日本史B
全体概観

戦後史が大幅増。年代配列問題が6択に。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数6題、小問数36題の問題数は昨年度と同様。出題された時代も、各時代からバランス良く出題されているが、相変わらず近代以降の設問数は多い。とくに、戦後史が独立した小問として3題出題された。出題分野は、政治史と社会史の比重が高かった一方で、予想された文化史の出題はわずかにとどまった。出題形式は、正誤問題・正誤組合せ問題が中心であることに変化はないが、近年定着していた短文傾向が薄くなり、選択肢の長文化が顕著であった。また、空欄補充と単答問題が減少し、年代配列問題が昨年度までの4択から6択へと変化するなど、過去問に慣れてきた受験生は戸惑いを覚えたかもしれない。しかし、その一方で、2文の正誤組合せ問題が大幅に増加するなど、取り組みやすくなった一面もみられた。年代グラフや史料を扱った出題では、読み取りを要求する出題が複数みられたが、落ち着いて対処すれば事足りる。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

地方行政区画の歴史的変遷

6

6

12

第2問

原始から中世初期の社会・文化

6

6

18

第3問

中世から近世初期の政治と外交

6

6

18

第4問

近世の政治と社会

6

6

17

第5問

近代の政治・社会

4

4

12

第6問

幣原喜重郎

8

8

23

2008

第1問

古代から近現代の祭礼や信仰

6

6

12

第2問

原始・古代の社会

6

6

18

第3問

中世の政治と文化

6

6

18

第4問

近世の政治・経済

6

6

17

第5問

明治前期の政治

4

4

12

第6問

尾崎行雄を題材にした近現代史

8

8

23

2007

第1問

歴史的文化財

6

6

12

第2問

古代の外交と政治

6

6

18

第3問

中世の政治や宗教

6

6

18

第4問

近世の人物

6

6

17

第5問

近代の政治

4

4

12

第6問

近現代の社会

8

8

23

2006

第1問

海外と日本の交渉

6

6

12

第2問

古代の土木・建築

6

6

18

第3問

中世の文物交流

6

6

18

第4問

近世の社会・経済

6

6

17

第5問

近代の東京

4

4

12

第6問

近現代の対外関係

8

8

23


過去19年間の平均点
2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
64.27点 67.02点 54.66点 59.27点 56.52点 63.93点 58.71点 55.26点 61.74点 58.98点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
62.18点 55.85点 59.99点 57.37点 70.08点 73.37点 63.97点 66.22点 73.93点  

設問別分析
第1問 地方行政区画の歴史的変遷
テーマ史を第1問に配置する構成は、従来と同様である。テーマが地方制度に関連した出題であったため、対策を講じていなかった受験生にはやや難しく感じたかも知れない。古代の行政区画の図は、解答を引き出すヒントとして活用できる。

第2問 原始から中世初期の社会・文化
弥生時代の社会、律令国家の民衆・地方支配、平安時代後期の地方支配・文化などをテーマにしている。A〜Cのいずれも図版を題材にしているが、図版の意味についてはリード文で説明が加えられているので、解答するうえで混乱が生じることはないだろう。Cの平安時代後期の地方支配・文化の出題については、きめ細かな学習が求められている。

第3問 中世から近世初期の政治と外交
中世から近世初期までの政治と外交をテーマとした出題で、鎌倉時代の政治と南蛮貿易・キリスト教の布教を題材にしている。問3の御成敗式目が定められた理由を問う出題は、歴史的思考力が試される。Bの近世初期の外交史に関する出題はきわめて易しい。南蛮貿易に関係する図版を選ぶ出題も、教科書等で馴染みの深いものである。

第4問 近世の政治と社会
Aは近世の江戸を題材にした出題であるが、落ち着いて対処すれば解答にたどりつく良問。Bは女性労働者が分業で働く織屋の生産風景を描いたもので、工場制手工業の形態を示している。問4は平易な史料の読みとりであるので、落ち着いて対処したい。
問6は、江戸時代後期の正確な時期判定が求められる。

第5問 近代の政治・社会
普通選挙制度を題材にした出題である。問1・2は難しくないが、問3・4は解きづらい。とくに問4のYは難問である。

第6問 幣原喜重郎
近代日本の代表的外交官である幣原喜重郎を題材として、近現代の政治・社会・外交を軸に出題している。戦後史からの出題が3問に及び、戦後史対策が後手に回った受験生は得点を落としただろう。問3は表の読み取りと時期判定という2つの要素が必要な問題だった。
新高3生へのアドバイス
センター試験において、選択肢の正誤を判定するポイントは2つに大別できます。1つは歴史用語の基礎知識、もう1つは歴史的事項の背景・結果・意義などの歴史的思考力です。これを身につけていくためには、教科書を精読して知識の定着をはかるとともに、教科書に記載されているエッセンスを理解しながら吸収していくことが必要になります。また、近年のセンター試験では、正誤の判断材料として時間的概念が求められることが多く、教科書に記載されている年代を暗記することはもちろんとして、各時代の政治や文化など諸分野の特徴を正確に理解することも求められています。グラフ・図版・地図などを利用した資料問題も、センター試験の大きな特徴の1つです。教科書学習の際に常に図説を活用する習慣をつけておきましょう。史料問題については、読解力を試す出題も多く、史料集を利用して文意を正確に読みとる演習も必要になります。
特徴的なセンター試験の出題に対応するためには、数多くの問題演習を積むことが不可欠です。正誤判定についても、問題演習を重ねることによって着眼すべき視点が見えてくるはずです。センター試験の傾向を入念に分析した東進の「センター試験本番レベル模試」は、磨きぬかれた良問で構成されています。年6回定期的に受験し、応用力を身につけるとともに、自分の弱点を修正して実力を高めてください。
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