東進SEKAIラボ

現役高校生が考案!
脳波を活用したBMIプロダクト

東進SEKAIラボ
とは?

大学の研究室では、何がどのような流れで研究されているのか。
高校生には、なかなか想像のつかない研究の世界に触れて、体験してもらうことで、
受験のその先に広がるSEKAIを覗いてもらうためのプロジェクトです。

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PRODUCT 01 / 03

感情の変化で生徒の理解度がわかる!

脳波出席簿

中西てるみさん(高校2年生)

脳波出席簿

生徒の脳波の状態を可視化する出席簿。授業をする際に、各生徒の脳の状態(集中/興味/ストレス等)から、 どんなことに興味を持っているのか、眠かったり集中していなかったりしないかなどを確認できるので、先生がより効果的な授業を行うことができます。 生徒の隠れた才能を見つけることもできるかも!?
今回は、生徒の感情の変化をグラフや数値で確認できる所までプロトタイプ実装しました。

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牛場先生

牛場先生のコメント

生徒一人ひとりの「生」の反応が見えるようになるのはおもしろそう!
紙上検査では空気を読んだ回答ばかり集まってしまったり、授業のどの部分で反応があったかわからなかったりするけれども、『脳波出席簿』ならそういう心配はなさそうですね。みんなの脳の状態がその場でわかれば、先生は授業の内容をアドリブで変えることができるし、生徒自身も授業の聞き方を工夫できるので、お互いに授業をもっと楽しくすることができるかも!?

この提案のおもしろいところは、何人もの生徒の脳波を一斉に記録するところです。似たような反応をする生徒の共通点は何かとか、どの席に座っている生徒たちの反応がいいのか、といった特徴を分析することができるので、集団心理や集団行動についての新しい発見につながりそうです。

実は最近、『脳波出席簿』のアイデアに近い研究がCurrent Biologyという著名な学術誌に掲載されました(Dikker S et al., Current Biology 2017)。プロの研究者顔負けの良いアイデアで、とても驚きました!

ちょっとした仕草、瞬きの様子、視線の動きなども、集中力や興味の強さを反映していると言われています。脳波だけでなく、身体中のあらゆるシグナルを組み合わせて分析すると、さらにおもしろいアプリがつくれるかもしれません!

参考文献
Dikker S et al. Brain-to-brain synchrony tracks real-world dynamic group interactions in the classroom. Current Biology 27, 1375-1380, 2017.
参考リンク:https://doi.org/10.1016/j.cub.2017.04.002

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脳に最適な声援で
リハビリや学習を効率化!

リハビリ応援
システム

根本銀士くん(高校2年生)

リハビリ応援システム

モチベーションが高いとリハビリの運動機能回復に効果的、という研究成果がある点に着目。 脳波センサーとイヤホンをつけて取り組むと、集中していたらBGMが大好きな曲に変わる、 ネガティブな気持ちになっていたら応援するボイスが流れる等、より楽しくリハビリや勉強ができるシステムです。 モチベーションを高くすることで、リハビリの回復スピードや勉強の理解度もアップ!

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牛場先生

牛場先生のコメント

毎日の単調な取り組みも、この装置があれば楽しく続けることができそう!
インターネットからあらゆるタイプの音楽を配信することが可能なストリーミングサービスはいまや一大産業ですが、リスナーはつい自分のお気に入りのアーティストの曲ばかり聴いてしまって、なじみのない曲に触れる機会が少ないですよね。この『リハビリ応援システム』は、脳波から推定されたリスナーの心理状態に応じて楽曲をセレクションしてくれるので、リスナーが好きそうな、だけどまだ聴いたことのないアーティストの楽曲がレコメンドされる、とてもおもしろいサービスになる可能性があると思います!

最近の研究では、睡眠の深さを脳波で読み取って、脳波のサイクルに合わせたビートの音を聴かせることで、寝る前の記憶の整理や定着を促すという研究も出てきています(Leminen M. M. et al., Sleep 2017)。電子機器が薬のような作用を持ち始めてきた、ということもできますね。科学技術の発展とともに新たに生まれる倫理的課題を、わたしたちはどのように解決していけばいいでしょうか? 『リハビリ応援システム』は、科学技術の社会実装にまつわる様々な視点に気づかせてくれる、刺激的なアイデアですね!

参考文献
Leminen M. M. et al. Enhanced memory consolidation via automatic sound stimulation during non-REM sleep. Sleep 40(3), zsx003 (10 pages), 2017.
参考リンク:https://doi.org/10.1093/sleep/zsx003

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"色"で対話相手の感情が
わかるようになる!?

感情わかるんVR

長谷川夏紀さん(高校2年生)

感情わかるんVR

対話相手の感情を記録する撮影システムと、 感情が表現された対話を追体験できるVRゴーグル。 相手に脳波センサーを取りつけてもらい会話&360°撮影。 その後、対話相手の感情が"色"で可視化された様子をVRゴーグルで確認できます。 例えば、相手が怒っていると赤、楽しんでいると黄色に対話映像が変化します。 このシステムを使えば、相手の感情を色から理解できるように脳が発達する未来がくるかもしれません!

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牛場先生

牛場先生のコメント

相手のこころを読み出して、しかもそれを後から追体験できるなんて、まさにSFの世界! 「気になるアノ人が見ている風景は、どんな情感に彩られているんだろう…」例えばそんなロマンチックな想いを叶えてくれる、夢のあるデバイスですね。ほかにも、相手の感情を読み取るのが苦手な発達障害に対する生活補助ツールとしても応用が可能かもしれません。

ところで、感情とは何でしょうか? 同じシチュエーションでも、湧き上がってくる気持ちがいつも同じとは限りませんよね。人によっても受け止め方は様々です。一人ひとりの性格やこれまでの経験によっても、感情は左右されるからです。『感情わかるんVR』を科学のための道具として使えば、「人はなぜ感情を持っているのか?」「感情とは何か?」といった、人間の本質を明らかにする研究が、いままでとは違った切り口から発展するかもしれません。基礎研究の成果を医学などに応用していくことを「Translational Research(TR)」といいますが、『感情わかるんVR』のような応用技術をつくろうとする過程で新しいサイエンスが創り出されていく流れを「Reverse Translational Research(rTR)」と言います(Ledford H, Nature 2008)。科学技術の持続的発展には、このrTRがとても大切です。『感情わかるんVR』は、TRとrTRの両面で大きなインパクトを持ちうる、おもしろいアイデアですね!

参考文献
Ledford H. Translational research: The full cycle. Nature 453, 843-845, 2008.
参考リンク:https://doi.org/10.1038/453843a

参加高校生

中西てるみさん(高校2年生)

東進ハイスクール茗荷谷校

世界を代表する素晴らしい研究者である牛場先生の講義や3ヵ月に及んだ話し合いの末、完成したデバイスは、どれもまるでドラえもんの秘密道具を触っているかのような夢のような気分でした。わたしが考案した『脳波出席簿』を付けて実際に東進の授業を受けてみると、自分の予想とは違って脳波の集中の値が高かったりと(笑)、自己分析や先生による生徒の理解度判断への利用可能性を改めて感じました。将来的に実用されて、テストの点では測れない生徒の能力発見に役立てば、たくさんの子どもが活躍でき、幸せだなと強く思います。

中西さんの考えたプロダクト

根本銀士くん(高校2年生)

東進ハイスクール湘南台東口校

BMIを使って何かつくってみようと考えたとき時、BMIならではの案がなかなか思い浮かばず、開発者の皆さんや一緒に体験した高校生とディスカッションをしたことで、今回のような案を考えることができました。まだ脳は解明されてないことばかりなので、研究が進んでほかのことも解明していってくれたらと思いますが、それが悪用されてはダメなので、これも難しい問題だなと思います。また、僕は理工学部志望なので、今回僕が考えたプロダクトを忠実に再現したエンジニアという職業にも少し興味が湧きました。

根本くんの考えたプロダクト

長谷川夏紀さん(高校2年生)

東進ハイスクール横浜校

普段ここまで「実際につくってもらうことができる」という状況、つまり現実味のある考案をすることはできないので、新鮮な体験でワクワクの止まらない3ヵ月間でした。牛場先生とお話できたこともとても良い経験になりました。最先端を走る技術研究者の講義を受けられたことがとても嬉しく、それ以上に技術の斬新さや未来感に驚き、頭が洗われるような感覚でした。東進SEKAIラボを通して、牛場先生の講義を受けたり、BMIやVRなどのこれからの未来を担う機械に触れ、自分の未来についてたくさん考えることができました。

長谷川さんの考えたプロダクト