大学入試センター試験
《倫理》 設問別分析
【第1問】青年期・現代社会分野
例年と同様、青年期と現代社会分野からの出題が中心であった。リード文が会話形式という点も同様。生殖技術や家族形態についての設問ではやや細かい知識が必要になる。ステレオタイプの具体例が問われた問4は、2010年本試で類題が出ている。分野を横断する問7では、トルストイ、シュヴァイツァー、小林秀雄、坂口安吾、丸山眞男についての知識が必要になる。
【第2問】源流思想分野
出題内容に目新しいものはないが、「ヒポクラテスの誓い」についての文章読解問題を除くと、古代ギリシア哲学からの出題が少なく、ユダヤ教・キリスト教についての選択肢を含む横断的な問1しかなかった。また、近年は各大問に組合せ問題が必ず含まれていたが、本問には組合せ問題がなく、すべて4択問題であった。
【第3問】日本思想分野
全体概観でも触れたとおり、難しかった。吉田松陰と会沢正志斎が問われた問6や、西田幾多郎の無の場所について問われた問8は多くの受験生が苦しんだろうし、古神道についての問1や日本の美意識の問われた問4もやや難しい。問2も栄西と一遍について問うという珍しい問われた方であったし、問7では内村鑑三が日清戦争を肯定していたという点が言及され、判断に迷った受験生が多かっただろう。
【第4問】西洋近現代思想
過去何度も出題されてきた論点を中心とする、比較的オーソドックスな出題であった。ただし、ヘーゲルの歴史観が問われた問4はやや難しかったであろう。