大学入試センター試験解答速報2008
世界史A
全体概観

昨年度同様、世界史Bとの共通問題はなし。戦後史のウェイトが増えたが、難易度は昨年度並み。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年度と同じく、大問数は3問。大問1つにつき小問が11問という形式が定着しつつある。a・b2つの文の正誤判定は4題と急増した。2004年度からの略年表を使った問題は相変わらず出題され、グラフや表の読み取り問題は姿を消した。写真図版はなくなり、地図問題はウクライナに関する1題のみ。従来までの詳しく切り込む問題は減ったが、地域や時代に偏りなく世界史全体の基本的内容が定着していなければ、正答を選び出すことは困難だったであろう。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2008

第1問

帝国の歴史

11

11

33

第2問

災害や環境問題とその対策

11

11

33

第3問

通信、交通やコミュニケーション

11

11

34

2007

第1問

戦争と軍隊

11

11

34

第2問

海を越えた移動と交流

11

11

33

第3問

世界史における中央と周縁

11

11

33

2006

第1問

世界史上の人々の接触・共存

9

9

25

第2問

産業と資源の歴史

9

9

25

第3問

国家と軍事の関係

9

9

25

第4問

メディアの歴史

9

9

25

2005

第1問

世界史上の建造物・祝祭・儀礼

9

9

25

第2問

近代以降の人の移動の歴史

9

9

25

第3問

フランス・中国・ロシアの革命

9

9

25

第4問

経済政策の歴史

9

9

25


過去18年間の平均点
2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
47.35点 44.87点 44.32点 45.96点 43.37点 44.28点 45.28点 42.97点 46.53点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990
50.69点 51.74点 64.62点 63.52点 63.76点 65.71点 71.37点 72.45点 64.54点

設問別分析
第1問 帝国の歴史
世界史Bの第1問との共通問題ではない点は昨年度と同じ。ローマ帝国・ビザンツ帝国・ナチス第三帝国・満州国などの基本事項、始皇帝やチャーチルといった人物にまつわる内容が試問された。11題中、戦後史に関わるものが5題も存在した。

第2問 災害や環境問題とその対策
11題中、戦後史に関わる知識が問われたものが7題。Aは農民とその生活、Bはサン=テグジュベリが題材に用いられた。Cは資源・エネルギー問題と環境問題について政治・経済さらに現代社会分野と重複する内容が問われた。

第3問 通信、交通やコミュニケーション
Aは近代以前のユーラシア大陸で展開された通信・交流についての内容。通貨や度量衡についても出題された。Bは近代社会から第二次世界大戦前までの内容。ナショナリズムについても言及された。Cは戦後の通信技術の進歩がテーマ。教科書に記載されている内容を逸脱するものは見当たらず、それぞれの国家・王朝についての基本事項がわかっていれば、消去法で正解にいたることが出来たと思われる。
新高3生へのアドバイス
センター試験の「世界史A」は、様々な事柄をキーワードにした「テーマ史」問題の形をとっていますが、世界史Bと比べると近現代史の出題のウエイトが高く、世界の一体化が進む16世紀以降は、各国・各地域ごとの基本事項の正確な理解が求められます。今年度は出題されなかったグラフや表の読み取りが、今後復活して出題される可能性があり、教科書に載っているグラフや表には必ず目をとめて、よく理解しましょう。また「世界史A」では、今年度のチェルノブイリなど著名な都市の位置が問われることがよくあるので、地図学習をしておくこと。とはいっても、それぞれの地域・時代の基本事項を押さえるのが、やはり学習の出発点です。基本事項の理解と、略年表や地図を用いた派生学習に重点を置けば高得点が取れるはずです。とにかく過去問を解くことで“センター試験の出題形式”に慣れておくようにしましょう。
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