大学入試センター試験

《現代社会》 設問別分析


 
【第1問】経済のグローバル化
リード文は、国際経済枠組みのグローバル化をテーマとしたものであった。設問は、経済分野を中心とした出題であった。グローバル化や国際通貨・貿易体制など経済に関する理論的事項の内容がほとんどであり、経済分野の大問といえる。全体の出題傾向およびレベルとしては、理論的事項をオーソドックスに問うているが、ほぼすべての設問で理論的事項の確実な理解が必要であったため、やや難しかったといえる。

【第2問】人権保障と国家の役割
リード文はSNSなども素材に取り上げているが、出題の内容は日本での人権を中心とした基本的なものである。憲法における人権、情報公開の判例、刑罰、国会といった観点から出題された。一定の学習を積んだ受験生にとっては実力を発揮しやすい設問内容であり、点を取りこぼさないことが求められているといえる。問2は西洋近代思想を正確に理解できているかが問われた出題であった。

【第3問】人の社会性
前年までは8問であったが5問の大問となった。「ありがとう」という感謝についてのリード文から、倫理分野中心に出題された。問1の社会性に関する出題では西洋近代思想の理解が問われた。問2ではマズローの自己実現理論が2015年以来の出題となっている。問5は課題追究学習の出題であった。

【第4問】社会保障制度
前年までは5問であったが8問の大問となり、リード文は対話形式で少子高齢化についての内容となっているが、少子高齢化を切り口として、分野横断的な要素の強い出題となっている。特に問1・3・6で法律の理解について問われるなど、理論的事項の正確な理解がないと歯が立たない手ごわい大問となっている。問3において前年は条件を基とした読解問題であった民法上の「契約」について知識問題として問うたもので、過去問とその復習をしたかどうかが問われる出題であった。問2は資料読解問題だが、特別な知識は必要ない。

【第5問】地方創生
リード文は「地方創生」と、その際にツールとして重要である「地域経済分析システム」についてであるが、経済分野中心にオーソドックスな出題となっている。問5はレーダーチャートの読解問題で特別な知識は不要であったが、五角形で読解すべき要素が多数あったため若干時間がかかった受験生がいたことが想定される。

【第6問】欧州の統合
リード文は英国の離脱問題などで注目を集めている欧州統合に関する内容であった。問3でここ2年連続で出題されている各国の政治制度が出題された。また問4では近代民主主義思想の主要宣言・憲法に関して内容の正確な理解を問う出題であった。