大学入試センター試験

《倫理、政治・経済》 設問別分析



【第1問】現代社会分野・青年期分野
リード文は「倫理」第1問と共通であった。出題内容は、青年期、生命倫理、現代社会の課題、現代思想、資料文読解であった。条約や「人間の安全保障」が倫理分野で出題されているが、平易である。他の問題も基礎的な知識で解答できるだろう。

【第2問】源流思想分野・日本思想分野
リード文および小設問のベースは「倫理」単独科目の第3問(日本思想)であり(7題中5題が「倫理」第3問と共通)、2題が「倫理」第2問(源流思想)と共通問題であった。出題内容は、古代の日本人、仏教における慈悲、仏教と武士、日本の芸術、中国思想と仏教思想における心・身体、西田幾多郎、趣旨読解であった。西田幾多郎の絶対矛盾的自己同一が問われているが、近年のセンター試験ではたびたび西田幾多郎が取り上げられているので、対策はできたはずである。他の問題は、日本の芸術についての問いでやや細かい知識が問われたくらいで、基礎的な問題が多かった。

【第3問】源流思想分野・西洋近現代思想分野
リード文および小設問のベースは「倫理」単独科目の第4問(西洋近現代思想)であり(6題中4題が「倫理」第4問と共通)、2題が「倫理」第2問(源流思想)と共通問題であった。出題内容は、源流思想を幅広く問う問題が2題、ベーコンのイドラ、絶対精神、自然選択、趣旨読解であった。墨家、ダーウィン、スペンサーなど学習が及びにくい思想家が取り上げられており、やや取り組みにくい大問であったと思われる。

【第4問】地域経済統合
リード文は「政治・経済」第1問と共通で、すべてそこから小設問が抜粋されている。出題内容は、特別裁判所、国民所得、条約、知識を必要とするグラフ読解、国連海洋法条約、外交に関わる日本国憲法の規定、金融、会社における無限責任と有限責任であった。条約であるものを問う問3は、国際分野で出てくる用語を雑に覚えていると答えにくいかもしれない。グラフ読解の問4は、必要とされるのはすべて基礎的な知識である。他はおおむね基礎的な問題であった。

【第5問】基本的人権
リード文は「政治・経済」第3問と共通で、すべてそこから小設問が抜粋されている。出題内容は、人身の自由、新しい人権、大日本帝国憲法と日本国憲法の比較、国会、地方自治制度であった。首長の不信任決議の要件が問われた問5がやや細かい程度で、全問正解も可能な問題が並んでいる。

【第6問】地球環境問題
リード文は「政治・経済」第4問と共通で、すべてそこから小設問が抜粋されている。出題内容は、リスト、グラフ読解、環境保全を促す政策、時事問題(コンパクトシティとふるさと納税)、環境問題であった。環境保全を促す政策を問う問題では、「誘因を与え」ていない制度を見つけ出せるかが鍵である。問4の時事問題は、空欄の前後の文章から判断できる内容である。