政治・経済
全体概観

国際化・情報化を反映した出題。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

形式面は昨年度と大差はない。会話文形式が今年も1問出された。とくに難問も出題されず、素直な問題が多い。グラフや図表問題が昨年より半減しており、歴史的に詳細な知識を必要とするものも見られなかった。概ね、文章問題による基礎的な語句の概念の正誤問題が中心となった。出題テーマは、南北問題などの国際経済にからめた国際政治・国際機関、情報化社会における新しい人権および法的・立法的制度、地方自治と世論、景気循環と労働問題・社会保障、日本の農業物における価格形成・内外価格差、環境問題、市場の失敗、消費者立法などである。各テーマから、それぞれ網羅的に出題する傾向が見られた。幅広い、基礎的な事項の理解が求められている。目新しい内容では、情報化社会の新しい人権、デモ・陳情・請願の政治への影響グラフ、農産物の需要供給曲線の移動と価格決定、為替レートの変化と海外旅行での買い物など、身近な問題が多く取り上げられている。ふだんから時事問題に関心を持ち、教科書の基本事項を理解できていれば大きく点を落とすことはなかっただろう。

【出題フレーム】

 

大問

出題範囲

問数

マーク数

配点

2009

第1問

南北問題と国際機関

10

10

24

第2問

情報化社会における人権とその立法

7

7

19

第3問

地方自治と民主主義

7

7

19

第4問

景気変動と労働問題・社会保障問題

7

7

19

第5問

農業問題と内外価格差および消費者保護立法

7

7

19

2008

第1問

企業の社会的責任

10

10

24

第2問

行政権の拡大

7

7

19

第3問

国際協力

7

7

19

第4問

戦後の貿易

7

7

19

第5問

格差社会

7

7

19

2007

第1問

国際政治,人間の安全保障

10

10

24

第2問

政治思想,立憲主義

7

7

19

第3問

日本国憲法,地方自治

7

7

19

第4問

アジア経済

7

7

19

第5問

バブル経済の発生と崩壊

7

7

19

2006

第1問

政治経済の諸問題

10

10

24

第2問

各国と日本の政治制度

7

7

19

第3問

国際関係と日本の政治

7

7

19

第4問

企業・消費者問題と国際経済

7

7

19

第5問

財政と社会保障

7

7

19


過去19年間の平均点
2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
63.73点 64.41点 61.05点 64.55点 61.49点 62.95点 52.45点 54.11点 58.30点 56.83点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
71.10点 63.32点 64.92点 67.03点 62.75点 62.34点 60.88点 63.31点 71.88点  

設問別分析
【第1問】南北問題と国際機関
南北問題・南南問題を題材として、資本主義経済について経済理論家の諸説の基本的違い、国連安保理の機能、新国際経済秩序、冷戦下での世界情勢、難民条約問題、UNCTADによる南北問題の解決、ODAの現状、地球環境問題が出題された。南北問題の現状とその解決に役割を果たす政治経済活動の総合問題である。

【第2問】情報化社会における人権とその立法
表現の自由などの人権と、情報化社会の基本的概念の用語を問う問題。人権侵害と裁判制度、議員の憲法上の地位と立法手続など情報化社会と立法との関連が問われた。

【第3問】地方自治と民主主義
在日外国人の参政権や日本の選挙制度と地方自治の実際、住民投票の効力・ブライスの民主主義の規定、住民自治とマスメディアが問われた。問7はデモ・陳情・請願が政治へ及ぼす影響を、グラフの読み取りから出題するという目新しいものだった。

【第4問】景気変動と労働問題・社会保障問題
景気循環の基本的問いにからめて、労働問題・中小企業問題・金融ビッグバン・日本の社会保障制度の基本的枠組、外国の社会保障制度の基本が出題された。いずれも網羅的に基礎的概念を問う問題で難しくはない。

【第5問】農業問題と内外価格差および消費者保護立法
日本の産業構造変化を含めた農業問題と価格分析、市場の失敗と環境問題との関連での農地法、為替変動による内外価格差による買い物の実際、消費者保護立法の基本的内容が出題された。

新高3生へのアドバイス
センター試験は教科書の範囲内の基本的事項から出題されますが、時事問題にからめた判断を求める問題が多く出題されています。常識的判断で処理できるものも多く、普段からマスメディアなどを通じて社会情勢の動きに関心を持っておくことが大切です。しかし、基本的語句の内容や歴史的事実に関する知識がなければ判断できない問題も多く、教科書的知識と現実的知識の融合が必要になってきます。東進の「センター試験本番レベル模試」を定期的に受験して、時事問題を含めたセンター試験の出題傾向に慣れておきましょう。社会情勢の理解に必要な知識を教科書から関連づけて学ぶことで、常識力と理論理解を融合させる理想的なスタイルが構築できます。教科書、テキストの記述内容を『政経ハンドブック』(東進ブックス)などを活用して現実の時事的な出来事に結びつけ、単なる暗記ではなく、考える生きた知識を学ぶことを目指してください。
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