宇宙飛行士、スペースマン

人類の未踏の地である宇宙に飛び立ち、様々なプロジェクトを実行する仕事

宇宙に関する仕事

INTERVIEW

現役の宇宙飛行士に聞きました

宇宙航空研究開発機構(JAXA)

大西 卓哉さん

PROFILE

おおにし たくや
東京大学 工学部航空宇宙工学科卒業

宇宙が舞台の映画に感動し、宇宙への夢を広げた大西さん。社会人になってから偶然見つけた宇宙飛行士の募集広告が、夢をかなえる第一歩となりました。
アメリカで訓練に励む大西さんに、宇宙飛行士の仕事についてうかがいました。

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お仕事の内容は?

現在私は、アメリカ・テキサス州のヒューストンに滞在し、来るべき宇宙飛行へ向けてNASAやロシアで訓練を続けています。国際宇宙ステーションの修理・保守点検を行うための船外活動訓練、複座式(2人乗り)のジェット飛行機での操縦訓練、機器の操作やロボットアームの操作訓練などと共に、様々なシミュレーション訓練にも取り組んでいます。
 中でも特に厳しさを感じたのは、サバイバル訓練です。地球への帰還時にトラブルが発生し、予定外の場所へ着陸してしまったという想定で、救援が来るまでの間、どうやって生き延びるかという内容です。人が生活していない環境で、数日間にわたって行われるため、慣れるまでが非常につらかったです。
 また、いったん宇宙空間に出ると、たとえ専門外の分野でも分刻みのスケジュールで多くの実験をこなしていかなければなりません。あらゆる実験機器を繰り返し操作することで、精通していくことも大切な任務です。
 大規模な訓練に関しては運営側からスケジュールを指定されますが、それ以外の時間帯については個人でカリキュラムを組みます。私の場合、より高度なコミュニケーションができるように英語の習得やロシアの宇宙船ソユーズでの打ち上げを想定したロシア語の習得、体力の向上・維持のためのトレーニングなど、個人で積極的に取り組んでいます。

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このお仕事の醍醐味は?

 子どもの頃に宇宙が舞台の映画を観て、宇宙に魅せられてしまいました。それ以来、ずっと夢見てきた宇宙飛行士という立場に、今いるわけです。厳しい訓練ばかりで宇宙への扉がなかなか開かないと焦りを感じたこともあります。でも、それだけ宇宙は厳しく、ちょっとしたミスでも命に関わる場所なのです。将来の宇宙飛行へ向けて、今はスキルと精度を極限まで高めておくことが、私の任務だと思っています。
 宇宙は、きっと想像をはるかに超えたすばらしい体験を私たちに与えてくれるでしょう。本当の醍醐味は、まだまだ先にあるのだと思います。

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宇宙飛行士を目指す人にアドバイス

 宇宙飛行士の訓練は非常に特殊で、普段できるようなトレーニングではありません。いきなり宇宙へ意識を向けるのではなく、宇宙飛行士の資格を得るための努力が先決です。
 必要なことは、まず健康な体を作ることです。栄養バランスを考えた食事と基礎体力を向上させるための運動を日々積み重ねましょう。次に、英語力です。本格的な訓練はアメリカで行われます。専門用語も頻繁に飛び交い、聞き取りづらい無線での会話もあります。それらを瞬時に、スムーズに受け答えできるレベルを最終的には目指してください。

ある日の大西さん

  

8:00

NASAへ出勤。宇宙飛行士室でミーティング

9:00

配属部署でのミーティング。訓練計画などの変更点や詳細を確認

10:00

シミュレーターで、ロボットアームの操作訓練

13:00

ロシアからの打ち上げと帰還を想定してロシア語のトレーニング

15:00

英語のトレーニング

16:00

スポーツジムでトレーニング

18:00

メールチェックや訓練の復習、JAXA事務所との打ち合わせなど

21:00

翌日の訓練の準備。終了後、就寝

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