大学入試センター試験

《地理B》 設問別分析


 
【第1問】世界の自然環境と自然災害

例年通り第1問は自然環境に関する出題であり、5年続けて自然災害に関する設問が盛り込まれた。全体的に標準的な設問が並び、学習の成果が反映されやすい内容であった。

問1 4地域の植生と土壌に関する説明文の正誤判定。
問2 4地点の地形断面図の判別。大地形の分布を考える。
問3 3河川の月別平均流量グラフの判別。過去頻出の内容である。
問4 4地点の気候ハイサーグラフの判別。各々の気候区を想起したい。
問5 北極海の海氷分布に関する説明文の正誤判定。目新しい題材である。
問6 熱帯低気圧・台風に関する説明文の正誤判定。


【第2問】資源と産業

第2問は例年、産業分野に当てられている。そのうち「資源と産業」というテーマは2017年度から3年連続の出題となった。日ごろからの統計問題への取り組みが試された。

問1 4作物の栽培地域の変化を示すグラフの判別。やや手間がかかる。
問2 コーヒー(アラビカ種)原産地の選択。珍しく単純な設問である。
問3 コーヒー豆の流通に関する説明文の正誤判定。
問4 農畜産物の生産統計における国名判定。標準的。
問5 4カ国の輸出品目統計における国名判定。
問6 日本の事業所分布の統計地図の判別。アとイの判別がやや難しい。


【第3問】都市と村落、生活文化

集落(都市・村落)に関する問題は2009年度以降続けて出題され、近年は生活文化との組み合わせが定番になっている。難しめの設問が並んでおり、落ち着いて考えられたかが鍵。

問1 パリ周辺の景観を示した写真の判別。センター特有の出題だがやや難。
問2 4首都の機能集積を示した統計の判別。
問3 4都市と河川に関する説明文の判別。問2と共に知識が必要。
問4 旧宗主国と植民地の組み合わせに宗教を併せた正誤判定。
問5 奈良盆地の地形図の歴史順整序。形式として目新しい。
問6 日本の文化・レジャー施設の分布図の判別。やや考えにくい。

【第4問】地中海沿岸地域

地誌を扱う大問の地域として「地中海地域」が出題された例としては、2004年度、2013年度などがある。扱われた内容が細かく、受験生にとっては厳しい大問だったのではないだろうか。

問1 4地点の自然環境に関する説明文の正誤判定。
問2 4つの海峡に関する説明文の正誤判定。やや細かい。
問3 農作物の産地分布を示す統計地図の判別。
問4 3カ国の輸出品目に関する統計グラフの判別。
問5 都市の成り立ちや現状に関する説明文の正誤判定。
問6 4カ国の移民送出国に関する統計の判別。かなり難しい。



【第5問】ウクライナとウズベキスタン

新課程の実施に伴い2016年度からは比較地誌の大問に衣替えされた第5問だが、扱う国の数が前年の3カ国から2カ国に戻った。しかし、いずれも学校の授業などで扱われることの少ない馴染みの薄い国であり、得点しづらい設問が並んだ。

問1 2カ国の地形および気候環境に関する統計の判別。
問2 2カ国の農産物と鉱産物の生産統計の判別。
問3 2カ国のGDP推移グラフに関する説明文の正誤判定。
問4 3カ国の食肉生産、食料供給量に関する統計の判別。
問5 2カ国の言語と都市景観の判別。昨年の「ムーミン問題」を思い出させる。

【第6問】地域調査(宮崎市)

例年通り地理A(第5問)との共通問題である。2年続いて新旧地形図の比較が出題されず、地形図読図のウエイトが低下している。全体としては標準的な難易度の大問である。

問1 3都市の交通の発達に関する資料の判別。ユニークな題材である。
問2 宮崎市の観光統計に関する説明文の正誤判定。特別な知識は不要。
問3 地形図と景観写真に関する説明文の正誤判定。
問4 土地利用を示した新旧数値地図に関する説明文の正誤判定。
問5 市町村別農作物生産を示す統計地図の判定。
問6 口蹄疫に関する会話文の適語補充。過去の出題と比較して斬新な内容であった。