ピアニスト、ピアノ演奏家、ピアノ奏者
ピアノを演奏することで、人の心を動かす仕事
音楽に関する仕事
INTERVIEW
現役のピアニストに聞きました

及川音楽事務所
森岡 薫さん
PROFILE
もりおかかおる
ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院卒
子どもの頃から「ピアノ」と聞くだけでときめき、ドキドキしていた森岡さんは、壁に何度ぶつかってもピアノがあったからここまで来られたと断言します。
コンサートに向けた練習の合間に、ピアニストの仕事についてうかがいました。
1
お仕事の内容は?
大きな仕事として、コンサートホールなどでの演奏活動があります。1・2カ月に1回くらいのペースで、ときには数名の出演者と共演し、ときにはソロでコンサートを開いています。コンサートごとにテーマが決まっているので、それに合わせた選曲や弾き方、衣装なども関係者と話し合い、当日まで毎日練習とリハーサルを重ねます。
音楽CDを発売したこともあります。そのときには事務所の方と選曲からジャケット用の衣装、イメージなどを決めて、何日間かスタジオにこもって収録しました。
それ以外の日は、ピアノ教室を開いています。今のピアノ教室は昔のように少年少女ばかりではなく、幼い子どもからご年輩の方まで幅広い年齢の方々が生徒として通ってきます。
生徒さんたちと一緒に、定期的に発表会も開いています。1人ひとりの力量に合った曲目を選び、練習することになります。いったん発表会の開催を決めると、会場探しやプログラムの作成などもあって、結構忙しいですね。
教室の生徒も私自身も、どんなにうまく弾いても必ずその先に未挑戦の曲があり、まだ知らない苦労もありますが、それが何より大きな楽しみでもあります。
音楽に終わりはありません。常に「音」という漠然としたものを追いかけ、必死で追いつこうとする。そんなファンタジーを含んだ仕事をするのがピアニストなのだと思います。
2
このお仕事の醍醐味は?
それよりも演奏やピアノそのものに大きな魅力を感じています。うまく演奏できたときには、割れんばかりの拍手をお客様からいただき、この上ない充実感に包まれます。逆にうまく演奏できなくて落ち込んだときや日常生活で凹へこむことがあったときには、ひたすらピアノを弾きます。無我夢中で弾くうちに気持ちが軽くなり、ポジティブになれる。そんなピアノの魅力に私は惹きつけられています。
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ピアニストを目指す人にアドバイス
ピアノ教室・音楽大学・留学先の名門校など、どこであっても師弟関係が大きく影響します。金銭的なバックアップや運も小さくない要素です。希望する進路先をよく調べたうえで、家族や周囲の人々とよく相談して決めることが大切です。
そのうえで改めて、「本当にピアノが好きなのか?」と考えることが大切です。ピアノを弾かなくても平気で過ごせる、あるいは練習をさぼっても平気な人なら、技量があってもピアニストには不向きです。逆にもし、「ピアノ」と聞くだけで胸が高鳴り、弾かないと落ち着かないような人であれば、ピアニストに挑戦してみる価値があると思います。
ある日の森岡さん
12:00
昼食後、コンサートのために軽く練習
13:00
移動。楽屋入りして、他の演奏者や出演者などと段取りを確認。通しでリハーサル
15:30
会場のピアノを使って予行演習
17:00
装替え、メイクなど
18:00
開場。楽譜を見ながら携帯プレーヤーで音楽を聴くなどして集中力を高める
18:30
開演。出演者が複数いる場合は、適度な緊張を途切れさせないようにしながら出番を待つ。演奏時は最大の集中力と適度な緊張感を持続させる
20:30
全員の演奏が終了し、閉幕。その後、打ち上げ(会食)の場合も
