や環境問題に関心を持っておくことが重要です。
センター試験では各分野からまんべんなく出題されているので、教科書を中心に資料集なども使って、特定の分野に偏らない学習をしていきましょう。今年は出題されなかった化学分野の「酸化・還元」、生物分野の「光合成」、地学分野の「エネルギー資源」などは今後出題される可能性があります。また、理科総合A独特の内容である「資源のリサイクル」「環境問題」を押さえておくことも重要です。文系の人は物理分野が苦手な場合が多いので、「仕事とエネルギー」、「運動と力」の基本的な演習を行っておくとよいでしょう。
いつかではなく、今から受験に向けて準備を始めてください。センター試験は60分という時間内で、課せられた問題を解かなければなりません。全て多肢選択という形式も独特のものといえます。東進における理科総合Aの模擬試験は、12月に行われるセンター最終プレ入試にて受けることができます。理科総合A独特の実験考察問題に慣れるためにも、時間配分を考えるためにも、最終チェックとして東進のセンター最終プレ入試を受けるようにしましょう。
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