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数学 志田晶先生の学習アドバイス

MATH

数学

志田晶先生

志田晶先生

東大、京大をはじめとする難関大合格へ受講者を導いた数学科実力講師は、わかりやすさを徹底的に追求する。「数学的な考え方」を身につける授業で、今まで何気なく使っていた公式や解法の一つ一つが、意味を伴った強力な武器となる。センター~東大レベルまで貫かれる本格派の講義は絶大な人気を誇る。全国模試、テキストの作成チーフとして活躍した経歴を持ち、参考書も数多く執筆する実力派講師。

高3生 のキミへの学習アドバイス

 新課程1年目となる今年、過去問演習は旧課程と新課程の違いに注意して取り組みましょう。例えば、「整数」「データの分析」「複素数平面」といった、新課程で新しく扱われるようになった分野は、過去問に出題されていないので要注意です。

 「整数」は、これまで「整数問題」として出題されていましたが、単元としては扱われていなかったので、見たこともない問題が出題される可能性があります。そこで必要なのは、どんな問題が出題されても慌てずに考えることができる「対応力」です。実際の入試では整数に限らずどう解けばいいのかわからない問題に出会うことがありますから、この「整数」で対応力を養っておきましょう。今はまだ制限時間を気にする必要はありませんから、じっくり考えてください。「データの分析」は教科書をしっかり確認しておくこと。「複素数平面」は旧旧課程(2005年度入試まで)ではわりと出題されていました。東進ドットコムの大学入試問題過去問データベースに収録されている過去問や、旧旧課程の問題も取り入れた問題集も出ていますのでそちらで対策しておきましょう。

 今の時点で過去問を解いて合格点に届いている人は少ないかと思います。私大や国公立二次の問題は、本番の時点で目標点に到達できればいいのですから、必要以上に焦る必要はありません。今はそれよりも、過去問演習を通して自分の苦手分野を再発見し、再度テキストに戻って穴を埋める作業を丁寧にやってもらいたいですね。大事なことは、周りの人よりもどれだけ多く時間をかけて頑張れるかということ。数学のセンスや才能も確かに存在しますが、受験においてはそれよりも努力です。現状に自己満足せず、あと残り数ヶ月そこに重点を置いて頑張ってもらいたいですね。

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 センター試験対策と国公立二次・私大入試対策の学習バランスですが、まず理系の場合は二次・私大対策、特に数学IIIを中心に進めてください。東大、京大、医学部志望の生徒は100%二次対策に費やして構いません。文系の場合、センター試験も二次・私大も範囲は変わらないので、特に対策の区別は必要ありません。センター試験の勉強だけれど二次試験も兼ねている、二次試験の勉強だけれどセンター試験も兼ねているというつもりで出題傾向に合わせて、この分野は二次中心の勉強、この分野はセンター中心の勉強、というように各分野を振り分けて勉強してください。

 記述・論述形式の答案で採点者が見るのは、正しい過程を経て答えが出されているかということです。答えが合っていたとしても、間違った過程で導き出された解答であれば大きく減点されます。正しい過程で考えていることが採点者に伝われば、多少つたない答案であっても点数はもらえます。「正しく考えている」ということを自分の答案に「正しく表現」することが重要です。「記述型答案練習講座」を最良の機会として最大限に利用し、後は問題演習に集中しましょう。

高2・1生 のキミへの学習アドバイス

 高2生・高1生ともに、できるだけ早く学校の学習をひと通り終わらせてしまいましょう。高2の3月までに文系であれば数学I・A、II・B、理系であれば数学IIIまでが目標です。大学入試はハンデなしですから、早く終えた方が有利ですよね。まずは教科書や基本的な参考書の問題がひと通りわかる程度で構いません。入試問題レベルまで深めていく作業は高3生になってからでいいです。例えば「2次関数」は、「三角関数」や「指数関数」などの他の分野でも関連してきますから、そこで自然に力が上がってきます。ただし、「場合の数と確率」は他の分野でほとんど触れられませんので、余裕がある人は入試レベルまで深めておくといいですね。

 数学は知識で解く科目ではありません。問題の構造を分析する力と、自分の知識にないものを問われた時に、どうやってそれを処理し解決していくかという対応力が、数学の問題を解くために必要な力です。それらの力を養うために大事なのは、どの教材を使うかではなく、教材をどう使うかなんです。最近、教科書を読まない人が多いようですが、教科書は一番の参考書です。公式や解法が書いてあるだけではなく、公式や解法が成り立つ仕組みもきっちり説明してあります。仕組みを覚える必要はありませんが、それを読んで「理解する」というプロセスを積み重ねずに、公式に数字を当てはめるだけの「作業」をしているようでは、数学はできるようになりませんよ。

 数学への興味は、解けたときの快感から生まれるものだと思います。数学が苦手な生徒は、まずは僕の授業を受講して、数学がわかる面白さを知ってほしいですね。面白さを少しでも知れば、自分でもっとやってみようと思うはずですし、きっと数学の時間が楽しくなりますよ。

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 学習方法は予習重視をおススメします。予習の一番のメリットは「自分で考える力がつくこと」です。復習は「人から教わった考え方をなぞる」のに対し、予習は公式や定理などの知識がゼロの状態から、「問題の解法を自分で考える」という作業になります。そのうえで、授業を受けて正しい解法や自分とは違う見方を学ぶので、時間はかかっても本当の実力がついていきますし、数学の本当の面白さに気づくことができるでしょう。

 入試本番が迫ってくると、じっくり考える時間はなかなか取れなくなります。まだ時間に余裕があるこの時期に、わからない問題を丸一日考える時間があってもいいと思います。そうやって考えた時間は、受験という枠を超えて将来必ずプラスになりますよ。