理科総合B
全体概観

 実験・観察の能力と知識の両方が求められる。難易度はやや上昇か。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年同様の実験・観察やその結果整理の方法を問う問題のほか、知識を問う問題、両者を組み合わせた問題が出題されている。知識問題には難易度の低い問題が目立つ一方、図表の読み取り能力や考察力を問う問題は難易度が高くなった。全体としてやや難化したと思われる。しっかりした知識に基づいた問題処理能力を重視する方向性のあらわれと見ることができよう。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

太陽放射と環境問題

6

6

24

第2問

地層や地質時代の生物の変遷

7

7

26

第3問

多様な生物と自然のつり合い

7

8

25

第4問

生物と環境の変化

7

7

25

2008

第1問

太陽エネルギーと植物に関する実験・調査

6

6

24

第2問

惑星の環境・生物の変遷

7

7

25

第3問

地球上の気候や気象と生物

7

7

25

第4問

人間の生活と地球環境の変化

7

7

26

2007

第1問

野外調査・観察

6

6

24

第2問

地球と生命の移り変わり

7

7

25

第3問

地球上の気候や気象と生物

6

7

25

第4問

河川や湖の水質と人間活動

7

7

26

2006

第1問

野外調査・観察

4

7

26

第2問

惑星と生物の変遷

6

6

24

第3問

サンゴの白化

7

7

25

第4問

土壌の性質と劣化

5

7

25


過去3年間の平均点
2008 2007 2006
61.31点 62.35点 66.71点

設問別分析
【第1問】太陽放射と環境問題  
問1は地球のエネルギー収支をモデル化した実験、問2は温室効果、問3・4は太陽放射の波長に関する実験についての問題。ともにしっかりした基礎知識と考察力が必要である。過去数年の理科総合Bの出題傾向と同様であるが、問4では実験の目的と方法について十分理解している必要があり、やや難易度が高いと思われる。他は標準的なレベルの問題であった。

【第2問】地層や地質時代の生物の変遷    
問1・2は地層や岩石に関する基礎知識、問3〜5は生物の進化に関する基礎知識。いずれもきわめて易しい問題である。問6はグラフを読み取る問題だが、読み取るだけで容易に正解できる。

【第3問】多様な生物と自然のつり合い   
Aの問1は食物連鎖に関する実験の解釈、問2・3はそれに関連した生物についての基礎知識。問1は図の読み取り能力だけでなく十分な知識が必要で、やや難易度が高い。Bは生物を取り巻く地球の環境に関する問題で、標準的なレベルではあるが、基礎知識と図の読み取り能力が必要である。

【第4問】生物と環境の変化    
Aは地球温暖化に関連した問題。問1は二酸化炭素濃度の変化で、図の読み取りだけでなく生物の活動に関する十分な知識が必要。問2・問3は基礎知識と基礎的な読み取り能力が求められる。Bの問4は化石から過去の気候変動を推定する問題で、複数の図表を読み取り、組み合わせて解釈する能力が必要なやや難易度の高い問題。問5は地震に関する基礎知識の問題、問6は発表の方法に関する問題でいずれも標準的なレベルである。

新高3生へのアドバイス
理科総合Bは、「自然の事物・現象に関する実験・観察を通して、生物とそれをとりまく環境を中心に、自然の事物・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う」(学習指導要領より抜粋)ことを目的とした科目です。そのため、普段から教科書の内容を正しく理解し、観察や実験を通して深く考えるという学習習慣を身につけることが必要です。センター試験でも例年、そのような知識や手法について問う方向性がはっきりと示されています。試験対策としても、教科書を一字一句たがわず暗記するような学習ではなく、「これはどういうことなのか」「なぜそうなるのか」と考え、知識を整理しておくことが必要になります。日頃から身近な自然に関心を持つことも重要です。また、人類の活動との関係についての出題(「地球温暖化」「環境ホルモン」など)もあるので新聞やテレビのニュースにも注意を向けておきましょう。これはもちろん、試験対策としてだけでなく人として必要なことです。深く理解するためには、地学Iや生物Iの該当部分を学習することも有効です。単に知識を詰め込むのではなく、教科書を熟読して総合的に理解する勉強を心がけてください。
センター試験では限られた時間内に問題を解かなければなりません。また、試験対策としては普段からセンター試験の形式に慣れておくことも必要です。東進のセンター試験本番レベル模試を積極的に受験するとよいでしょう。
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