《物理I》 設問別分析
【第1問】小問集合
問1は音波のうなりに関する基本問題。問2はエネルギーの変換に関する設問で、適切に数値計算を行えばよい。問3は箔検電器と同じ内容であり、状況把握がポイント。問4では、2物体のそれぞれについて所要時間を確認するとよい。問5は、波長が長くなるほど回折効果が現れやすくなることを知らなければならない。問6は、浮力も考慮したうえで、剛体のつりあいの式を的確に記述したい。
【第2問】電磁気
Aは、磁石の移動にともなう電磁誘導の問題。2007年第2問Bにも、電圧のグラフを選択する類似した出題があった。問1は磁石の強さとコイルの巻き数の変化が、誘導起電力に与える影響を判断する。問2では、起電力の生じる向きと、時間変化の素早さの考察でミスをしやすい。
Bは電流と抵抗に関する問題。問3では、各抵抗の電流と電圧の関係を一つ一つ追えばよい。問4も同様にして消費電力を確認すればよいのだが、注目量を誤るとミスをしやすい。
【第3問】波動
Aはレンズによる光波の屈折の問題。問1はレンズの性質についての短文正誤問題。レンズの一部を覆った場合の像の変化については、2008年第3問Aに同様の出題がある。問2は、レンズの結像公式を適切に用いればよい。
Bは音波の干渉の問題。問3は、条件が強め合いから弱め合いに変わるまでを、波長と共に考える。問4は少々考えにくかったであろう。特にy軸方向の移動では、強め合いの条件が変わらないまま、波源が接近することに気付けばよい。
【第4問】力学、気体の状態変化
Aは弾性力と力学的エネルギーの問題。問1は斜面に沿った等加速度運動の基本問題。問2では、速さが最大になる点は加速度がゼロ、すなわち力のつり合い点であることを見抜くこと。問3は、運動エネルギーが最大の位置とゼロになる点で、位置エネルギーがどのようになるかを考えればよい。
Bは、摩擦をともなう運動に関する問題。問4は、動摩擦力に関する基本問題。問5は、仕事と運動エネルギー変化から立式するのがよい。問6は、各区間での等加速度運動とその性質から時間変化を考察すれば、特に関数形を導出せずとも正答が得られるであろう。
Cは気体の状態変化に関する問題。問7では異例の部分点を与える発表がなされたが、ゆっくりとした理想的な状態変化を考えた受験生であれば、素直に解答ができたであろう。問8は、真空中への自由膨張を扱っており、経験の有無で差がついたかもしれない。問題文中に説明されているが、受験生には考えにくい設定だったと思われる。