世界史A
全体概観

戦後史の比重は減少し、宗教や文化史が増加。総じてやや難化。 


大問数 減少 | 変化なし | 増加 
設問数 減少 | 変化なし | 増加 
マーク数 減少 | 変化なし | 増加 
難易度 易化 | やや易化 | 昨年並み | やや難化 | 難化 

昨年、一昨年度に続き、大問数は3問。大問1つにつき小問が11問という形式である。a・b2つの文の正誤判定は6題と昨年より増加。略年表を使った問題のほか、出来事の年代を配列する問題が出題された。地図問題はなくなり、パルテノン神殿とバンコクの二つの記念塔の写真図版が出た。昨年度は3分の2を占めた20世紀以降の現代史が今年度は半数になり、受験生が重点的に対策を立てるであろう前近代史の比重が増した。とは言え、宗教や文化史も問われ、世界史全体の基本的内容が定着していなければ、正答を選び出すことは困難だったであろう。総じて平均点はやや下がると思われる。

【出題フレーム】

 

大問

出題分野

設問数

マーク数

配点

2009

第1問

モニュメントや歴史的建造物

11

11

33

第2問

人々の移動や離散

11

11

34

第3問

世界史における伝統と変革

11

11

33

2008

第1問

帝国の歴史

11

11

33

第2問

災害や環境問題とその対策

11

11

33

第3問

通信、交通やコミュニケーション

11

11

34

2007

第1問

戦争と軍隊

11

11

34

第2問

海を越えた移動と交流

11

11

33

第3問

世界史における中央と周縁

11

11

33

2006

第1問

世界史上の人々の接触・共存

9

9

25

第2問

産業と資源の歴史

9

9

25

第3問

国家と軍事の関係

9

9

25

第4問

メディアの歴史

9

9

25



過去19年間の平均点
2008 2007 2006 2005 2004 2003 2002 2001 2000 1999
49.28点 47.35点 44.87点 44.32点 45.96点 43.37点 44.28点 45.28点 42.97点 46.53点
1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990  
50.69点 51.74点 64.62点 63.52点 63.76点 65.71点 71.37点 72.45点 64.54点  

設問別分析
第1問
モニュメントや歴史的建造物
Aはパルテノン神殿、Cはバンコクの二つの記念塔の写真図版がリード文の下に使われ、古代ギリシア・近現代ドイツ・20世紀の大型モニュメントから出題された。B・Cはすべて20世紀以降の問題であった。


第2問
人々の移動や離散
世界史で頻出の人々の移動や離散を、Aは16世紀以降のヨーロッパ、Bは中国、Cは18世紀後半以降のロシアについて問うている。Aはアメリカ合衆国の奴隷制についても問われている。B、Cは主に20世紀を中心とする問題となっている。

第3問
世界史における伝統と変革
Aは西アジアのムスリム社会についての内容で、イスラーム世界の文化史にも触れている。Bは南アジアにおける宗教が中心、Cは近現代ヨーロッパからの出題でカレルギの引用文がリード文に示されている。Bでは年代の配列を問う設問が出され、Cでは年表を示しヨーロッパ統合の展開を問う問題が出された。いずれも歴史的出来事の流れを理解しているかどうか重視されている。

新高3生へのアドバイス
センター試験の「世界史A」は、様々な事柄をキーワードにした「テーマ史」問題の形をとっていますが、世界史Bと比べると近現代史の出題のウエイトが高く、世界の一体化が進む16世紀以降は、各国・各地域ごとの基本事項の正確な理解が求められます。昨年度に比べると20世紀以降の問題は減少しましたが、半数を占めているので、しっかり学習しておきましょう。今年度は出題されなかった地図問題も、今後復活して出題される可能性があるので、地図学習も欠かさないこと。著名な都市の位置も覚えておきたいものです。とはいっても、それぞれの地域・時代の基本事項を押さえるのが、やはり学習の出発点です。前近代も含めた基本事項の理解と、略年表や地図を用いた派生学習に重点を置けば高得点が取れるはずです。とにかく過去問を解くことで“センター試験の出題形式”に慣れておくようにしましょう。
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