生物I
全体概観

大問数は変化なし、小問数はやや減少。全体的に標準的な問題が多く、難易度は昨年度とほぼ同様。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

大問数は昨年度と同じ5であり、設問数(マーク数)は昨年度よりも2問(4マーク)少ない25問(28マーク)であった。問題形式は昨年度と変化はなかった。知識問題は、生物Iの教科書の内容を押さえておけば容易に解けるものが多いが、やや細かい知識が要求されているものもある。また、図・グラフなどを用いたデータ考察問題が増加したので、時間に余裕のある受験生は少なかったと思われる。ただし、よくデータを見て選択肢と照らし合わせれば正答にいきつく問題がほとんどのため、全体として難易度は昨年並みであると思われる。知識問題は平易であるが、第2問のB、第5問のAの問題はやや難度の高い考察力が要求される問題であり、ここで失点した受験生が多いと考えられる。全体として平均点は昨年並みになると思われる。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

細胞

4

7

20

第2問

生殖と発生

5

5

20

第3問

遺伝

6

6

20

第4問

環境と動物の反応

6

6

20

第5問

環境と植物の反応

4

4

20

2008

第1問

細胞

4

8

20

第2問

生殖と発生

6

6

20

第3問

遺伝

5

6

20

第4問

動物の脳と効果器、体液の循環

6

6

20

第5問

植物の成長と環境要因

6

6

20

2007

第1問

細胞

6

7

20

第2問

ウニ・カエルの発生・植物の生殖

6

6

20

第3問

複対立遺伝子・胚乳形質の遺伝

6

7

20

第4問

神経と動物の反応

5

5

20

第5問

植物ホルモン

5

5

20

2006

第1問

細胞と組織

5

6

20

第2問

動物の生殖と発生

5

5

20

第3問

遺伝総合

5

5

20

第4問

神経細胞と動物の行動

6

6

20

第5問

環境条件の変化に対する植物の反応

4

5

20


過去3年間の平均点
2008 2007 2006
57.64点 67.04点 69.60点

設問別分析
【第1問】細胞(組織と器官、体細胞分裂)
細胞・組織・器官の構造や機能、および体細胞分裂の過程に関する基本的な知識問題である。
問1〜問3はオーソドックスな知識問題であるが、問4はやや細かい知識が要求される。問2の誤っている図の組合せでは、図を慎重に見る必要があり、ここで時間を費やした受験生も多かったと思われる。


【第2問】生殖と発生(生殖方法と卵成熟)
Aは配偶子の核相と性決定に関する基本的な知識問題、Bはヒトデの卵成熟に関わる物質の作用に関する実験考察問題である。
問1は標準的な問題であるが、問2は盲点をつく問題であり、チェックしていない受験生も多かったと思われる。問3・問4は、例年の発生の問題と異なり、物質に着目しているのでやや難しめではあるが、選択肢と照らし合わせれば十分解答できる。問5は標準的な知識問題である。


【第3問】遺伝(DNAの構造、致死遺伝と不完全優性)
AはDNAの4つの構成要素(A・T・G・C)のシャルガフの規則に関する基本的な知識・計算問題、Bはハツカネズミの致死遺伝子とオオムギの不完全優性に関する知識・計算問題である。
問1〜問3は、一見すると難しそうであるが、シャルガフの規則を理解していれば、それほど難しくはない。問4は、遺伝子Yが劣性致死遺伝子であることはやや難しめの知識である。問5・問6はメンデルの遺伝の法則をしっかり理解していれば難しくはない。

【第4問】環境と動物の反応(感覚・神経・ホルモン)
Aは神経系と内分泌系に関する基本的な知識問題、Bは視覚に関する実験考察問題である。
問1〜問3は、オーソドックスな知識問題であるが、自律神経系や中枢神経系、ホルモン、血糖量調節に関する広範囲でやや細かい知識が要求される。問4・問5は図1・2と選択肢を照らし合わせていけば正答にたどり着ける。問6は文章の内容を整理するのに時間がかかる。問4〜問6は「閾値」の用語を逆に考えて間違う受験生が多いと思われる。


【第5問】環境と植物の反応(光合成・花芽形成)
Aは光−光合成曲線と限定要因に関するデータ考察問題、Bは、光周性に関する実験考察問題である。
問1は図1と選択肢を照らし合わせていけば解けるが、文章の内容が細かく、確認には時間がかかる。問2は、まず選択肢にある用語から逆算して図1〜図3を照らし合わせていけば正答できるが時間がかかる。問3・問4は短日植物の花芽形成のしくみに関する基本的な知識があれば、見かけよりは難しくはない問題である。

新高3生へのアドバイス
2009年度の生物Iは、試験時間60分で5つの大問を解くことになります。この5つの大問は、「細胞」・「生殖と発生」・「遺伝」・「環境と動物の反応」・「環境と植物の反応」からなり、生物Tの全範囲から出題されます。このうち、「発生」と「遺伝」は、ほとんど間違いなく出題されます。さて、気になる難易度ですが、おおむね平均点数を60点になるように作られています。もっとも、年度によって差があるのは言うまでもありません。さて、肝心の問題ですが、約半分近くは基礎知識問題です。これは、生物Iの教科書にでてくる用語を覚え、実験内容と結論をきちんと整理していれば容易に解ける問題です。ただし、かなり詳しい知識が要求されることもあるので、細かいところまでしっかりと覚えておく必要があります。残りは、実験考察問題や遺伝の計算問題です。これらはまず、文章を読みこなし、データを解析し、正しい解答を導き出す能力が必要になります。これは一朝一夕ではなかなか身につかないため、ある程度「慣れ」ておくことが必要になります。東進の「センター試験本番レベル模試」を積極的に受けて「場慣れ」してください。多くの問題に接することで力がつき、知識の確認もできて一挙両得です。一年間、生物Iをゆっくりとこなし、無理なく高得点を狙いましょう。
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