《日本史A》 設問別分析
第1問 東京の上野の歴史
会話文形式の設問を第1問で出題する構成は昨年度と同様である。過去問対策を講じてきた受験生は落ち着いて対処できたであろう。問3の明治初期の宗教政策に関する出題については、政策に関する深い理解が要求される。
第2問 幕末から明治初期の政治・外交
幕末から明治初期にかけての政治・外交をテーマとする問題。幕末の出題については、薩摩藩と長州藩の動向を正確に理解しておくことが求められたが、比較的取り組みやすかったと考えられる。問5については、政体書にもとづく中央官制についての知識が求められた。
第3問 明治期における特許制度
明治期における特許制度を題材に、主に明治期の産業革命や法制度をテーマとした出題である。問4の資料の読み取り問題は、選択肢中の歴史事項の年代についての知識とあわせて、表に掲載されている事項を丹念に拾っていけば正答にたどりつくことができる。
第4問 明治期の歴史学の展開
明治期の歴史学の展開を題材にした出題であるが、問1の経済政策については政策の内容や結果まで求めた良問である。明治期の教育政策に関する出題は、文化史対策が後手になった受験生には苦しかったかもしれない。
第5問 20世紀の日本における軍事と政治・経済・社会とのかかわり
大正から昭和期の政治・外交・経済に関して、バランス良く出題されている。問6の地図問題については、太平洋戦争中の日本と東南アジアとの関係についての戦争認識に関する理解が求められた。
第6問 昭和期の社会・文化
昭和期の社会と文化をテーマとした出題であった。戦後史からの出題が4問に及んだうえ、1980年代からの出題もみられ、今後の対策が求められる。しかし、占領政策や外交史などについてのきちんとした理解があれば、戦後史で点数を落とすことはない。