裁判官
法律に関する仕事
- こんな人に
オススメ! -
- 物事を多角的にとらえられる人
- 法律を扱う仕事がしたい人
- 先入観を排し事実と向き合える人
1.裁判官の仕事とは?
全国にある裁判所(最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)で、争いごとや事件に関して事実を確かめ、憲法と法律と良心に従って判決を下す仕事です。
裁判には大きく分けて、民事裁判と刑事裁判の2種類があります。
民事裁判は、「お金を貸したのに返してくれない」「車に衝突された怪我の治療費を支払ってほしい」といったケースで、原告(訴える側)と被告(訴えられる側)は個人や企業です。
一方、刑事裁判は、「他人のお金を盗んだ」「他人を殺傷した」など刑罰に触れるケースで、この場合、訴える側は検察官になり、裁判所に対する処罰の要求を「起訴」、起訴された人を被告人といいます。
裁判官は、民事裁判では原告と被告の双方から、刑事裁判では検察官と被告人の双方から話を聞きます。また、争いごとや事件についての調査が記された書類を読み、証拠を確認し、証人からも話を聞きます。そして、憲法と法律とに照らし合わせ、原告や検察官の訴えが認められるかどうかを、中立公正な立場から吟味し、判決を下します。
2009年から始まった裁判員制度では、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加し、裁判官と共に考え、判決を下しています。
2.裁判官の役割・資質とは?
裁判官は中立公正に最も正しい判決を下すように努めますが、必ずしも原告と被告、検察官と被告人、そして家族や関係者の全員が納得できる判決を下せるわけではありません。
約束どおりや期待どおりのお金を支払ってもらえなかった原告は、生活に困ってしまうかもしれません。刑事裁判で有罪判決を受けた人は、仕事も信用も失ってしまうかもしれません。また、起訴された人が本当は罪を犯していなかったというケースもあります。一方で、裁判官が下す中立公正な判決によって、原告や被害者が心穏やかな生活を取り戻すきっかけをつかみ、被告や被告人が心を改めるきっかけを得ることもあります。
このように、裁判官が下す判決は人の人生に大きな影響を与えますから、裁判官の仕事は、非常に責任の重い仕事であり、人の人生の重要な局面に立ち会う仕事です。ゆえに、一切の先入観や偏見を捨て、法廷の人々の話に耳を傾けて、事実と法律にもとづいた判決を下さなければならないのです。
3.裁判官になるためには?
裁判官になるためには、司法試験に合格する必要があります。司法試験は難易度が高いため、まず大学の法学部に進学して、法律の基礎を徹底的に学びましょう。その後、ロースクール(法科大学院)に進み、2年間(または3年間)司法試験に向けた勉強をします。
POINT
- 人の人生を左右する重大な責 任を負う
- 大学の法学部から法科大学院 へ進み、司法試験に合格後、 研修を受ける
関連情報
●裁判所
裁判所の仕事や裁判員制度の説明、採用 案内などを掲載
オススメの1冊
『ドキュメント 裁判官――人が人をどう 裁くのか』
(読売新聞社会部著/中公新書)
人が人を裁くということを、裁判官はど う考え、行っているのか。裁判官の責任 や苦悩も含めて知りたい人におすすめ
裁判官は国家公務員。判事になると 月収は約50万円。責任の重い仕事 だが、待遇は恵まれているといえる
慶応義塾大学:法学部法律学科
法律科目は習熟度別に導入、基幹、展開の3つの区分を設置。導入科目で憲法、民法、刑法の基礎を学び、基幹科目や展開科目で関心のある分野を深く学ぶ。1・2年次に公務員志望者向けの準備科目がある他、法曹志望者向けの法曹コースも設置されている。
中央大学:法学部法律学科
2年次より法曹、公共法務、企業の3つのコースに分かれる。法律に加え、歴史や哲学などの幅広い教養教育も重視する。法曹コースには「一貫教育コース」が設置され、成績優秀者は3年間で学部を卒業し、法科大学院(ロースクール)の既習者コースに進学できる。
京都大学:法学部
少人数制の演習などを中心に法学の学習を進める。必修の専門科目を設定せず、学習計画を学生の主体性に任せているのも特徴の1つである。外国語の授業の他、社会の全体像を経済の視点からとらえるために、経済学部の一部の科目も履修可能である。
一橋大学: 法学部法学コース
法的な素養を備え、官公庁や一般企業、法科大学院(ロースクール)に進む人材を育成する。法学に関係する部門を中心とした5つの部門の科目の履修が必須。他学部の科目も履修可能で、「経済学副専攻プログラム」では経済学部の科目の系統的な学習ができる。
大学で学ぶ法学の世界とその魅力―海法研究に魅せられて
早稲田大学法学学術院長 法学部長
箱井 崇史先生
研究やビジネスの最前線を走る“現代の偉人”を講師に迎える「トップリーダーと学ぶワークショップ」。今回は、早稲田大学で法学部長を務める箱井崇史先生をお招きし、「大学で学ぶ法学の世界とその魅力―海法研究に魅せられて」をテーマに講演いただいた。そもそも法律学とは何か、法律は生活にどう関わっているのか。なかでも先生の専門分野である「海法」はどのようなものか。多くの高校生が熱心に聴き入った、当日の様子をお伝えする。
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